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お米の放射能の測定装置でスクリーニングレベルって何?

 
昨日(8/25)は「福島の早場米の収穫始まる! 検査方法と結果の周知方法は?」として、検査方法の概略についてご紹介しました。実際の検査が始まる前の段階でわかる情報をまとめたものでした。

8月25日に福島県でお米の放射性物質濃度の測定が始まりました(リンク先はTBS News-i)。二本松市では、早場米「五百川」の出荷が始まり、安斎さんという農家が収穫した米など全部で14袋の30kg入り米袋が島津製作所の測定器「FOODS EYE」で測定され、全て検出下限値の11Bq/kg以下でした。

この時の島津製作所の測定器ではスクリーニングレベル81Bq/kgで、検出下限値が11Bq/kgでした。厚労省の求めているスクリーニングレベルは50Bq/kgで検出下限値は25Bq/kgです。今回の機器はその性能を充分に上回っているものです。でも、今まであまり意識してこなかったのですが、「スクリーニングレベルって何?高い方がいいの、それとも低い方がいいの?」と私もちょっと混乱しましたので、少し整理したいと思います。


今年3月の厚労省の「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正について」という資料には、本年4月以降に食品の基準値が変わった後のスクリーニング法について記載がありました。

『1.食品中の放射性セシウムスクリーニング法の対象となる食品を「一般食品」とする。
2.食品中の放射性セシウムスクリーニング法で定める技術的性能要件について、スクリーニングレベルを基準値の1/2 以上(50Bq/kg)、測定下限値を25Bq/kg(基準値の1/4 以下)とする。』

スクリーニングというのは、「ふるいにかける」という意味です。つまり、ここでふるいにかけて、基準値の100Bq/kgを超える可能性があるサンプルについてはゲルマニウム検出器を用いて正確な測定を行うというのが目的です。

なぜこのようなステップを取るかというと、今回の福島県の米のように全量測定を行うとなると、全ての米袋をゲルマニウム検出器で精密に測定することは物理的に不可能だからです。そのため、第一段階としては、基準値以下であるかどうかを簡便に測定するスクリーニングを全袋に対して行い、あやしい(ひょっとしたら基準値を超える可能性がある)サンプルについてはゲルマニウム検出器で精密に測定するという方法をとっているのです。

福島県の水田畑作課が出している説明の図でも、「全量全袋検査」を行い、スクリーニングレベル以下の場合は出荷自粛を解除できるが、スクリーニングレベル以上の場合にはゲルマニウム検出器で精密な測定を行い、そこで100Bq/kg以下であることを確認できた場合のみ出荷自粛を解除できるとなっています。ここで「スクリーニングレベル」という言葉が出てきましたね。(なお、この図では事前出荷制限区域以外についての流れを説明していますが、事前出荷制限区域であっても全量全袋検査からゲルマニウム検出器で測定するという部分については同じです。)

8/25-3

これは、基準値以上のものをもらさずに確実に見つけ出し、なおかつ大量のサンプルを測定するという目的に合致した合理的な手法です。

その第一段階として全袋に対して行われるスクリーニング検査としての測定ですが、同じ80Bq/kgのサンプルを測定しても、何回も測定したら測定結果は83Bq/kgになったり78Bq/kgになったりするのが通常です。しかも、測定装置の性能が低ければ、それが60Bq/kgになったり110Bq/kgになったりする可能性があるのです。あまりに性能の低い装置で測定されて基準値未満でした、といわれても困りますので、装置に対する基準(技術的性能要件)を厚労省が設けて示しているのです。

食品の放射性物質の濃度を検査する目的は、食品衛生法で規制された基準値以上の放射性物質を含む食品を流通させないことです。であれば、検査のための装置にはその目的に合った性能を決めておく必要があります。通常、装置を用いた測定結果がある数値以下ならば、装置による測定誤差を考慮しても、絶対に100Bq/kgを超えるということはあり得ないという数値があるはずです。その数値が「スクリーニングレベル」になるのです。

厚労省の資料に書かれている記述を引用します。

8/25-1

『精度が低いあるいは測定結果の不確かさが大きい測定に基づく検査の性能を、図2(上の図)に示す。この検査では、放射性セシウム濃度が110 Bq/kgでも25%が合格し、80 Bq/kg でも10%は不合格となるため、検査としての性能が低い。一方、規格に適合している食品を合格とする性能の観点から評価すれば、濃度が50 Bq/kg の食品には、必ず<100 Bq/kg の結果を与えるため、50 Bq/kg 以下の食品を100%合格とする性能がある。従って、この検査により50 Bq/kg 以下の結果を与えた試料を合格とすることが可能である。

この図に示された例では、110Bq/kgのサンプルでも25%が100Bq/kg以下になって検査に合格してしまうということなので、この装置自体の性能はそれほど良くありません。しかし、この装置で50Bq/kgのサンプルを測定した場合は必ず100Bq/kg以下の測定結果になり、100%検査に合格するのです。ですから、この装置はスクリーニングレベル50Bq/kgという性能であると言えるのです。

厚労省のHPに示されているスクリーニングレベルは基準値の1/2(50Bq/kg)以上でした。スクリーニングレベルについて、今回島津製作所のニュースリリース(5/22)に解説が書いてありましたので、それを用いて説明します。

『スクリーニングレベルとは基準値未満であるか、基準値を超えている可能性があるかを判定する数値で、この測定値を境にして○×の判定を行います。同じ基準値で比べた場合、この数値が高いと測定装置の精度が良い(誤差が小さい)ということを意味します。
「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」では、スクリーニングレベルは基準値の1/2以上、すなわち基準値100 Bq/kgに対して50 Bq/kg以上を測定装置の性能要件としています。
これに対し本製品は実証試験を通じて、70 Bq/kg のスクリーニングレベルを実現しており、基準値以下であるかどうかを迅速かつ高精度に測定するというスクリーニング検査の目的を達成するために充分な性能を備えています。』
(ニュースリリースより)

本製品というのは「FOODS EYE」のことで、70Bq/kgのスクリーニングレベルがあるというものでした。さきほどの図でいうと、スクリーニングレベルが高いということは、下図のイメージに近いということを示します。スクリーニングレベルの数字が高いほど信頼性が高いということになります。

8/25-2

そして、今回(8/25)の検査におけるニュース映像(NHKより)では、下のように右上にスクリーニングレベル81Bq/kgと表示されていました。(今回の測定は5秒ではなく10秒だったという話もありますので、測定時間が増えたために70Bq/kgから81Bq/kgに上がったのかどうか、そのあたりは不明です。)

8/25-4

実際の米袋の検査の結果は、下のように11Bq/kgで○と表示され、検出下限値が11Bq/kgであることを示しています。厚労省で求めている測定下限値も25Bq/kg以下ですから十分それを下回っています。

8/25-5

この検査の位置づけがスクリーニング検査であることを考えると、11Bq/kg未満という数値が出た時に実際にどれくらいのフレがあり得るのかはわかりませんが、同じ島津のニュースリリースにはFOODS EYEでの5秒測定のデータとゲルマニウム検出器との比較データが載っていてあまり大きく違っていませんので、そこそこ信頼してもいいものだと思います。

8/25-6


まとめです。

・今回の全量全袋検査は、あくまで基準値の100Bq/kgを超えているかどうかを確かめるスクリーニングとしての位置づけである。

・スクリーニングレベルというのは、その数値を上回ったらゲルマニウム検出器での再検査が必要な数値である。同じ基準値では、この数値が高いほど検査の性能が高い事を示す。

・昨日の例では、スクリーニングレベルが81Bq/kgとなっており、昨日は全て不検出だったが、もし数値が出ていたとしてもそれほどゲルマニウム検出器の結果と大きくずれていないことが予想される。

・検出下限値の11Bq/kg以下というのは、5Bq/kgかもしれないし、1Bq/kgかもしれないし、もっと低いかもしれないが、今回の検査目的としてはあるレベル以下であるということがわかれば充分である。



なお、お米の各県の検査結果については「24年度版 お米の放射線検査情報一覧」をご覧下さい。福島県の結果も出てきたらこちらに載せていく予定です。

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