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福島米の全袋検査を3ヶ月間毎日チェックしてきての雑感

 
このブログではお米の放射能について、今年も昨年と同様に各県の検査状況をチェックすると共に、福島県で行われた全袋検査の結果が「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPに掲載されていましたので、その結果を毎日チェックしてきました。

この全袋検査、12/24現在で約993万検体の検査が終わっています。最近はペースが鈍っていることもあり、おそらくほとんどの玄米は検査を終えたものと思われます。

ここでは3ヶ月間毎日集計してきた感想と簡単なまとめを書こうと思います。日々更新された各市町村の結果を転記したExcelシートも公開します。

なお、これまで『「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPで公開されている最新情報』は毎日更新してきましたが、最近はあまり追加される数も多くないため、1000万検体に達するか、今年いっぱいで毎日の更新はやめて、少し更新頻度を落とそうと考えています。

 
1.検査の現況

10月頃の新聞報道によると、今年の福島県での米の収穫は約36万トンで、玄米(30kg入り袋)で約1200万袋になるという予想でした。県としても、おそらくそれだけの数の玄米袋を全袋検査する前提で全袋検査機も5つのメーカーから合計で192台導入しています。

福島県全体で、この検査のために1台1500~2000万円すると言われる全袋検査機を192台の購入で30-40億円、その他人件費や輸送費などがかかります。県は当初予算で約50億円、補正予算で約60億円を計上したということが報道にありました。合わせて100億円以上が投入されている計算になります。

検査は10月の中旬には収穫のピークになり、この頃には一部地域で検査が遅れているという報道もあったようですが、その後は毎日の測定のピッチも急上昇し、遅れも取り戻したようです。「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPで毎日追加された検体数をプロットすると、10月には20-30万袋の測定が行われていました。この頃は、休日返上で行っていた市町村もあったようです。その後は徐々にペースが減少し、11月下旬以降は1日10万検体を超えることはなくなりました。

12/24-5

水田畑作課に10月段階で確認したところによると、『おおかたの検査は年内に終了する予定ですが、生産者によっては、収穫後に籾の状態で保存し、食べる際にもみすりをして玄米にする方もおり、全量全袋検査が完全に終わる期日は設定しておりません。』ということですので、終了宣言はなされないかもしれません。

今の私の関心は、年内に1000万検体に達するのかどうかです。年末はいつまで検査を行うかわかりませんが、普通に考えたら28日(金)まででしょう。あと7万検体弱を5日間で達成できるかどうか、結構微妙な所です。

2.検査結果について

12/24朝に更新されている情報でまとめます。元になるデータは、「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPから毎日1回チェックして転記しています。集計した合計値が合っていることを確認しているので、まず間違いないと思います。詳細はこのExcelに。
fukushima-24kome.xlsx

全袋検査機による検査:9,937,765検体+849検体=9,938,614検体

そのうち、Ge検出器による確定検査(詳細検査)に回った検体数:849検体

全袋検査機による検査で測定下限値未満(<25Bq/kg)になった検体:9,916,551検体

これは全体の99.78%にあたります。つまり、大多数は測定下限値未満(<25Bq/kg)であったということです。

全袋検査機による検査で、参考値25Bq/kg以上になった検体数:21214検体


少しわかりにくいのですが、全袋検査を行った玄米袋のうち、Ge検出器による確定検査にまわったものは「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPでは全袋検査による「スクリーニング検査」の結果からは除外されて「詳細検査」に算入されているのです。それが「スクリーニング検査」の分類には100Bq/kg超という欄がない理由なのです。

12/24-6
なお、私がこのブログで集計し、ツイッターでも紹介している数字は、「スクリーニング検査」の数字です。本来ならば「詳細検査」との合計値を出すべきでしょうが、計算ミスがあると困るので、転記ですむ数値にしています。


また、Ge検出器による確定検査に回った849検体のうち、福島県水田畑作課のHPに情報が開示されているものは740検体で、109検体についてはおそらく自治体が独自にGe検出器による確定検査を行い、その結果を反映して後日「スクリーニング検査」から「詳細検査」に移行したものと思われます。その証拠に今月後半には各市町村のスクリーニング検査の検体数が減少して、その分詳細検査の数が増えたという現象が幾つもありました。

この109検体の多くは検出下限値未満でした。会津地方の市町村が、参考値とはいえ数値が検出されるというのは印象が悪くなるということで独自にGe検出器による確定検査を行い、その結果をもって県に修正を依頼したということが報道にありました。恐らくこの修正が行われたものと思います。

これら109検体の確定検査の情報がどこに掲載されているのかは現段階ではまだ確認できていません。すでにどこかに掲載されているかもしれません。これについては水田畑作課に問い合わせ中ですが、詳細検査をしたというならば、その情報は全て公開すべきです。


3.今年の全袋検査の費用対効果は?

昨年の10月に知事が安全宣言をした後に暫定規制値(500Bq/kg)超えの米が見つかり、福島米の信用はなくなってしまいました。その際に「抽出検査ではダメだ、全袋を検査すべき」という意見が強く、またそのような検査を可能にする全袋検査機の開発がすでに進められていたため、今年は福島県では全袋検査を行うことにしました。

その結果、当初予算で約50億円補正予算で約60億円という合計110億円もの予算を投じて玄米袋を約1000万検体も検査を行ってきたわけです。

12/24-7
(当初予算50億円:福島県の資料より)

今回改めて予算を確認しましたが、約1000万検体の検査に110億円ということは、1検体あたり約1000円です。絶対額で見るとかなり高い額ではありますが、食品中の放射能測定を依頼したらおそらく1検体1000円では済まないでしょうから、1000万検体以上の玄米袋を測定することを考えたら時間的にも予算的にも極めて効率的に行ったと言ってもいいと思います。昨年度行われたGe検出器による確定検査では、約20000戸の農家からの追加調査に2ヶ月近くかかっています。しかもそれは1戸あたり最低1検体という条件でしたから、全ての米を調査したわけではありません。

福島県は、今年は全袋検査を行うということを決めた時点で、測定の精度は犠牲にしたわけです。全ての米袋をGe検出器による確定検査の精度で測定することはできません。それをしようとしたら1年では終わりません。全袋検査を求めた以上、多少精度は落ちてもスクリーニング検査を行うということは消費者側も納得しないといけないと思います。

ただ、以前も書きましたが、今年実際に全袋検査機で検査を行ってみて、全袋検査機とGe検出器による確定検査とでどれくらいの乖離があったものなのか、そのあたりはぜひ公表して欲しいと思います。現在は確定検査を行ったサンプルのスクリーニング検査時の参考値がいくつであったのかは公開されていません。5つの測定器メーカーがあり、おそらくメーカーごとにクセがあるでしょうから、そのあたりの詳細情報は公開できないとしても、検査する側(各市町村)で共有し、より効率的に、より正確に測定できるノウハウを来年に向けて蓄積していくことを求めたいと思います。

4.今年の福島米の放射能は下がったのか

福島県では昨年と今年とでは同じ方法で測定を行っていないため、単純な比較はできません。「福島県のお米の放射能検査方法と公表方法の解説」でもご紹介しましたが、昨年も予備調査、本調査の1724検体において(Ge検出器による確定検査で)現在の基準値を超えたのはわずか0.8%でした。しかし、これはサンプリング調査であるため、NDでなかった地区の農家を対象に年末から今年の1月にかけて緊急調査を行い、97.5%が100Bq/kg以下であることを確認しました。

12/24-8

そして、これらの調査で500Bq/kgを超えた地域(上の図で赤い部分)については今年度は作付禁止としましたので、セシウム濃度が高い可能性のある地域は今年は除外されているはずです。また、この緊急調査で100Bq/kg以上のセシウムを検出した地域(上の図で黄色い部分)では、事前出荷制限区域として施肥管理を含めて管理をしっかり行っています。

検査結果として、今年の全袋検査で参考値25Bq/kg以上の数値が検出されたのは約0.2%でした。71検体の規制値超えはありましたが、これは1000万検体の検査からするとわずか100万分の7にしか過ぎません。昨年の緊急調査では約2.5%(ただしこれは本調査や予備調査でNDでなかった地区(約20%が対象)なので全体からすると約0.5%相当)でしたので、比率で考えても昨年の1/1000程度に下がっていると言ってもいいでしょう。

12/24-9
(740検体のGe検出器による確定検査の分布:後に詳細検査分に変更された109検体は除外)

同じ測定方法ではないために今回はあまり詳細な解析は行いません。ですが、作付制限やカリウム施肥などの対策により、昨年と比較して規制値超えをした米はかなり少なくなっていると判断していいと思います。

そして、「12/8 第五回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会より-米のセシウム汚染の話-」で書いたように、今年の試験作付で米の放射能については多くの情報が得られてきています。用水の管理などを行うことにより基準値超えの可能性を減らせること、また、8月の茎葉を測定することで収穫後の玄米の放射能濃度がかなり予測できるなどの知見があり、来年度はさらに規制値超えを減らすことができる可能性が高くなっていると言えます。

ただし、規制値超えをしないということと、数値が検出されたら食べたくないという心理は全く別の話です。福島で規制値超えをしない米を作ることはできるようになるでしょうが、(測定方法によって検出下限値は異なりますが)検出下限値以下(ND)になるにはかなり時間がかかると予想されます。


5.来年度に向けた動き

すでに来年度の作付に関する話が出てきています。一つだけご紹介します。

南相馬市:3年連続見合わせ 南相馬市のコメ作付け(福島民報 12/22)

福島県南相馬市地域農業再生協議会は12/21に総会を開き、来年度の作付を市内全域で見合わせることにしたそうです。
『議事では、平成25年産米の作付け方針案として、(1)市内の旧警戒、旧計画的避難両区域で作付けを自粛(2)旧警戒、旧計画的避難両区域外で作付けの自粛を解除するが、25年3月末までに除染が終わらない農地では作付けの自粛を原則的に継続するとした議案が提出された。
 出席者は農地や農業用水路などの除染が進んでいない現状や風評被害に対する責任の所在が明確でないことなどを理由に挙げ、方針案を賛成3、反対13、保留1の反対多数で否決した。それによって、平成25年産米の作付け自粛が決まった。』(福島民報より引用)

自粛解除という提案に対して反対案が多く、来年度も自粛が決まったということです。

南相馬市は、今年度も全袋検査はわずか1292袋しか行っていません。南相馬市では試験作付という扱いで135ヶ所(130とか145という数字もあります)の田んぼで作付がされただけだったようです。
興味のある方は福島テレビのYouTubeをご覧下さい。

参考:「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPで公開されている最新情報
 
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コメント

困ったことだ

>>短時間で25ベクレル以下だと、じっくり計測すればそれは100ベクレル以下でしょう。

まだ統計の意味が分からない人が居るのか。こまったものだ。

No title

>全袋検査を求めた以上、多少精度は落ちてもスクリーニング検査を行うということは消費者側も納得しないといけないと思います。

そういうことは東電に言ってください。消費者に八つ当たりしないでください。東電訴訟なら、全力で支援します。

東電を訴えて仇討ちを遂げたと田畑を開墾したご先祖様の墓前にご報告するか、泣き寝入りして汚染はないと強弁し消費者に責任転嫁したうえで汚染土壌を耕し続けて家族もろとも被曝死するか、今決めなければならないと思います。

No title

QRコードから検査結果を見ると ほとんどのものが下限値未満
なかなか数字の書いてあるものが見つかりません。
NaIで50以上出るとGeで検査すると聞いていましたが どの程度
差があるのか興味がわきます。

ただ 袋の外側からの検査で高く出ることもあるので 
>米が25ベクレル以下という事ではない。
とは言えないと思います。

実際 下限値未満の米を集めて 何十検体かGeで測ってみましたが
2とか3、10前後で 25ベクレルを超えたものは見つかりませんでした。

昨年 ゼオライトやカリをまき さて 今年は値の高く出た水田で
どのような対策をうつのか また一年が始まります。

90ベクレルでも○表示します。

>全袋検査で参考値25Bq/kg以上

短時間で25ベクレル以下だと、じっくり計測すればそれは100ベクレル以下でしょう。
という予想で、ベルトコンベアに乗せて高速に計測してるのです。

米が25ベクレル以下という事ではない。

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TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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