放射能汚染水情報アップデート(3) サブドレン浄化試験の行方は?
昨年末に書いた「2012年後半 放射能汚染水と海洋汚染に関する情報アップデート(1)」のあとに、「アップデート(2)」として「放射能汚染水情報アップデート ALPSの稼働をめぐる部分最適の是非(1)」と 「放射能汚染水情報アップデート ALPSの稼働をめぐる部分最適の是非(2)」を書きました。その際、まだ抜けている情報がいくつもあることに気がつきましたのでそれもまとめていきます。
これまでにも少しずつ紹介しているものもあるのですが、昨年後半はほとんどこの種の情報をブログにまとめなかったので、今回の一連のまとめで全体像を理解できるようにしたいと思います。
放射能汚染水をめぐる状況がどんなに綱渡り的な状態であるかはすでに「放射能汚染水情報アップデート ALPSの稼働をめぐる部分最適の是非」で書きましたのでここではくり返しません。しかし、東電は汚染水を少なくするための施策をALPS以外にもいくつか行おうとしているのです。主なものは以下の通りです。
(1) サブドレン浄化
(2) 地下水バイパス
(3) 遮水壁
これらとALPSの稼働を総合的に組み合わせて放射能汚染水の削減対策を行っているのですが、そのためには個々の対策について理解しておく必要があります。今回は(1)のサブドレンについて昨年の進捗を振り返ります。
1. サブドレン浄化試験の経緯
サブドレン浄化については、昨年も一度「サブドレン浄化試験の現況解説」で解説しましたが、再度ここでまとめ直したいと思います。まず、サブドレンとは何かについて簡単に説明します。「政府・東京電力中長期対策会議運営会議」が2011年12月から毎月1回開催され、そこでいろいろな話題が報告されています。その中で2012年2月から数回にわたってサブドレン浄化について資料が掲載されていたのですが、そこにわかりやすい資料があったので引用します。

2012年2/27 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合)資料より
サブドレンとは、上の図のように建屋周囲に設置された立て坑で、そこに設置されたポンプで水を汲み上げて地下水位を調節するための装置です。(その意義については「福島原発の汚染水をよく知るため、O.P.とサブドレンを理解しましょう」をご覧下さい。)しかしながら、2011年の震災・津波によってサブドレンは停止してしまいました。また、津波によりサブドレンピットの中に放射能で汚染された水が入り込んでいるため、サブドレンの再稼働の前段階としてサブドレンピット内にたまった水の浄化を行うことにしたのです。

2012年2/27 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合)資料より
そのための試験は、活性炭や樹脂を用いた浄化装置でピット内の浄化を行う「浄化試験」と、ピット内にわき出してきた地下水の水質を測定して行う「汲み上げ試験」の2段階に分かれています。
サブドレンは、1号機から6号機と、集中廃棄物処理建屋を含む全ての建屋に対して作られています。下図のように多くのサブドレンが各建屋のまわりに配置され、地下水のくみ上げに利用されてきました。

そのうち、汚染がほとんど起こっていない5、6号機については、浄化試験の結果代表的な核種で10Bq/L以下であることを確認し、さらにピット内溜まり水を空にして清掃を行う手法で浄化を行うという報告が昨年7/30の運営会議で報告されています。
3号機は周辺の線量が高すぎて今回の対象外となっており、4号機については対象となったNo.56は浄化試験完了という報告が昨年6/25の運営会議で報告されています。
一方、1号機と2号機のサブドレンについては、浄化試験、汲み上げ試験を行いましたが、汲み上げ試験の結果、放射能濃度が上がるという現象が起きました。従って、この方法では1、2号機のサブドレンの浄化は行えないため他の浄化方法を検討するという結論が東電の報告には記載してあります。

6月25日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第7回会合)資料より
2.昨年8月以降の沈黙の意味は?
ところで、この一連の運営会議での報告資料を読み直してみると不思議なことが見えてきます。
2月27日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合) サブドレン資料
4月23日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第5回会合) サブドレン資料
5月28日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第6回会合) サブドレン資料
6月25日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第7回会合) サブドレン資料
7月30日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第8回会合) サブドレン資料
7月の資料では、多核種の分析結果が8月以降に出る予定と書いてあります。本来ならば、9月か10月にその分析結果を載せてもしかるべきです。ところがその後5ヶ月間、サブドレンに関しては一切の情報がないのです。
なぜでしょうか?地下水バイパスに力を入れているからかもしれませんが、しかし地下水バイパスに関する資料をみると、下図の赤枠で囲ったところにサブドレンと地下水バイパスの位置づけがはっきりと記載されています。

4/23 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合)資料より
建屋への地下水の流入に対する抜本的な対策として、サブドレンを復旧すべく現在作業中であるが、特に原子炉建屋周りは放射線量が高く、難易度が高い
↓
サブドレンを補助するものとして、以下事項(「地下水パイパス」)を提案
おわかりでしょうか。サブドレン復旧が地下水流入に対する抜本的な解決法なのです。地下水バイパスはあくまで補助的な位置づけです。ところが昨年12月の段階で、地下水バイパスはすでに揚水井を掘って試験を行っているのに、中長期ロードマップ進捗状況(概要版)にはサブドレンの復旧は今年度は方法の検討のみで実際の復旧は来年度以降となっています。

なぜ本命であるサブドレンの復旧をロードマップ上で来年度以降に遅らせてあるのか?高線量で作業ができない箇所があるのはわかりますが、それだけではないような気がしました。そこで先ほどの1、2号機の浄化試験のデータをもう一度見直してみました。
先ほどのグラフで、汲み上げ試験を行った結果、Cs-137の濃度が10-20Bq/L程度だったものが100-200Bq/L程度と約10倍上昇しているのです。この濃度上昇の要因としては「ピット内残存汚染」「地表面汚染の地中への沈降」「ピット内混入汚染がピット外に浸透」の3つが挙げられています。
どれもありうることではありますが、この汲み上げ試験においては、ピット内にたまっている溜まり水の3倍量程度を汲み上げています。となると、残っていた汚染ということを考えるよりも、一番素直な解釈としては、汲み上げた地下水が汚染されているということだと思います。
下のグラフは、1号機(No.1)と2号機(No.27)のサブドレンについて東電が週3回発表しているデータをプロットしたものです。昨年2月から7月までをプロットしています。

これを見ればおわかりのように、1号機(No.1)は6月上旬のみ検出限界値未満となっていますが、それ以外の期間は100-300Bq/L程度になっていることがわかります(対数目盛りであることに注意)。2号機(No.27)は、もう少し高くて、500-1000Bq/L程度であることがわかります。こちらも6月上旬は低めですが、おそらくこれは時期的に浄化試験を行ったために一時的に低くなったものと思われます。
先ほどの東電発表のグラフを下に再度引用しますが、汲み上げ試験後に100Bq/L程度になったといっても、これは浄化試験が失敗したのではなく、浄化試験は成功して一時的に10Bq/L程度にする事ができたが、その後の汲み上げ試験で100-1000Bq/L程度に汚染された地下水を汲み上げてしまったので、10倍近く高くなってしまったという解釈が一番素直な解釈だと思います。

6月25日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第7回会合)資料より
東電の「ピット内残存汚染」「地表面汚染の地中への沈降」「ピット内混入汚染がピット外に浸透」というコメントは、地下水が汚染されているという事実を認めたくないためのコメントだと思います。確かに、地下水は汚染されていない、という前提に立つならば、上のような理由を考える必要があるでしょう。しかしこれまでもずっとCs-137が数100Bq/L以上は検出されているので、地下水が汚染されていないと考える人はいないと思います。東電は、地下水が汚染されていることを認めたくないため、浄化試験がうまくいかなかったということにして、その後の詳細なデータを発表することを控えているのだと思います。
この5ヶ月間何もサブドレン浄化について発表がない(8月に出てくる予定のデータすら発表しない)ということは、発表すると具合が悪い何かがあるからできないという可能性もあると私は考えています(もちろん、これは単なる憶測です)。ぜひ、今月以降はサブドレン浄化についてしっかりとデータを提示して進捗報告をして欲しいと思います。
サブドレンの放射能濃度についての最新のデータ(1/5発表)を見ても、1号機(No.1)は100Bq/L程度、2号機(No.27)は数100Bq/L程度をずっと維持していることがわかります。2011年11月に1000Bq/L以下になってから、1号機、2号機ともに時々高くなるのですが、その後はまた落ち着いていくというパターンの繰り返しです。
このことは、どこに汚染源があるのかはわかりませんが、1-2号機の地下は地下水が汚染され続けているということを示しています。この地下水はいずれ海へ流れていきます。それを食い止めるために建設中なのが遮水壁なのですが、遮水壁の完成までこの地下水は海に到達せずに済むのでしょうか?新たな海洋汚染にならないのでしょうか?
この問いに答えられるデータは何も発表されていないのですが、今後調査すべき課題だと私は考えています。
サブドレン浄化試験の話がなぜ昨年8月以降は発表されなくなったのか、その正確な理由はわかりませんが、この話の裏には何かがあるような気がしています。
3.おまけ
ちなみに、今回新たに確認した不思議な現象があります。これまでにも何回か書いたのですが(「1/9 福島原発1号機のサブドレン水データの不思議な変動の原因は?」参照)、1号機のサブドレンは雨が降ると放射能濃度が上がるのです。ところが2号機のサブドレンは雨が降っても濃度が上がらず、むしろ下がっていました。2011年は間違いなくそのパターンをくり返していました。下のグラフは1号機サブドレンの2011年4月から6月のグラフです。雨が降ると放射能濃度がはね上がるのがはっきりわかると思います。

「1/9 福島原発1号機のサブドレン水データの不思議な変動の原因は?」より
しかし、今回2012年のグラフを書いてみたわかったのは、1号機のサブドレンにはもはやそのようなパターンがなくなり、逆に2号機のサブドレンが5/5頃、6/21頃と7/7頃の雨で大きくCs-137濃度が上がっているのがわかると思います。これは昨年とは逆のパターンです。

サブドレン浄化試験を行った際に何をしたのかわかりませんが、それによって地下水の動きが変わったとか、何かが起こったものと思います。詳細はわかりませんが、明らかに2011年とはパターンが変化したのは事実です。
もう一つ、私にとっては残念なことなのですが、実は東電も雨とサブドレンの放射能の関係を2011年6月に発表していたことを今回資料を見直していて発見しました。ただし、集中廃棄物処理施設関連のサブドレンの話で、1号機や2号機での情報は発表していません。
次回は「放射能汚染水情報アップデート(4)」として、今回ご紹介できなかった地下水バイパスの話を書く予定です。お楽しみに。
サブドレン浄化については、昨年も一度「サブドレン浄化試験の現況解説」で解説しましたが、再度ここでまとめ直したいと思います。まず、サブドレンとは何かについて簡単に説明します。「政府・東京電力中長期対策会議運営会議」が2011年12月から毎月1回開催され、そこでいろいろな話題が報告されています。その中で2012年2月から数回にわたってサブドレン浄化について資料が掲載されていたのですが、そこにわかりやすい資料があったので引用します。

2012年2/27 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合)資料より
サブドレンとは、上の図のように建屋周囲に設置された立て坑で、そこに設置されたポンプで水を汲み上げて地下水位を調節するための装置です。(その意義については「福島原発の汚染水をよく知るため、O.P.とサブドレンを理解しましょう」をご覧下さい。)しかしながら、2011年の震災・津波によってサブドレンは停止してしまいました。また、津波によりサブドレンピットの中に放射能で汚染された水が入り込んでいるため、サブドレンの再稼働の前段階としてサブドレンピット内にたまった水の浄化を行うことにしたのです。

2012年2/27 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合)資料より
そのための試験は、活性炭や樹脂を用いた浄化装置でピット内の浄化を行う「浄化試験」と、ピット内にわき出してきた地下水の水質を測定して行う「汲み上げ試験」の2段階に分かれています。
サブドレンは、1号機から6号機と、集中廃棄物処理建屋を含む全ての建屋に対して作られています。下図のように多くのサブドレンが各建屋のまわりに配置され、地下水のくみ上げに利用されてきました。

そのうち、汚染がほとんど起こっていない5、6号機については、浄化試験の結果代表的な核種で10Bq/L以下であることを確認し、さらにピット内溜まり水を空にして清掃を行う手法で浄化を行うという報告が昨年7/30の運営会議で報告されています。
3号機は周辺の線量が高すぎて今回の対象外となっており、4号機については対象となったNo.56は浄化試験完了という報告が昨年6/25の運営会議で報告されています。
一方、1号機と2号機のサブドレンについては、浄化試験、汲み上げ試験を行いましたが、汲み上げ試験の結果、放射能濃度が上がるという現象が起きました。従って、この方法では1、2号機のサブドレンの浄化は行えないため他の浄化方法を検討するという結論が東電の報告には記載してあります。

6月25日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第7回会合)資料より
2.昨年8月以降の沈黙の意味は?
ところで、この一連の運営会議での報告資料を読み直してみると不思議なことが見えてきます。
2月27日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合) サブドレン資料
4月23日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第5回会合) サブドレン資料
5月28日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第6回会合) サブドレン資料
6月25日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第7回会合) サブドレン資料
7月30日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第8回会合) サブドレン資料
7月の資料では、多核種の分析結果が8月以降に出る予定と書いてあります。本来ならば、9月か10月にその分析結果を載せてもしかるべきです。ところがその後5ヶ月間、サブドレンに関しては一切の情報がないのです。
なぜでしょうか?地下水バイパスに力を入れているからかもしれませんが、しかし地下水バイパスに関する資料をみると、下図の赤枠で囲ったところにサブドレンと地下水バイパスの位置づけがはっきりと記載されています。

4/23 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第3回会合)資料より
建屋への地下水の流入に対する抜本的な対策として、サブドレンを復旧すべく現在作業中であるが、特に原子炉建屋周りは放射線量が高く、難易度が高い
↓
サブドレンを補助するものとして、以下事項(「地下水パイパス」)を提案
おわかりでしょうか。サブドレン復旧が地下水流入に対する抜本的な解決法なのです。地下水バイパスはあくまで補助的な位置づけです。ところが昨年12月の段階で、地下水バイパスはすでに揚水井を掘って試験を行っているのに、中長期ロードマップ進捗状況(概要版)にはサブドレンの復旧は今年度は方法の検討のみで実際の復旧は来年度以降となっています。

なぜ本命であるサブドレンの復旧をロードマップ上で来年度以降に遅らせてあるのか?高線量で作業ができない箇所があるのはわかりますが、それだけではないような気がしました。そこで先ほどの1、2号機の浄化試験のデータをもう一度見直してみました。
先ほどのグラフで、汲み上げ試験を行った結果、Cs-137の濃度が10-20Bq/L程度だったものが100-200Bq/L程度と約10倍上昇しているのです。この濃度上昇の要因としては「ピット内残存汚染」「地表面汚染の地中への沈降」「ピット内混入汚染がピット外に浸透」の3つが挙げられています。
どれもありうることではありますが、この汲み上げ試験においては、ピット内にたまっている溜まり水の3倍量程度を汲み上げています。となると、残っていた汚染ということを考えるよりも、一番素直な解釈としては、汲み上げた地下水が汚染されているということだと思います。
下のグラフは、1号機(No.1)と2号機(No.27)のサブドレンについて東電が週3回発表しているデータをプロットしたものです。昨年2月から7月までをプロットしています。

これを見ればおわかりのように、1号機(No.1)は6月上旬のみ検出限界値未満となっていますが、それ以外の期間は100-300Bq/L程度になっていることがわかります(対数目盛りであることに注意)。2号機(No.27)は、もう少し高くて、500-1000Bq/L程度であることがわかります。こちらも6月上旬は低めですが、おそらくこれは時期的に浄化試験を行ったために一時的に低くなったものと思われます。
先ほどの東電発表のグラフを下に再度引用しますが、汲み上げ試験後に100Bq/L程度になったといっても、これは浄化試験が失敗したのではなく、浄化試験は成功して一時的に10Bq/L程度にする事ができたが、その後の汲み上げ試験で100-1000Bq/L程度に汚染された地下水を汲み上げてしまったので、10倍近く高くなってしまったという解釈が一番素直な解釈だと思います。

6月25日 政府・東京電力中長期対策会議運営会議(第7回会合)資料より
東電の「ピット内残存汚染」「地表面汚染の地中への沈降」「ピット内混入汚染がピット外に浸透」というコメントは、地下水が汚染されているという事実を認めたくないためのコメントだと思います。確かに、地下水は汚染されていない、という前提に立つならば、上のような理由を考える必要があるでしょう。しかしこれまでもずっとCs-137が数100Bq/L以上は検出されているので、地下水が汚染されていないと考える人はいないと思います。東電は、地下水が汚染されていることを認めたくないため、浄化試験がうまくいかなかったということにして、その後の詳細なデータを発表することを控えているのだと思います。
この5ヶ月間何もサブドレン浄化について発表がない(8月に出てくる予定のデータすら発表しない)ということは、発表すると具合が悪い何かがあるからできないという可能性もあると私は考えています(もちろん、これは単なる憶測です)。ぜひ、今月以降はサブドレン浄化についてしっかりとデータを提示して進捗報告をして欲しいと思います。
サブドレンの放射能濃度についての最新のデータ(1/5発表)を見ても、1号機(No.1)は100Bq/L程度、2号機(No.27)は数100Bq/L程度をずっと維持していることがわかります。2011年11月に1000Bq/L以下になってから、1号機、2号機ともに時々高くなるのですが、その後はまた落ち着いていくというパターンの繰り返しです。
このことは、どこに汚染源があるのかはわかりませんが、1-2号機の地下は地下水が汚染され続けているということを示しています。この地下水はいずれ海へ流れていきます。それを食い止めるために建設中なのが遮水壁なのですが、遮水壁の完成までこの地下水は海に到達せずに済むのでしょうか?新たな海洋汚染にならないのでしょうか?
この問いに答えられるデータは何も発表されていないのですが、今後調査すべき課題だと私は考えています。
サブドレン浄化試験の話がなぜ昨年8月以降は発表されなくなったのか、その正確な理由はわかりませんが、この話の裏には何かがあるような気がしています。
3.おまけ
ちなみに、今回新たに確認した不思議な現象があります。これまでにも何回か書いたのですが(「1/9 福島原発1号機のサブドレン水データの不思議な変動の原因は?」参照)、1号機のサブドレンは雨が降ると放射能濃度が上がるのです。ところが2号機のサブドレンは雨が降っても濃度が上がらず、むしろ下がっていました。2011年は間違いなくそのパターンをくり返していました。下のグラフは1号機サブドレンの2011年4月から6月のグラフです。雨が降ると放射能濃度がはね上がるのがはっきりわかると思います。

「1/9 福島原発1号機のサブドレン水データの不思議な変動の原因は?」より
しかし、今回2012年のグラフを書いてみたわかったのは、1号機のサブドレンにはもはやそのようなパターンがなくなり、逆に2号機のサブドレンが5/5頃、6/21頃と7/7頃の雨で大きくCs-137濃度が上がっているのがわかると思います。これは昨年とは逆のパターンです。

サブドレン浄化試験を行った際に何をしたのかわかりませんが、それによって地下水の動きが変わったとか、何かが起こったものと思います。詳細はわかりませんが、明らかに2011年とはパターンが変化したのは事実です。
もう一つ、私にとっては残念なことなのですが、実は東電も雨とサブドレンの放射能の関係を2011年6月に発表していたことを今回資料を見直していて発見しました。ただし、集中廃棄物処理施設関連のサブドレンの話で、1号機や2号機での情報は発表していません。
次回は「放射能汚染水情報アップデート(4)」として、今回ご紹介できなかった地下水バイパスの話を書く予定です。お楽しみに。
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