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1/29に農水省が発表した今年のお米の作付方針について

 
本日(1/29)、農水省は今年の米の作付方針について発表しました。

参考:NHKニュース 福島県内 コメ作付け制限緩和

農水省のHPには「25年産米の作付等に関する方針 (本文)(PDF:115KB)」と「25年産米の作付等に関する方針のポイント(PDF:89KB)」の資料が載っていますので、それを読めばわかると思いますが、簡単に解説します。


1/24に発表された、農水省と福島県がまとめた「放射性セシウム濃度の高い米が発生する要因とその対策について」については、すでに「福島県と農水省が1/24にまとめた米の放射能についてのまとめ(1)」と「福島県と農水省が1/24にまとめた米の放射能についてのまとめ(2)」にまとめました。

今回農水省から発表された今年の作付方針は、この1/24のまとめに基づいて決められています。もちろんこの作付方針は福島県だけに対する方針ではありませんが、実質的に福島県以外では規制値超えの米がとれる可能性はかなり低いので、主に福島県を意識して作成した方針と言ってもいいでしょう。

これまで2年間の地道な研究から、放射性セシウムが稲に移行するメカニズムがほぼ土壌中の交換性カリウム濃度であると特定でき、その対策もわかったため、2011年および2012年に作付を行った地域についてはより徹底したカリウム施肥を行うことで規制値超えを出さない可能性が高いことがわかっているのです。

また、2011年に500Bq/kgを超えたために昨年は作付制限をして、試験栽培を行ったような地域のデータも1/24のまとめには載っていますが、そのデータからも、カリウム施肥などの対策をしっかりと取れば今年作付をしても規制値超えをしない可能性がかなり高いということも見えてきています。

合わせて、昨年かなりの予算をつぎ込んで(詳細は「福島米の全袋検査を3ヶ月間毎日チェックしてきての雑感」参照)導入した全量全袋検査機の存在も大きいです。これがあるため、全袋をスクリーニング検査して、もし規制値超えのセシウムを含む米ができてしまっても、それを出荷しないようにすることができるからです。

この全量全袋検査機も、昨年は一年目ということでいろいろとトラブルがありましたが、今年は昨年の反省も踏まえて対策が取られるでしょうから、ずっとスムーズに検査が行われることと思います。

それでは、農水省のHPにある「25年産米の作付等に関する方針」の中で、2.25年産米の作付等に関する方針を見ていきましょう。前半の1.24年度の結果についてはすでに私なりの言葉で述べたので省略します。


1/29-1

まずここで、「25年産米については、24年産米の取組を踏まえ、作付制限、吸収抑制対策等及び収穫後の検査を組み合わせて安全確保を図ります。」と昨年の方針を踏襲していくことを宣言しています。

1/29-5

昨年作付のなかった地域の説明で、「帰還困難区域、居住制限区域、警戒区域及び計画的避難区域」や「避難指示解除準備区域」という言葉が出てきました。これについては説明が必要でしょう。首相官邸のHPから引用して説明します。

そもそも2011年の原発事故後の4/22に福島第一原発から半径20km以内は警戒区域と定められ、その外側に計画的避難区域や緊急時避難準備区域が設定されました。

1/29-7
首相官邸HPより引用)

その後、2011年9/30に緊急時避難準備区域は解除され、下図のような区域設定になりました。

1/29-8
首相官邸HPより引用)

さらに2011年12月のステップ2完了に伴い、警戒区域と計画的避難区域の見直しにより、計画的避難区域は線量により「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」、「帰還困難区域」に分かれることになりました。詳細は省略しますが、現在は下図のように5つの区域が設定されている状態です。

1/29-9
首相官邸HPより引用)

これらの地域の中で、「帰還困難区域、居住制限区域、警戒区域及び計画的避難区域」は作付禁止、比較的線量が低い「避難指示解除準備区域」は実証栽培を行うなどして作付準備再開ができるとしました。

1/29-6

2011年に作付をして500Bq/kgを超えた地域は昨年は作付禁止となり、試験栽培しか行えませんでした。しかし、昨年の結果を踏まえて、今年は対策をしっかりと取ることにより規制値以下にできる可能性が高いと読んだのでしょう。昨年の福島県で設定した事前出荷制限区域のように、全量生産出荷管理を前提に作付が出来る事になりました。

1/29-3

昨年、100Bq/kgを超えた地域も同様に全量生産出荷管理を前提に作付が出来る事になりました。

1/29-4

それ以外の地域ではどうかというと、「24年産米で50 Bq/kgを超える又は23年産米で100 Bq/kgを超える放射性セシウムが検出された地域」については、全量検査を求めることはしませんが、全戸生産出荷管理を求めることになりました。つまり、全戸から必ずサンプリングして検査するというものです。

それ以外では、地域単位のサンプリング検査でよいとしました。

ただし、『県の管理の下、市町村が稲を作付した農家を台帳に整理し、農家毎に検査予定数量等を把握した上で全袋検査を行う場合には、全戸検査や抽出検査は不要とし、全袋検査で基準値以下と確認され、かつラベル等で識別可能な米は、順次出荷できることとします。』と書いてあるように、福島県のように全袋検査を行うことができる場合には、全袋検査をもって全戸検査やサンプリング検査の代用とする事が出来ることにしました。

これは、昨年度は全袋検査を行っても地区毎のサンプリング検査が終わらないために出荷できなかったという事例があったために設定されたものです。

また、全袋検査を選択するか全戸検査あるいはサンプリング検査を選択するかは地域ごとに選択できるとなっています。恐らく福島県ではほとんど全ての市町村が全袋検査を選択するのではないでしょうか?

昨年もそうだったのですが、この作付方針を受けて、具体的にどの地区で作付制限を行うとか全袋検査を行うという事を県や市町村で検討し、その集計結果がいずれ発表されることと思います。

参考:
福島県と農水省が1/24にまとめた米の放射能についてのまとめ(1)
福島県と農水省が1/24にまとめた米の放射能についてのまとめ(2)

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