地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(3)
4/6の「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(1)」及び
4/7の「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(2)」の続きです。
今回は、その後の記者会見でわかった新情報について書きたいと思います。本当はタンク容量の余力について書きたかったのですが、記者会見の内容をまとめていたら時間がなくなってしまいました。
6. 7日夕方の追加情報と新たな対策
東電は4/7の夕方6時からまた臨時の記者会見を開きました。No.3からの漏えいについて考えられる原因とその対策を発表したのです。資料は「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」が発表されています。
まず、今回の漏えいで、漏えい検知孔の水位が低いことから、漏えい箇所は貯水槽の上部にあると推定しました。というのも、7日午前中の記者会見でも議論がありましたが、もし漏えい箇所が貯水槽の下部にあったならば、下の図のように水の圧力で水位が急激に上昇するはずだからです。実際には、今回の記者会見で初めて明らかにされたように、No.3南西側漏えい検知孔の水位は底面から80cm(北東側は45cm)しかありません。濃縮塩水の水位は5mということなので、下部に穴が開いたということは考えにくいのです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
このことから、No.3およびNo.2のどちらのケースでもシート上部に穴が開いてそこから濃縮塩水が漏えいした可能性が高いと現時点では東電は判断したようです。特に可能性が高いのが上端に設置した漏えい検知孔で、そこは下の図のように別の素材を溶着しています。水を大量に入れることで溶着部が広がり、そこから水が漏えいしたのではないか、という予想を東電はしています。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
この推定に基づいての対策は下記の通りです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
上端部からの漏えいとするならば、No.3の貯水量を現在の95.0%から80%程度にまで下げて上端からの漏えいの可能性を低くします。No.3の水はNo.6に移送します。
一方、No.2からのNo.1およびNo.6への移送はこのまま続行します。ただし、当初の計画(10000トン)を若干修正して、No.1の貯水率も80%程度(9200トン)で収まるようにします。具体的な移送のイメージは下図の通りです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
これにより新たな漏えいがストップすれば、No.3の漏えい検知孔のデータを継続的にチェックしていくことにより濃度が変わらないか或いは低下していくことが期待できるということです。
また、移送にかかる日数は、約3日と発表されていたのがNo.3からの移送も含めることになったため、再び5日に変更になりました。
また、今後はサンプリングを強化し、全ての地下貯水槽のドレーン孔と漏えい検知孔のサンプリングをしていくそうです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
私はこの夕方からの記者会見はほとんど見ていませんので、どんな説明があってどのような質疑で補完される情報があったのかはわかりません。あくまでHPに公表された資料からの判断になります。東電の仮説は午前中の記者会見で疑問とされていた水位の低さについて一定の説明を与えるものと思います。
そして、No.3からの漏えい量は3Lとしています。その計算の根拠が下のスライドにあるのですが、この計算は私には全く理解できません。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
おそらくは(検知孔と周囲の断面積)が0.216m2ではなく0.0216m2で、0.0216m2×0.8m=0.0173m3=17Lというのが正しいのだと思います。検知孔の中にある水の量が17Lというのが正しいとして、「貯留しているRO濃縮水の濃度は、1.0×10(4)から1.0×10(5)Bq/cm3程度」と書いてあるのですが、午前中に発表した資料では、下の図のように全βはNo.3で2.9×10(5)と発表しています。この計算をするならば、17L×2.2×10(3)÷2.9×10(5)=0.13Lという計算になるはずです。

また、別の見方をすれば、塩濃度で考えれば1500ppmだったのが350ppmになっているので約4倍に希釈されているという考え方もあると思います。(ただ、この場合は全βの濃度から計算した数値とあまり合わないので矛盾が生じます。)
こういういい加減な計算根拠しか示さずに最大で0.3L~3Lといわれても困ります。
夕方の記者会見のまとめとしては、
(1) No.3の漏えい箇所は貯水槽の上部で起こっている可能性があり、その仮説に基づいてNo.3の容量を現在の95.0%から80%にまで下げながらサンプリングしていく。そのためにNo.2からNo.6への移送計画も微調整してNo.1の容量も最大で80%までにとどめる。
(2) No.3の漏えい量は、一部が漏えい検知孔の中に漏れ出しただけで、多く見積もっても3L程度(この計算方法が正しいならば実際はもっと少ないかもしれない)
(3) 今後はサンプリングを強化し、毎日全ての地下貯水槽のドレーン孔と漏えい検知孔でチェックをしていくということです。
なお、参考として毎日JPに「クローズアップ2013:福島第1、汚染水漏れ 場当たり仮設の弊害」という記事が載っていて、濃縮塩水を使ったことでベントナイトの防水機能が果たされていなかったのではないか、という指摘も出ています。興味のある方はぜひお読みください。
明日以降におそらく「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(4)」を書くつもりです。
東電は4/7の夕方6時からまた臨時の記者会見を開きました。No.3からの漏えいについて考えられる原因とその対策を発表したのです。資料は「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」が発表されています。
まず、今回の漏えいで、漏えい検知孔の水位が低いことから、漏えい箇所は貯水槽の上部にあると推定しました。というのも、7日午前中の記者会見でも議論がありましたが、もし漏えい箇所が貯水槽の下部にあったならば、下の図のように水の圧力で水位が急激に上昇するはずだからです。実際には、今回の記者会見で初めて明らかにされたように、No.3南西側漏えい検知孔の水位は底面から80cm(北東側は45cm)しかありません。濃縮塩水の水位は5mということなので、下部に穴が開いたということは考えにくいのです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
このことから、No.3およびNo.2のどちらのケースでもシート上部に穴が開いてそこから濃縮塩水が漏えいした可能性が高いと現時点では東電は判断したようです。特に可能性が高いのが上端に設置した漏えい検知孔で、そこは下の図のように別の素材を溶着しています。水を大量に入れることで溶着部が広がり、そこから水が漏えいしたのではないか、という予想を東電はしています。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
この推定に基づいての対策は下記の通りです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
上端部からの漏えいとするならば、No.3の貯水量を現在の95.0%から80%程度にまで下げて上端からの漏えいの可能性を低くします。No.3の水はNo.6に移送します。
一方、No.2からのNo.1およびNo.6への移送はこのまま続行します。ただし、当初の計画(10000トン)を若干修正して、No.1の貯水率も80%程度(9200トン)で収まるようにします。具体的な移送のイメージは下図の通りです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
これにより新たな漏えいがストップすれば、No.3の漏えい検知孔のデータを継続的にチェックしていくことにより濃度が変わらないか或いは低下していくことが期待できるということです。
また、移送にかかる日数は、約3日と発表されていたのがNo.3からの移送も含めることになったため、再び5日に変更になりました。
また、今後はサンプリングを強化し、全ての地下貯水槽のドレーン孔と漏えい検知孔のサンプリングをしていくそうです。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
私はこの夕方からの記者会見はほとんど見ていませんので、どんな説明があってどのような質疑で補完される情報があったのかはわかりません。あくまでHPに公表された資料からの判断になります。東電の仮説は午前中の記者会見で疑問とされていた水位の低さについて一定の説明を与えるものと思います。
そして、No.3からの漏えい量は3Lとしています。その計算の根拠が下のスライドにあるのですが、この計算は私には全く理解できません。

「地下貯水槽No.3への当面の対応について(平成25年4月7日18時時点)」より
おそらくは(検知孔と周囲の断面積)が0.216m2ではなく0.0216m2で、0.0216m2×0.8m=0.0173m3=17Lというのが正しいのだと思います。検知孔の中にある水の量が17Lというのが正しいとして、「貯留しているRO濃縮水の濃度は、1.0×10(4)から1.0×10(5)Bq/cm3程度」と書いてあるのですが、午前中に発表した資料では、下の図のように全βはNo.3で2.9×10(5)と発表しています。この計算をするならば、17L×2.2×10(3)÷2.9×10(5)=0.13Lという計算になるはずです。

また、別の見方をすれば、塩濃度で考えれば1500ppmだったのが350ppmになっているので約4倍に希釈されているという考え方もあると思います。(ただ、この場合は全βの濃度から計算した数値とあまり合わないので矛盾が生じます。)
こういういい加減な計算根拠しか示さずに最大で0.3L~3Lといわれても困ります。
夕方の記者会見のまとめとしては、
(1) No.3の漏えい箇所は貯水槽の上部で起こっている可能性があり、その仮説に基づいてNo.3の容量を現在の95.0%から80%にまで下げながらサンプリングしていく。そのためにNo.2からNo.6への移送計画も微調整してNo.1の容量も最大で80%までにとどめる。
(2) No.3の漏えい量は、一部が漏えい検知孔の中に漏れ出しただけで、多く見積もっても3L程度(この計算方法が正しいならば実際はもっと少ないかもしれない)
(3) 今後はサンプリングを強化し、毎日全ての地下貯水槽のドレーン孔と漏えい検知孔でチェックをしていくということです。
なお、参考として毎日JPに「クローズアップ2013:福島第1、汚染水漏れ 場当たり仮設の弊害」という記事が載っていて、濃縮塩水を使ったことでベントナイトの防水機能が果たされていなかったのではないか、という指摘も出ています。興味のある方はぜひお読みください。
明日以降におそらく「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(4)」を書くつもりです。
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