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地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(4)

 
4/6の第一報として書いた「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(1)」及び
4/7午前の記者会見までの情報をまとめた「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(2)」、4/7夕方の記者会見をまとめた「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(3)」の続きです。

今回は、タンク容量の余力について書きたいと思います。今日の東電HPの発表ではそれほど大きな進展はなかったので、それは明日以降にまとめて書きたいと思います。


7.今年3月末時点でのタンク容量の余力は?

前々回の「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(2)」でも少しふれましたが、今回No.2だけでなくNo.3の地下貯水槽から漏えいがあったということは、地下貯水槽そのものが濃縮塩水のようにストロンチウムを多く含む汚染水の貯蔵には適していないのではないか、という疑問を呈することになりました。そうすると、もし今後地下貯水槽を使えないとどうなるのか?という話が出てきます。

これまでにもALPS稼働に関連して汚染水の貯蔵問題が非常に逼迫しているという話は書いてきたつもりですが、3月末に東電から新しい資料が出ていますので、それを用いて再度まとめてみます。

東京電力HPの「福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ」には「廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況」がありますが、3/28の第1回事務局会議では、「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」という資料があります。この資料は160ページにも及ぶもので、多岐にわたる資料が掲載されています。

その中で、「タンク増設計画の半期報告について」という資料(40ページ)があります。これは昨年9月頃に報告したものを、ALPS稼働のメドが立ったことも踏まえて半年ぶりに最新情報にアップデートしたものです。

4/7-11
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」より

これによれば、3月末で濃縮塩水及び淡水の量は約27万トン、それに対してタンクの容量は約32.5万トンで約5.5万トンの余裕があります。この27万トンには、再循環に利用するための淡水受タンクの約23000トンを含んでいて、濃縮塩水と濃縮廃液を合わせた汚染水としては3月末で24.7万トンです。一方、タンク容量については淡水受タンク容量の31400トンを除くと26.5万トンです。つまり、濃縮塩水を入れるタンクの余力としては18000トン、濃縮廃液の余力4000トンを除くと実は3/19時点で14000トンしかありません。

上の表では「処理水貯槽」という分類があり、増設中や建設中のものも含めてかなりあります。この処理水貯槽というのは実はALPSが稼働して62種の放射性核種を除いたあとの処理水を貯めておくためのものです。3月末現在ではこの処理水貯槽は28700トンあります。

これはおそらく全て今回問題になっている地下貯水槽です。今回のトラブル以前に空だったNo.1、No.5、No.6、No.7を合わせると約29,000トンですから(下図参照)。No.2、No.3はALPSの稼働が遅れたために仕方なく濃縮塩水用に使用したものです。
4/8-1
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」より

ですから、地下貯水槽29,000トンを全て濃縮塩水に使用すると仮定するならば、18,000トン+29,000トン=47,000トン(約5万トン)が余力としてあるということが今回の事故の前に東電が主張していたことです。

今年の上半期までの計画では、実はこの「処理水貯槽」の建築計画しかありません。これは、ALPSが稼働したら今後その処理水を貯蔵しておくスペースが大量に必要になるからです。ただ、地下貯水槽はおそらくこれ以上の建設予定はなく、今後は鋼製タンクになると思われます。

上の表のG3、G8エリアに増設中の80,000トンは、下の図のG3、G8エリアの8月末までの青い部分のタンク、計画中の46,000トンは、下の図の9月から10月のピンクの部分のタンクに該当します。今年度の上半期にはかなりタンク増設をする予定であることがわかりますね。

4/8-2
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」より

このように、今回の事故がなければ、地下貯水槽も利用しながらであれば、ギリギリのところでなんとかタンクを増設して対応していけるだろうということで東京電力も考えていたと思います。

なお同じ資料には、今年上半期だけではなく2年後までの計画案として東電がシミュレーションして出した資料があります。それを見ると、下のグラフで黄色い線のRO処理水、すなわち濃縮塩水は今年8月頃をピークにして徐々に減っていく予定になっています。その代わりに紫色のALPS処理水が今年の8月頃から徐々に増えていっています。つまり、今後はALPSが順調に稼働したら、濃縮塩水は徐々に減っていって、トリチウム以外の多くの核種を除去した「処理水」が主流になっていくという計画なのです。

4/7-18
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」より

2年後の平成27年(2015年)には、タンク容量は70万トンにしたいという計画ですが、福島第一原発の敷地は下の図に示すように、もうかなり汚染水用のタンクで埋まってきているのです。

4/7-19
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」より

今後は敷地内のどこに増設するか、ということで、敷地の南側エリアに増設する計画が進められています。下の図でいうと薄い緑色の「増設検討エリア」です。でも、これもいずれタンクでいっぱいになるでしょうから、いつかはALPS処理水をどこかに移送するというようなことをしない限り、2年後にはおそらく敷地がない、という話になると思います。

4/8-3
廃炉措置等に向けた取り組みの進捗状況「【資料3】個別の計画毎の検討・実施状況(9.38MB) 」より

以上が3月末の時点での東京電力の報告の紹介でした。

8.今回の事故のもたらす影響

今回の漏洩事故を受けて、地下貯水槽のうち、これまで使用していなかったNo.1とNo.6の合わせて2.3万トンがNo.2とNo.3からの濃縮塩水でほぼ埋まってしまいます。つまり、先ほどの表の中で28700トンから23000トンがなくなってしまうわけです。残りはNo.5とNo.7の6000トンと、それ以外の約14,000トンです。4/3の週報によると、この余力はさらに少なくなっていて、4/2現在では8,500トンしかありません。地下貯水槽の6,000トンを入れても14,500トンです。

4/8-4
福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第93報)より

東電の発表では、毎日400トンの地下水が流入してきて放射能汚染水になっていくということなので、14,500トンは36日分の地下水流入分にしかなりません。ただ、4/3の週報によると、4/10頃には14,000トンのタンクが使えるようになるということなので、今週中には少し余力が出るはずです。毎週水曜日に新しい週報が発表されるので、4/10発表の週報には注目したいと思います。

昨日までの記者会見で、「地下貯水槽を使わずに鋼製タンクに全て移送したらどうか?」という質問に対して「ない袖はふれない」という回答をしたことはご紹介しましたが、現実は非常に綱渡りに近い状況であることはこれまでの数値をみたら納得いただけると思います。

また、東京電力は当面は地下貯水槽を使い続ける方針を明らかにしたという報道もありますが、これはそうせざるを得ないという現実があるからです。

多くの人は今回の事故で初めて現状を認識したと思いますが、このギリギリの状況は今回の事故が起こる前から同じであり、今回の事故によってさらにその状況が厳しくなったにすぎないということを強調しておきたいと思います。どうしてこのような事態になってしまったのか、メディアの報道はいろいろとされていますが、その点についてはまた別途書きたいと思います。

なお、「タンク12万6千トン分前倒し 東電、汚染水漏えいで」という報道もあり、今回の事態を受けて東電はタンク建設を前倒しにすることを決めたようです。

明日以降に「地下貯水槽から約120トンの濃縮塩水が地中へ漏出!(5)」も書く予定にしていますのでお楽しみに。
 
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