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港湾近くの地下水で高濃度のトリチウムを観測!港湾付近の地下水調査は加速へ

 
6/19、東京電力は臨時の記者会見を午前中に開いて、2号機スクリーン近くに設けた観測孔から、基準値(60,000Bq/L)を大幅に超える(500,000Bq/L)トリチウムが検出されたと発表しました。それ以外にも、ストロンチウム(Sr-90)も1000Bq/Lと基準値の30Bq/Lを大幅に上回っています。

今日はこれについての話です。

6/19の記者会見で用いられた東京電力の資料によると、観測孔は3つです。(昨日の原子力規制委員会で急遽配布された資料はこちら。)

6/20-1
(6/19 「福島第一原子力発電所におけるタービン建屋東側の地下水調査結果について」 より)

この観測孔を用いたデータは昨年12月に一度観測されており、その結果は12月に発表になっています。私も「放射能汚染水情報アップデート(5) 254,000Bq/kgのムラソイがいる港湾内の現状」で取り上げました。

ただし、その時はCs-137の濃度が主題だったこともあり、Cs-137が0.8Bq/Lだったという断片的なデータしか発表されていませんでした。

今回は、Sr-90(ストロンチウム)やH-3(トリチウム)、全βの値も全てオープンになっています。

6/20-2
6/20-3

今回のデータは、昨年12月から約半年ぶりに測定したものですので、その間にどう変化していたのかはわかりません。しかし、これだけのデータを測定していながら、前回(12/25)にはH-3やSr-90の検出について何も情報を公開しなかったということは、東電が相変わらず情報公開に対して消極的であったことを示しています。

今回のデータは、東電が5/30の廃炉対策推進会議の第3回事務局会議で資料に出している、「港湾内海水中放射性物質濃度低減に関する専門家による検討会」(資料93枚目/219枚)に提出するための資料として測定したものだそうです。この会議は非公開ですので、今回のようなことがなければおそらくこのデータが公開されることはなかったと思います。

この1年くらいずっと私は感じているのですが、東電は、何か事故やトラブルなどがあって、それにより記者会見を開かないといけないような事態になると、マスコミから注目されて追求されるためか、多くのデータを公開するようになります。また、測定項目や測定ポイントも増え、その時に注目されている事象についての情報は数多く公開されるようになります。4月の地下貯水槽もそうです。あれがなければ、多くのマスコミが汚染水問題が危機的な状況であることに注目せず、汚染水処理対策委員会が開かれることもなかったと思います。

今回の地下水の問題も、これをきっかけにして、港湾への地下水の漏えいというポイントについて注目が集まり、多くの情報が公開されて真実が明らかになってくれるのではないかと期待しています。



さて、今回の高濃度トリチウム検出の原因は何だったのでしょうか?一番心配されるのが、新たな漏えいですが、東電はそれはないだろうと言っていますし、私もおそらく違うと思います。この近くには、2年前に高濃度汚染水が海に漏えいしたスクリーンがあります。記者会見によると今回の観測孔No.1から2号スクリーンピットまでは28mだそうです。おそらくは2年前に漏えいした高濃度汚染水が観測孔に達したのでしょう。

高濃度汚染水のトリチウムの濃度については、2年前はヨウ素やセシウムに注目があったためか、一度しか発表されていません(測定されていたかどうかは不明)。2011年12月3日の発表データ(最後の20ページ)によると、2号機の2011年3月27日のタービン建屋地下たまり水には、Cs-137が3.0×10(6)Bq/cm3=3.0×10(9)Bq/L、H-3は2.4×10(7)Bq/L=24,000,000Bq/Lと発表されています。

恐らく2号機から海に漏えいした高濃度汚染水のトリチウム濃度はこれに近いものです。今回の地下水が500,000Bq/Lですから、48分の1に薄まっていますが、地下水で希釈されて拡散する事を考えればリーズナブルな濃度と言えると思います。

東電は、Cs-137がほとんど検出されていないことに関しては、土壌に吸着されたのではないか、としています。確かにCs-137はH-3の40倍近い濃度があったので、そう考えざるを得ないと思います。

一方、Sr-90はβ線なので、全βのデータからある程度推測ができます。今回発表のデータでも、5/24のサンプルで全βが1900Bq/Lに対してSr-90が1000Bq/Lと約半分です。同様の比率は港湾内の海水の全βとSr-90の比率を見てもわかります(下のグラフ)。全βの値が出ていれば、その半分程度(幅はありますが)の濃度がSr-90の濃度と見積もっていてもそれほど大きな違いはないと思います。5/31以降のSr-90のデータはまだこれから出てきますが、全βの濃度がそれほど大きくは変動していないので、Sr-90は1000Bq/L前後で推移しているものと思います。

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地下水の流れは陸から海に向かって西から東に流れているという事でした。ただ、岸壁の所には護岸があり、そこで地下水の流れがどうなるのかはわかりません。一部は当然すり抜けて海(または海底)に流れていくでしょう。地下水の流れは1日10cmとされていますので、2年間で7300cm=73mは東に(海側に)進んでも不思議ではありません。仮にそれよりも流速が遅いとしても、28m北の観測孔No.1に到着する頃には東の海に抜けていると考えるのが常識でしょう。

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もし護岸の鋼管矢板によって流れがせき止められるとしたら、その水は当然北か南へ移動します。その移動距離は回り道をする分多く、50m~60mくらいはあるはずです。1年8ヶ月の昨年12月ではトリチウムがそれほど多く検出されずに、2年1ヶ月後の今回検出されたというのは、1日10cmの移動距離としても十分可能性としてはありうる(1日10cmとしたら20ヶ月=600日で60mなので、だいたい計算は合う)と思いました。

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つまり、今回トリチウムが大量に検出されたのは、上の図のような流れ(赤い矢印)でせき止められた分が北へ向かってそれを検出したという見方も可能なわけです。ただし、先に述べたように、全てがせき止められたとは思えませんので、当然そのまま海へ流れていった地下水もそれなりにあるはずです。

東電は、今回追加のモニタリングポイントを4箇所増やしてくれるそうです。

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これらのポイントのデータを見ていくことで、例えばNo.1-4ではほとんど検出されないとか、No.1-2ではもっと濃度が高いとかそういうことがわかってくれば、上で私が推論したようなことが正しいのかどうか、見えてくるのではないかと思います。

また、東電はなかなか発表しませんが、断面図でとらえることも非常に重要です。今回の観測孔No.1はG.L-16mということです。

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(2011年8月31日 海側遮水壁の基本設計 に一部加筆)

私は以前、「放射能汚染水情報アップデート(5) 254,000Bq/kgのムラソイがいる港湾内の現状」ではこの地下16mというのをいわゆるO.P.-16mと思っていましたが、今回はG.L.-16mと発表されましたので、O.P.に直すと、港湾付近はO.P.+4mですから、O.P.-12mということになります。

このあたりの地盤には難透水層があり、その上の不圧地下水と、その下の被圧地下水があるのですが、私は半年ほど前はこの観測孔は下の被圧地下水を見ていると思っていました。しかし、今回の発表を見ると、上の地下水を測定しているようです。

この付近の地下水を3次元でうまく表現できたらきっといろいろな事がわかってくると思うのですが、私には残念ながらちょっとできそうもありません。断面図からみなさん想像してください。

今日はあまり言及しませんが、東電は港湾の海水のモニタリングデータがあまり変動していないから海には出ていないのではないか、と勝手な推測を言っています。でも、そんなことを信じる人はいないでしょう。常にチョロチョロと漏れているから変わっていないのです。なぜSr-90のデータがほぼ一定なのか?それを説明するのは地下水から常にSr-90が補給されているから、というのが一番自然です。

今はまだ、間違いなく出ているよね、とダメ押しをするためのデータが不足しているだけなのです。そのデータも、きっと今回いろいろなデータを取ることにより出てくるのではないかと私は思っています。


今後もこの地下水の情報は継続的にチェックして行きますので続編をお楽しみに。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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