港湾内の海水でトリチウムが上昇!(7) 7/9の最新情報
7/9、先週末から地下水観測孔のデータにいくつか新しい動きがありましたのでアップデートします。
これまでの流れは下記をご覧下さい。
6/24 「港湾内の海水でトリチウムが上昇!汚染水が地下水を通じて海に出ている決定的証拠になるか?」
6/26 「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(2) 東電の観測態勢の強化について」
6/28 「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(3) 新観測態勢でのデータ出始める」
6/29 「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(4) 新しい地下水観測孔のデータは?」
7/2 「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(5)実は5,6号機では放水口から放水されていた!」
7/5 「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(6) 新しい地下水観測孔から全βで900,000Bq/L!」
7/9、東京電力は新しく掘った地下水観測孔No.1-4のデータを初めて発表しました。また、同時に地盤改良工事についても発表し、この工事のために現在の観測孔No.1-1の測定はこれが最後になることを発表しました。No.1-1はH-3のデータが徐々に上がってきていたため、今後も注目だったのですが、残念です。
No.1-3はまだ完成していないのでデータがないのと、7/8採水分はH-3(トリチウム)のデータは出ていないので全βのデータのみ示します。

このシリーズでは何回か言及しているように、東電自身の解析によって、全βとSr-90にはかなりの相関関係があることがわかってきています。大ざっぱに考えて、全βの値を50%~60%にして考えると、Sr-90の値になります。そういう目でこの数値は見て欲しいと思います。
どこが高くてどこが低いか、ということに注目して下さい。明らかに図の右側(南側)の方が高く、左側(北側)が低い傾向にあります。No.1-2は2年前の漏洩事故で埋めたピットB(「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(1)」参照のこと)から北にわずか6mの位置(7/8の記者会見より)です。これを見ると、やはり全β(およびSr-90)の動きは、2年前の漏洩事故の影響を受けている可能性が高いと思います。
今は地下水観測孔のデータだけを見ましたが、海水の動きと合わせて見てみましょう。
下の図は、「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(6) 新しい地下水観測孔から全βで900,000Bq/L!」でご紹介した、7/5時点で発表されていた最新の全βのデータを記入したものです。

これに対し、7/9(本日)時点で発表された最新のデータです。新たに増えた地下水観測孔は比較できないので、海水のデータを比較してみると、概して下がっているのがわかります。前回は100-200Bq/L程度だったのが、今回は多くが100Bq/L以下になっています。なお、なぜか港湾内東側の数値が40→ND(40)、同西側の数値が60→ND(60)に断りもなしに書き換えられています。もし前回の発表が間違いで数値を修正するならば変更の旨コメントが欲しいですね。

実は、Cs-137でも以前から同様の上下は観測されていました。日によって、あるいは1-2週ごとに上がったり下がったりの変動があります。それが何によるものかはまだ解明されていません。潮汐(干潮、満潮)が関係しているという話もあります。今回、先週から比べてさがったといっても、これは単なる一時的な兆候であり、また上がってくるのは間違いないと思います。ただ、まだデータが不足していますから、今後データを積み重ねていきながら判断していくしかないと思います。
また、ここで注目していただきたいのは、地下水観測孔No.2のデータです。7/4には93Bq/Lだったのが、7/8には1700Bq/Lにはね上がっています。これが何を意味するのかは不明です。
実は、前日に発表されたNo.1-2のデータにはもう一つ特筆すべきデータがありました。Cs-137とCs-134がこれまでの100倍近く上昇したのです。7/7に発表されたNo.1-2(7/5採取)では、Cs-134が99Bq/L、Cs-137が210Bq/Lでしたが、7/8採取のNo.1-2ではわずか3日後なのに、Cs-134が9000Bq/L、Cs-137が18,000Bq/Lにはね上がっていました。

この原因についてはまだわかりません。地下水ですので、流れが1日10cm程度といわれています。その程度のスピードならば、3日で100倍になるのは考えにくいことです。従って、サンプリングにミスがあった可能性は一つ考えられます。もう一つの可能性は、実は地下水の流れは予想以上に速く、雨が降ると上流から流れてくるという可能性です。ただ、これについては現段階では何の根拠もありません。今後の検証を待ちたいと思います。
最後に、H-3のデータです。H-3のデータは一週間近く遅れて出てくるため全βと並べて比較しにくいのですが、一週間前に「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(4) 新しい地下水観測孔のデータは?」で示した時とどう変わったかを見てみましょう。
まずは6/29頃のH-3のデータです。

続いて本日発表されたH-3のデータです。いくつかの海水のデータ(特に3,4号機付近)では、検出限界値が120Bq/Lと高いこともありますがNDになっています。ただ、全体としてはあまり大きな変化がありません。

新しい観測孔も増えて、わずか3日でデータが変動するケースもあるとわかってきたので、今後もますます目が離せません。今後もこのブログでは注目していきますので、ぜひまた読みに来て下さい。
No.1-3はまだ完成していないのでデータがないのと、7/8採水分はH-3(トリチウム)のデータは出ていないので全βのデータのみ示します。

このシリーズでは何回か言及しているように、東電自身の解析によって、全βとSr-90にはかなりの相関関係があることがわかってきています。大ざっぱに考えて、全βの値を50%~60%にして考えると、Sr-90の値になります。そういう目でこの数値は見て欲しいと思います。
どこが高くてどこが低いか、ということに注目して下さい。明らかに図の右側(南側)の方が高く、左側(北側)が低い傾向にあります。No.1-2は2年前の漏洩事故で埋めたピットB(「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(1)」参照のこと)から北にわずか6mの位置(7/8の記者会見より)です。これを見ると、やはり全β(およびSr-90)の動きは、2年前の漏洩事故の影響を受けている可能性が高いと思います。
今は地下水観測孔のデータだけを見ましたが、海水の動きと合わせて見てみましょう。
下の図は、「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(6) 新しい地下水観測孔から全βで900,000Bq/L!」でご紹介した、7/5時点で発表されていた最新の全βのデータを記入したものです。

これに対し、7/9(本日)時点で発表された最新のデータです。新たに増えた地下水観測孔は比較できないので、海水のデータを比較してみると、概して下がっているのがわかります。前回は100-200Bq/L程度だったのが、今回は多くが100Bq/L以下になっています。なお、なぜか港湾内東側の数値が40→ND(40)、同西側の数値が60→ND(60)に断りもなしに書き換えられています。もし前回の発表が間違いで数値を修正するならば変更の旨コメントが欲しいですね。

実は、Cs-137でも以前から同様の上下は観測されていました。日によって、あるいは1-2週ごとに上がったり下がったりの変動があります。それが何によるものかはまだ解明されていません。潮汐(干潮、満潮)が関係しているという話もあります。今回、先週から比べてさがったといっても、これは単なる一時的な兆候であり、また上がってくるのは間違いないと思います。ただ、まだデータが不足していますから、今後データを積み重ねていきながら判断していくしかないと思います。
また、ここで注目していただきたいのは、地下水観測孔No.2のデータです。7/4には93Bq/Lだったのが、7/8には1700Bq/Lにはね上がっています。これが何を意味するのかは不明です。
実は、前日に発表されたNo.1-2のデータにはもう一つ特筆すべきデータがありました。Cs-137とCs-134がこれまでの100倍近く上昇したのです。7/7に発表されたNo.1-2(7/5採取)では、Cs-134が99Bq/L、Cs-137が210Bq/Lでしたが、7/8採取のNo.1-2ではわずか3日後なのに、Cs-134が9000Bq/L、Cs-137が18,000Bq/Lにはね上がっていました。

この原因についてはまだわかりません。地下水ですので、流れが1日10cm程度といわれています。その程度のスピードならば、3日で100倍になるのは考えにくいことです。従って、サンプリングにミスがあった可能性は一つ考えられます。もう一つの可能性は、実は地下水の流れは予想以上に速く、雨が降ると上流から流れてくるという可能性です。ただ、これについては現段階では何の根拠もありません。今後の検証を待ちたいと思います。
最後に、H-3のデータです。H-3のデータは一週間近く遅れて出てくるため全βと並べて比較しにくいのですが、一週間前に「港湾内の海水でトリチウムが上昇!(4) 新しい地下水観測孔のデータは?」で示した時とどう変わったかを見てみましょう。
まずは6/29頃のH-3のデータです。

続いて本日発表されたH-3のデータです。いくつかの海水のデータ(特に3,4号機付近)では、検出限界値が120Bq/Lと高いこともありますがNDになっています。ただ、全体としてはあまり大きな変化がありません。

新しい観測孔も増えて、わずか3日でデータが変動するケースもあるとわかってきたので、今後もますます目が離せません。今後もこのブログでは注目していきますので、ぜひまた読みに来て下さい。
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