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ついに東電が汚染水の海への流出を認める!(2) 規制庁のワーキンググループ第1回会合

 
8/2、「第1回特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ」が開催されました。このワーキンググループは、同じ原子力規制庁の特定原子力施設監視・評価検討会の議論の中で設置が決まったものです。

今回はこのワーキンググループの話と、「7/22 ついに東電が汚染水の海への流出を認める!(1)」以降のそれに至るまでの話をまとめます。

トレンチのデータの細かい話は別途今週末に書く予定です。


まず、8/2のワーキンググループで提示された図で地下水観測孔No.1の地下水の水位を確認してみましょう。今一番問題になっているのはこの地下水位の急激な上昇です

8/3-1
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 12頁より

上の図にあるように、ピンクの線がNo.1の地下水水位ですが、日に日に上がってきているのがわかります。今ではO.P.3m(O.P.+3000)を超えてきています。これはなぜかというと、7/8より地盤改良を行っているため、地下水の流れがせき止められているからです。そのために地下水水位が上がってきているのです。7月の降雨によってNo.2やNo.3でも水位が上昇しているが、No.1の上昇が一番多いと説明がありました。

8/3-2
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 39頁より

この地盤改良というのは、水ガラスを注入して行っています。地下16m程度にある難透水層まで注入しているということです。地下水の流れを下部では止めているはずです。

8/3-5
7/8東電HP 福島第一原子力発電所1・2号機取水口間の護岸における地盤改良工事の開始について より

しかしながら、この水ガラスは施工技術上、浅い部分では地下1.8m(O.P.2200)より上は有効ではないということが今週の東京電力の記者会見などで明らかにされています。8/2のワーキンググループでもこの数値ははっきりと東京電力が回答しています(動画で0:41:00あたり)。ということは、No.1の水位がO.P.3000ですので、すでに地下水がこの水ガラスによる遮水壁を超えている可能性が高いのです。

西(山側)から東(海側)に向かって地下水が流れて行く中で水位が傾斜して下がっていきます。ワーキンググループでは、過去の水位測定データから、No.1の水位とNo.1-1(今は水ガラスに囲まれてしまって使用不能)の水位は30cm程度違う(No.1-1の方が30cm低い)という議論がされていました。なので、地盤改良を行っている水ガラスのあたりの地下水位は正確にはわかっていない(公表されていない)ということです。下の動画キャプチャは規制庁の金城室長が東電から報告を受けた地下水位データをホワイトボードに書き出したものです。(なお、この水位に地盤沈下分の70cmを足した数字を用いてO.P.の議論をしています。詳細は「原子力規制委員会の資料でわかった福島第一原発での標高管理の注意点」参照)

8/3-3
(規制庁のワーキンググループ動画(1:29:34)より;東電が規制庁に報告した観測孔の地下水位)

この議論の中で、7/20頃から海水(1,2号機取水口間海水表層)のデータが上がってきており(詳細は下表参照)、最初に示したグラフではNo.1の地下水位が7/20にはO.P.2500に達しており、No.1とNo.1-1の水位差30cmを考慮すると水ガラスの高さO.P.2200を超えた日と考えることができるという更田委員の指摘もありました。

8/3-4
東電HP:福島第一原子力発電所港湾内、放水口、護岸の詳細分析結果(8月1日時点)より

確かにデータを見ているとその可能性もあると思います。1,2号機取水口間海水表層のデータは今後も要注目です。また、この地点は表層と下層の2点で測定しているのですが、水ガラスを超えてあふれ出してくるならば表層の方が下層よりも放射能の濃度が高くなるはずだ、という指摘がありました。そういうことを考えてこの地点では規制庁が表層と下層の2点を測定させているそうです。

今回のワーキンググループでは、喫緊の課題として、海に漏れ出している汚染された地下水をどうやって止めるべきか、という議論がされました。東電が現在進行中の護岸付近の2列の地盤改良(水ガラス)の完成予定は8/10なのですが、その完成を待たずとも下の図にあるように集水枡を設置し、そこからポンプで水を汲み出すべきではないか、という議論がありました。また、汲み上げた水をどこにためるのかという議論もありました。

8/3-6
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 42頁より

結論としては、技術的な課題もあるので東電が持ち帰って検討することになりましたが、次回のワーキンググループ(8/12または8/13)までに回答することが更田委員から要求されています。

今も汚染された地下水が海に流出し続けているという前提で早急に対応すべき、というのが規制庁の考え方です。

その他、1-2号機のスクリーン間のボーリング調査計画が今回明らかになりました。下図のように、すでに完成しているNo.1-5に加えてNo.1-15まで、及びNo.0-1やNo.2-3、そして①②といった観測孔が整備される予定です。
8/3-7
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 9頁より

同様の事は2-3号機間、3-4号機間でも計画があり、新たに追加される予定です。
8/3-8
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 11頁より


さて、実は8/2のワーキンググループで一番マスコミが取り上げた(リンクは毎日)のは、2時間の会議の最後の10分くらいで東京電力が説明した地下水からのトリチウム流出量の試算についてでした。暫定の試算ということでラフなものですが、大体の流出量のオーダーがわかるようになっています。

8/3-9
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 56頁より

評価は陸側のデータを用いたものと海側のデータを用いたものの二つを行っています。まず陸側です。

これまでのトリチウム濃度は地下水観測孔No.1の最大値が500,000Bq/Lなのでこの濃度と仮定します。次に地下水の取水口内への浸透水量は約400m3/日です。これはもっと多い気もします。どういう計算でこれを出したのでしょうか?私にはわかりませんが、10倍も違うことはないので、この数値で良いことにしましょう。
それから、2-3号間及び3-4号間は1-2号間に比べると濃度的にかなり低いので無視できます。そこで、1-4号取水口内開渠の幅が430mで、1-2号のスクリーン間の幅が100mなので、400(m3/日)×100m/430mが1-2号間の護岸から地下水が一日に海に流れ込む量です。それに500,000Bq/Lをかけると次の式になります。

400(m3/日)×100(m)/430(m)×50 万(Bq/L)×1,000(L/m3)=50,000,000,000(Bq/日)

つまり、500億Bq/日が海に流出している計算です。

次に海側の試算です。
海側のデータは、取水口内の海水データの2011年6月から2013年4月までは平均300Bq/Lでした。この取水口内開渠の体積が160,000m3です。毎日2回の潮の満ち引きで海水が交換されますので、それを0.5(回/日)としています。これはどうやって出すのでしょうか?

以前「「原発汚染水 専用港に流出し続けていた可能性」のNHK報道に関連した話」でご紹介した神田先生の論文(リンク先は英語)を読んでも、干満だけによる海水の交換は一日0.2であろうと推測しています。これに、規制庁が言っている5,6号機からの6,500m3/時という取水・放水による交換分(私の計算では0.08)を足しても0.28です。神田先生は2011年当時の海水のデータ解析から0.44(回/日)という数値を出しています。今回の0.5というのはほぼその数値に合っています。

これらをかけ算すると

300(Bq/L)×160,000(m3)×1,000(L/m3)×0.5(回/日)=20,000,000,000(Bq/日)
つまり、200億Bq/日が海に流出している計算です。

2013年5月以降は、おそらくは海側遮水壁工事の影響でしょうが高いところ(1-4号取水口北)では海水のデータが上昇していますので、そちらを採用して日数をかけると、2011年5月から2013年7月までにトリチウムは合計で20兆Bqあるいは40兆ベクレル流出した計算になります。10の13乗(10テラベクレル)のオーダーですね。

8/3-10
8/2資料2 海側地下水及び海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策[東京電力] 57頁より

この数値は、福島第一原発で認められているトリチウムの年間排出量22兆ベクレルとほぼ同じです。ただ、22兆ベクレルというのは規制値なので、実績については旧保安院が昨年8月にまとめた「平成23年度原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について」によると、福島第一原発は2009年度で2兆ベクレルでした。これまでもコンスタントに1-2兆ベクレルは放出しています。これは他の原発でも量の違いはありますが同様です。原発を運転する以上トリチウムは毎年必ずそれなりの量が海に放出されることが許容されています。この事は知っておく必要はあります。

8/3-11
参考資料4.放射性液体廃棄物中のトリチウムの年度別放出量 より

以上、8/2のワーキンググループとそれまでに問題になっていた話をザッとご紹介しましたが、この日の議論については規制庁の動画も公開されていますが、動画を見るのは大変な人はこのtogetterを参考にして下さい。

また、トレンチの細かい情報の解析については別途書く予定です。今回は全体の流れがわかるような話をまとめています。


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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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