汚染水タンクからこれまで最大の300トンの漏えい!
昨日から報道されていたH4エリアの汚染水漏れ、昨日は120Lか?というような情報で、どの程度の濃度の汚染水がどれだけの量もれたのかもわかっていませんでしたが、今日になって過去最大のタンクからの汚染水漏れであることが発覚しました。
今日はその話です。
第一報は昨日8/19に「本日(8月19日)午前10時40分頃、福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンク堰のドレン弁から水が出ていることを、パトロール中の当社社員が発見しました。」というものがありました。(のちにこの時間は9:50に訂正されました。)
しかしながら、その日の夕方の定例会見(リンク先はtogetter)ではあまり大した情報は得られませんでした。わかったのは漏れた場所にある集水枡の写真とドレン弁、そしてそこから漏れている写真です。

(8/19 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて より)
また、集水枡のドレン弁の運用について、「通常は雨水がたまらないように開けておいて、万一漏洩があった際には速やかに閉める」という信じられない説明がありました。これについては普通だったらだれもが、通常は「閉」で雨が降った時には開けて排水するという運用ではないか、と考えると思います。そして雨が降った後に閉め忘れたのだと。記者会見でもその質問が出ましたが、東電の説明はあくまで通常は「開」だという説明でした。ともかく、ドレン弁は開いていたため、漏れたタンクの汚染水は外に出てしまったのです。

(8/19 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて より)
その後、20日になる午前1:30(東電HPでは時間がわからないため、おしどりマコさんのブログより時刻情報を入手)になって、漏れた汚染水の濃度が「報道関係各位一斉メール」として配信されました。
そして本日昼過ぎに行われた臨時の記者会見(リンク先はtogetter)で漏れた汚染水の量は約300トンと発表されました。
その場所は、タンクがたくさん設置してあるエリアのうち、H4と呼ばれるエリアです。ここは、タンクを設置したエリアの内でも比較的早くから設置されたエリア(2011年12月に設置されたそうです)で、確認できていませんが、汚染水の濃度も高い可能性があります(2年あまりの運用の中で、ストロンチウムやトリチウムなどは除去されないまでも地下水で希釈されているため、一昨年と今年では汚染水の濃度が10倍程度異なる)。

(8/20 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報) より)
濃度は下に示すように全βで8.0E+04Bq/cm3=8.0E+07Bq/L、つまり8000万Bq/Lです。この汚染水はセシウム除去装置を通した後の水ですのでセシウムは減っています。メインは全βの中に60%前後含まれるストロンチウムです。

(8/20 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報) より)
上の図で側溝と呼ばれる8番の水採取地点のデータは全βで0.13Bq/cm3=130Bq/Lでしたから、元の濃度からすると10万分の一以下で、このデータからすると側溝を通じて海へ流出していない可能性が高いと思われます。ただし、300トンもの水が漏れたということですので、大量に地下に染みこんでいった可能性が高いと思います。また、もし何日も時間をかけて漏えいしていたとしたら、今回測定した時は側溝のデータがたまたま低かったという可能性も排除できません。
なお、東電はまだ漏えいした場所がこのエリアの中のNo.5のタンクであることは突き止めましたが、その5番のタンクのどこから漏れたのかは特定できていないようです。漏えい箇所をふさぐ処理をするよりも先に汚染水の回収をしています。

どうやって300トンと判断したか、ということですが、このエリアのタンクは高さが11mあるタンクで、満水になると上から50cmまで水が入るそうです。それが今回(このタンクには水位計がなかったので)上からの水位を測定すると3m40cmで、これを水量に直すと300トン=300m3だということです。回収できたのはわずか4トンですから、296トンが流出したことになります。全βにして24兆ベクレルです。
でも、300トンもの水が一晩で流れたのか?これに関しては一晩で流れたのではない可能性もあると記者会見でも述べていました。となると、先ほども出てきたドレン弁の運用が常時閉であれば、このほとんどは流出を防ぐことができたのではないでしょうか。
なお、このタンクにはまだ汚染水が大量に残っているのですが、別のタンクへの移設はまだ始まっていません。そうこうする間に6時間でさらに5トンの汚染水が漏れたという発表もあったようです。だとすると、1日に約20トン、逆算すると15日ほど前から漏れ続けていたということですね。
なお、今回のタンクからの汚染水漏れは5回目ということです。実は私は過去4回のうち3回はフォローしていてブログにも書いています。「地下貯水槽の汚染水漏れから1ヶ月(2):過去の漏えいとの位置関係を整理」にもまとめたのですが、4回目がフォローできていません。細かい水漏れは山のようにあるのですが、どれを4回目と数えるのか把握できていません。ご存じの方がいたら教えてください。
8/20 23:00追記:4回の漏えいとは、私の思っていたのと違って、2012年4月5日の東電報告書にある
2012年1/10 H2エリア
2012年2/3 H4東エリア
2012年2/6 H4エリア
を含むようです。コアジサシさんの情報より。この時の漏えいはあまり大したことがなかったので、私はスルーしていました。どれを4回と数えるのかはあとでじっくり確認します。追記終わり
2011年12月
「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」
など
2012年3月
「3/28 Sr入り汚染水による海洋汚染その3 本日の最新情報」
など
2012年4月
「4/5【速報】 3/26に続いてまたも同じ種類の配管からSr汚染水が海へ流出?」
など
ただ、この3回と今回の汚染水漏れの場所を比較すると、溶接をしたタンクではなくフランジタイプのタンクがこのエリアにあるからかもしれませんが、非常に狭いエリアに集中していることがわかります。

今夜はここまでとします。また何かあれば続報を書きます。
しかしながら、その日の夕方の定例会見(リンク先はtogetter)ではあまり大した情報は得られませんでした。わかったのは漏れた場所にある集水枡の写真とドレン弁、そしてそこから漏れている写真です。

(8/19 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて より)
また、集水枡のドレン弁の運用について、「通常は雨水がたまらないように開けておいて、万一漏洩があった際には速やかに閉める」という信じられない説明がありました。これについては普通だったらだれもが、通常は「閉」で雨が降った時には開けて排水するという運用ではないか、と考えると思います。そして雨が降った後に閉め忘れたのだと。記者会見でもその質問が出ましたが、東電の説明はあくまで通常は「開」だという説明でした。ともかく、ドレン弁は開いていたため、漏れたタンクの汚染水は外に出てしまったのです。

(8/19 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて より)
その後、20日になる午前1:30(東電HPでは時間がわからないため、おしどりマコさんのブログより時刻情報を入手)になって、漏れた汚染水の濃度が「報道関係各位一斉メール」として配信されました。
そして本日昼過ぎに行われた臨時の記者会見(リンク先はtogetter)で漏れた汚染水の量は約300トンと発表されました。
その場所は、タンクがたくさん設置してあるエリアのうち、H4と呼ばれるエリアです。ここは、タンクを設置したエリアの内でも比較的早くから設置されたエリア(2011年12月に設置されたそうです)で、確認できていませんが、汚染水の濃度も高い可能性があります(2年あまりの運用の中で、ストロンチウムやトリチウムなどは除去されないまでも地下水で希釈されているため、一昨年と今年では汚染水の濃度が10倍程度異なる)。

(8/20 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報) より)
濃度は下に示すように全βで8.0E+04Bq/cm3=8.0E+07Bq/L、つまり8000万Bq/Lです。この汚染水はセシウム除去装置を通した後の水ですのでセシウムは減っています。メインは全βの中に60%前後含まれるストロンチウムです。

(8/20 東電HP 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れについて(続報) より)
上の図で側溝と呼ばれる8番の水採取地点のデータは全βで0.13Bq/cm3=130Bq/Lでしたから、元の濃度からすると10万分の一以下で、このデータからすると側溝を通じて海へ流出していない可能性が高いと思われます。ただし、300トンもの水が漏れたということですので、大量に地下に染みこんでいった可能性が高いと思います。また、もし何日も時間をかけて漏えいしていたとしたら、今回測定した時は側溝のデータがたまたま低かったという可能性も排除できません。
なお、東電はまだ漏えいした場所がこのエリアの中のNo.5のタンクであることは突き止めましたが、その5番のタンクのどこから漏れたのかは特定できていないようです。漏えい箇所をふさぐ処理をするよりも先に汚染水の回収をしています。

どうやって300トンと判断したか、ということですが、このエリアのタンクは高さが11mあるタンクで、満水になると上から50cmまで水が入るそうです。それが今回(このタンクには水位計がなかったので)上からの水位を測定すると3m40cmで、これを水量に直すと300トン=300m3だということです。回収できたのはわずか4トンですから、296トンが流出したことになります。全βにして24兆ベクレルです。
でも、300トンもの水が一晩で流れたのか?これに関しては一晩で流れたのではない可能性もあると記者会見でも述べていました。となると、先ほども出てきたドレン弁の運用が常時閉であれば、このほとんどは流出を防ぐことができたのではないでしょうか。
なお、このタンクにはまだ汚染水が大量に残っているのですが、別のタンクへの移設はまだ始まっていません。そうこうする間に6時間でさらに5トンの汚染水が漏れたという発表もあったようです。だとすると、1日に約20トン、逆算すると15日ほど前から漏れ続けていたということですね。
なお、今回のタンクからの汚染水漏れは5回目ということです。実は私は過去4回のうち3回はフォローしていてブログにも書いています。「地下貯水槽の汚染水漏れから1ヶ月(2):過去の漏えいとの位置関係を整理」にもまとめたのですが、4回目がフォローできていません。細かい水漏れは山のようにあるのですが、どれを4回目と数えるのか把握できていません。ご存じの方がいたら教えてください。
8/20 23:00追記:4回の漏えいとは、私の思っていたのと違って、2012年4月5日の東電報告書にある
2012年1/10 H2エリア
2012年2/3 H4東エリア
2012年2/6 H4エリア
を含むようです。コアジサシさんの情報より。この時の漏えいはあまり大したことがなかったので、私はスルーしていました。どれを4回と数えるのかはあとでじっくり確認します。追記終わり
2011年12月
「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」
など
2012年3月
「3/28 Sr入り汚染水による海洋汚染その3 本日の最新情報」
など
2012年4月
「4/5【速報】 3/26に続いてまたも同じ種類の配管からSr汚染水が海へ流出?」
など
ただ、この3回と今回の汚染水漏れの場所を比較すると、溶接をしたタンクではなくフランジタイプのタンクがこのエリアにあるからかもしれませんが、非常に狭いエリアに集中していることがわかります。

今夜はここまでとします。また何かあれば続報を書きます。
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