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あまりにも多くなりすぎた汚染水の会議体を整理します。

 
昨日の9/9には「汚染水対策現地調整会議」というのが開催されたそうです。また、本日(9/10)は「廃炉・汚染水対策関係閣僚会議」が開催されたそうです。

政府が本腰を入れて対策を講じる、と言い出してからいろんな会議体が作られました。さすがの私も、もう会議体がいくつあるのかわからなくなってきましたので、今日はその整理をしようと思います。


福島原発事故以降に原子力規制委員会ができたのは、今までの保安院のように同じ経産省の中に推進側と規制側を置くのではなく、推進側と規制側の分離をするということが目的でした。そのため、各種の会議体も推進側のエネ庁関係と、規制側の規制委員会側の両方に存在しました。こんな感じです。これから順を追って説明していきます。

9/10-5


まずは原発の推進側の官庁である経産省(エネルギー庁)です。その情報は主に「「東京電力(株)福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」について」というページにあります。

廃炉対策推進会議:

平成25年2月8日、第28回原子力災害対策本部会議において、「東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議」が設置されました。と同時に、民主党時代に行われていた「政府・東京電力中長期対策会議」は廃止されました。これは政権交代に伴う枠組みの変更です。

廃炉対策推進会議の議長は経済産業大臣です。この会議はこれまで2月から6月までほぼ月に1回行われていましたが、第5回以降は開催されていません。

ただし、この会議の事務局会議というのは今も定期的に開催され、第7回まで開催されています。


4月の第3回廃炉対策推進会議において、「汚染水処理対策委員会」の設置が決定されました。ちょうどこの頃は地下貯水槽で汚染水問題にメディアが注目し始めた頃です。

汚染水処理対策委員会:

汚染水処理対策委員会は、当初5月までに一定の方針を出すという目標で第3回まで開催され、5/30に46ページにわたる報告書を提出して陸側遮水壁の提案を行いました。

そこでこの委員会はいったん休止状態に入るのですが、7月に東京電力が汚染水が地下水を通じて海に流出していることを認めると、規制庁は活発に活動しているのにエネ庁は何もやらないのか、という批判が上がり、第4回の汚染水処理対策委員会が8/8に開催されます。そして、下記のように9月末をメドに緊急対策や抜本策についてまとめることになりました。

9/10-2

汚染水処理対策委員会は現在第5回まで開催されていますが、9月中に第7回まで開催してとりまとめることが第4回の「汚染水処理対策委員会の当面の進め方」に記載されています。

陸側遮水壁タスクフォース:

また、汚染水処理対策委員会の提言に基づいて実施することになった陸側遮水壁については、汚染水処理対策委員会の下に「陸側遮水壁タスクフォース」が設置され、概念設計、施工計画の策定等の評価、進捗管理等を行う事になっています。

エネ庁関係の会議体や委員会をまとめると、下図の左側のようになります。

9/10-5


一方で、原子力規制委員会です。これは上の図の右側になります。

原子力規制委員会では、委員会の下に設けられたいくつもの検討チームがあります。その中でも特に福島第一原子力発電所の事故処理対応に対する話をしてきたのが「特定原子力施設監視・評価検討会」でした。こちらでもやはり7/22に東電が汚染水が地下水を通じて海に流出しているという発表を受けて、この検討会の下に「汚染水対策検討ワーキンググループ」が設置されることが決まりました。

経産省・エネ庁の委員会は非公開だったようですが、こちらの検討チームは動画を含めて全て公開で行われていましたので、どのような議論が行われたのかわかります。専門家による追求によって東電が渋々情報を出してきていたのは間違いありません。私は更田委員のこの検討チームはなかなかいい仕事をしていたと思います。

この汚染水対策検討ワーキンググループはこれまで5回行われており、東京電力の記者会見よりもよっぽど充実した情報を得られる貴重な会議であることは保証します。このワーキンググループは特定原子力施設監視・評価検討会にその検討結果を報告し、海洋モニタリングに関する検討会とも連携することになっています。

海洋モニタリングに関する検討会」は7/31の原子力規制委員会において設置が決まった検討会ですが、第1回が9/13に開催されるので、まだどのような議論が行われるのかわかりません。担当委員は中村委員です。


さて、それ以外に8月後半になってから政府が前面に出て対策を取るということになり、2020年のオリンピック開催地決定を控えた9/3には「汚染水問題に関する基本方針」が決定されました。

「まずは、政府の体制を強化します。「廃炉・汚染水対策関係閣僚会議」を設置し、政府一体となった体制を構築します。また、「廃炉・汚染水対策現地事務所」を設置し、関係省庁から現場に常駐する職員も含めて、国としての体制強化を行います。さらに、現地における政府、東京電力等の関係者の連携と調整を強化するため、「汚染水対策現地調整会議」を設置するとともに、地元のニーズに迅速に対応するため、「廃炉対策推進会議福島評議会」を活用します。」

「廃炉・汚染水対策現地事務所」については詳しい資料はわかりませんが、「福島第一原子力発電所の近郊に、「廃炉・汚染水対策現地事務所」を設置し、関係省庁から発電所の現場に常駐する職員も含めて国としての体制強化を行う。」と記載があります。

廃炉・汚染水対策関係閣僚会議

議長は内閣官房長官です。第1回が本日9/10に開催されました。

この会議で、廃炉・汚染水対策チームの設置が決定されました。これは経済産業大臣がチーム長です。

9/10-3

それ以外にも「汚染水対策現地調整会議」というのがあり、「汚染水対策現地調整会議」についてはすでに9/9に第1回が開催されました。

この会議は「汚染水問題の最新の状況、各検討主体(汚染水処理対策委員会、原子力規制委員会汚染水対策検討WG、東京電力等)における汚染水問題への対応の検討状況について、政府、東京電力等の現地における情報共有の強化を図る。」ということで、経産省側と規制委員会側、そして東電の情報共有を図り、連携強化と調整を行うことが目的のようです。ただ、こういう会議はエネ庁と規制庁の調整がうまくいくかどうかに全てがかかっています。今後に期待しましょう。

この会議については東電HPの「福島第一原子力発電所1~4号機の廃炉措置等に向けた中長期ロードマップ」に資料などが載るようです。

この資料は、9/10の第1回「廃炉・汚染水対策関係閣僚会議」の資料(参考3)です。
9/10-4

ここに、各種の会議体がどのような役割を持っているのかが記載されています。この通りに動いてくれることを期待しましょう。

また、同じ資料(参考2)では全体的な対策のスケジュールが示されています。

9/10-6

この図はわりと全体像とスケジュールをしっかりと示しており、参考になると思います。

今日は、あまりにも増えすぎて訳がわからなくなってきた汚染水関係の会議体についてまとめました。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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