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4/14 海洋放射能汚染で魚を食べても大丈夫か?その17

昨日の厚労省の発表で、いわき市沖でとれたコウナゴから基準値を大幅に上回る(12500Bq/kg)放射性セシウムが検出されたというニュースがありました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000193q0-att/2r98520000019470.pdf

そこで今日は、話題になっているコウナゴについて、調べてみました。なぜこれだけの数値が出たのかについても、少し触れたいと思います。

11/23追記:なお、魚の放射能汚染については、最新版は「11/4 魚の放射能汚染の現状 11月初旬の実態のまとめ」をどうぞ。
まずコウナゴとは、イカナゴ(あるいはメロウド)の幼名であるということです。
大きくなると、コウナゴ(イカナゴ)は20cmくらいになるそうです。
以下、呼び名はコウナゴで統一します。

非常に一般的な説明が書いてある資料を見つけました。下記をご覧下さい。学問的な分類名から、生態、漁法、料理法まで載っていて、お薦めです!

日本水産資源保護協会
http://61.206.45.179/01/pdf/pamphlet/090.pdf

それによると、コウナゴは、
群れて表層を回遊する魚です。仙台湾、伊勢湾、瀬戸内海産が有名です。
2月頃に産卵し、3月に漁獲の対象となり、4月に3cm、8月に10cmになります。
夏の暑い時期は海底の砂の中に潜り冬眠ならぬ「夏眠」をするそうです。満1才で成魚となり、産卵に加わるそうです。

茨城県水産試験場の資料では、コウナゴについて下記のような説明があります。

茨城県水産試験場
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/suishi/honjyo/shigen/menu.htm
コウナゴの説明(ここではイカナゴ)
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/suishi/honjyo/shigen/ikanago.pdf


次に、問題となっている茨城県北部やいわき市のコウナゴがどこから来るかについて調べてみました。

下記の茨城県水産試験場の研究報告その他によると、茨城県で取れるコウナゴは、茨城で産卵されたものもあるが、宮城湾で生まれたものが海流に乗って南下してくると書いてあります。

茨城県水産試験場研究報告(1988年)
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/suishi/honjyo/kenkyuhoukoku/20-29/26/26-2.pdf

また、漁業関係者向けの資料で、5年前のイカナゴ漁の漁獲高予測では、下記のような記載があります。
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/suishi/honjyo/engansigendanwakai/h17nendo/sirasu.pdf

「本県のイカナゴ漁は仙台湾発生群の量と親潮南下の強弱できまる。」
「昨年のイカナゴ漁は、親潮の南下状況に基づき2,000トンと予測した。これに対し実績は359トンと大幅に予測を下回った。予測がはずれた理由として、宮城県から南下する流れが弱く、茨城県沖にイカナゴが供給されなかったためと考えられた。」

では、どういう海流なのでしょうか?
今年の3/15の時点の海流、特にいわき市から茨城にかけての沿岸の海流が青字で記載してあります。

水産の窓
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/nourin/suishi/honjyo/suisanmado/22nendo/22-49.pdf
茨城海流3/15

同様に、福島県水産試験場のデータでも、今年の3/7時点での実測に基づく海流が書いてありますが、沿岸は南に海流が向かっています。

福島県水産試験場
http://www.pref.fukushima.jp/suisan-shiken/gyokyou/chousa/201103/11nago10.pdf
福島水産試験場海流


これらのことを合わせると、以下のことがわかります。

・コウナゴ(イカナゴ)は、表層を泳ぐ魚である。2月に産卵し、3月の稚魚の段階から8月にかけて成長する。大きくなると20cmくらいにまで成長する。
・コウナゴ漁は、3月あたりから始まり、夏まで続く。暑くなるとコウナゴは海底で夏眠する。
福島県や茨城県で取れるコウナゴは、宮城湾で生まれたものが海流に乗って南下してくるものが多い
・福島県から茨城県にかけて、沿岸沿いでは3月は北からの南下する海流があった。

ここで重要なことは、現在いわき市や北茨城市で取れているコウナゴは、放射性セシウムが多く含まれる海の表面(海面から100m以内)を通って北から南に移動してきている可能性があるということです。

そして、これまでのシリーズで明らかにしてきたように、この地域(特に東京電力がモニタリングをしている沿岸15km以内)では、4月5日以降には100-200Bq/kgのCs-137が数日間にわたって(グラフでは7日までしか示していない。そのあと8日から10日は悪天候のためデータがとれなかったものの、11日も100Bq/kgを超えているので、おそらく1週間以上)検出されていました。特に5番の1F敷地沖合約15km付近と、10番の請戸川沖合約15km付近です。番号については、下図の赤い数字を参照ください。
Cs-137沖合15km
海洋サンプリング地点4/8

これは、昨日の記事でご紹介した、シミュレーションにおいても同様の結果が得られています。
4/13 海洋放射能汚染で魚を食べても大丈夫か?その16

これまでご紹介しているように、生物濃縮を考慮すると、Cs-137で50-100倍、放射性セシウムで100-200倍の濃縮が起こるため、海水のCs-137の濃度を100Bq/kgとすると10000-20000Bq/kgの放射性セシウムが検出されてもおかしくないという数字になっています。
なお、グラフ中に入れた赤い横棒は、60Bq/kgのラインです。このラインを数日間超えた地点にコウナゴがいると、60Bq/kg×100=6000Bq/kgのCs-137が検出されてもおかしくありません。実際、昨日のデータでは、6300Bq/kgのCs-137が検出されています(Cs-134が6200Bq/kgで、合わせて放射性セシウムとして12500Bq/kg)。

4/5の東京電力の沖合15kmのデータで、Cs-137の濃度が320Bq/kgと200Bq/kgを越えたので、「4/6 その7危険信号発生」で10000Bq/kgを超える可能性がある!とアラートをならしました。残念ながら、これが的中してしまったことになります。

昨日のシミュレーションを検証した際、10000-20000Bq/kgの放射性セシウムは検出されないだろうと楽観的なことを書いたのは、主に沖合30kmのデータを元に考えたのと、やや北に移動している可能性があるというシミュレーションがあったためでした。シミュレーションでは沿岸地域の海流のデータがわからないため、気にはなっていたのですが、希望的観測で無視してしまいました。結果的に昨日書いたことは間違っていました。申し訳ないです。


今回のデータと、新たにわかったコウナゴの性質を踏まえて若干修正を加えます。

・コウナゴについて
この魚の性質(福島、茨城当たりでは北から南に回遊する)から、北の宮城湾の方から、放射性セシウムの濃度が高い海域を泳いでくる可能性がある。従って、茨城県のコウナゴには高めの放射性セシウムが含まれる可能性がある。定期的なコウナゴのモニタリングが必要。

一方、海底や、深いところを泳いでいる魚については、これまでほとんど放射性セシウムが検出されていないことから、そういう魚についてはあまり心配しなくても良い。ただ、食物連鎖を考慮して、コウナゴなどを食べた魚や、さらにそれを食べる魚の場合は、今後2ヶ月程度遅れて数値が上がってくることが御園生さんの研究データでわかっているので、注意が必要(具体的にそのような魚がいるのかどうかはわかりませんのであくまで机上の議論です)。

シミュレーションにおいて、漏出した高濃度の放射性セシウムなどが北に移動することが予想されているため、そのあたりの海域にとどまっている魚については注意が必要。

つまり、
・海流の動き
・主に生息している海中の深さ
・回遊するのかしないのか
等を考慮に入れて、魚の種類毎に個別に判断する必要がありそうです。

ただ、昨日のシミュレーションにもあったように、あと2ヶ月もすれば、放射性セシウムは親潮に乗って南下し、さらには黒潮にぶつかって太平洋に拡散して行くでしょう。そこまでいけば濃度は薄くなるので、それ以降に新たに汚染される可能性は少ないと思います。

昨日のコウナゴのデータで、ある意味自分の考えが間違っていなかったことがわかったわけですが、4/6の時点で気がついた高濃度の汚染の可能性が実現してしまったことは残念です。
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