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汚染水処理の現状レビュー(9/30の第7回汚染水対策検討WGより)

 
9/30に行われた第7回汚染水対策検討ワーキンググループ(汚染水WG)は、夜7時からの開催でしたが、3時間に及ぶ長丁場でした。夜の開催だったため、久し振りにほぼ全部を視聴しましたので、その中から現況のポイントや議論になったところを解説したいと思います。


この汚染水WGでは、東京電力の記者会見とは異なり、資料がまとまって出てきます。また、質問するのが記者ではなく専門家なので、東電のメンバーもまともに答えざるを得ない状況です。

1.H4エリアタンクの漏えい原因調査

まず最初に議題になったのは、H4エリアからのタンク漏えいについての話です。8/19に発見されたH4エリアのNo.5タンクからの漏えいは、一ヶ月以上経ちますがいまだに原因がわかっていません。最近になって東京電力はこのタンクを解体し、底板から泡が吸い込まれることを確認しました。つまりここからは空気の流通があるということです。

10/1-1

しかしながら、ボルトの緩みや線量測定結果のデータは別のところが漏えい箇所である可能性も示唆しており、全てを合わせてうまく説明できる結果は得られていません。

議論の中で、以前のWGでは1mm×25mmの穴があれば今回の流出を説明できるという話があったが、今回見つかったバキューム試験の結果では、それだけの穴が開いているとは思えず、むしろバキューム試験では泡の吸い込みはなかったものの、いくつかボルトが緩んでいる箇所の方が可能性が高いのではないか、という議論もありました。

10/1-2

このWGを主宰している規制委員会の更田委員は、これらの結果を受けて、バキューム試験の結果はあるものの、現段階ではこれが原因だというものはわかっていない、と結論づけました。そこで、これ以上細かく底板や側板の調査をするよりも早く底板を外して、基礎のコンクリートに耐水性があるのかどうかを確認することの方が重要だとコメントしています。

底板を外すのは東電のスケジュールでは10/9頃ですが、その時に水の通り道が見えればそこから流出したとわかりますが、もしそれが見えなければ確実な原因が何かはわからないままに終わる可能性もあります。

そして、更田委員のコメントとして、以前のWGにおいても言っていたように、今回の漏洩事故がこのタイプのタンク全てに共通する原因である可能性があるのか、あるいはこのタンクの特殊要因があると言えるのかが一番のポイントである。現段階では特殊要因であるとは言えないため、このタンクと同じタイプのフランジタンクは早く卒業するようにしていくことと、それには恐らくかなり時間がかかるため、管理できない状態でのタンクからの漏えいを防ぐようにすることを目指すべきだとまとめられました。

2.堰内溜まり水の排水

続いて、9/15~9/16の台風18号において東電が緊急措置として排水した問題について議論がされました。

10/1-3

ここでは、更田委員が非常に憤慨していて、上記の「各エリア堰内からノッチタンク(4000m3)への移送ラインの設置準備を進めていたが、大量(約3km)の移送ホース調達のため、設置完了が10月中旬の状況」であるために「9月16日に堰内溜まり水の放射能濃度が十分低い値で雨水と判断できるエリアについては、緊急措置として堰ドレン弁を開操作し、雨水を排水」下とすることに対して、こんなことは9月に台風が来るというのが十分に予想されているのだから、早めに対策をしなかったのが悪い。準備ができていれば間に合ったことを緊急措置と呼べるのか?規制委員会としては、これは間に合わなかったから許可するとは言えない、緊急措置とは呼べない、と述べていました。

これに対して、東京電力は言い訳になりますが、と前置しながら「汚染した水をo-バオフローさせないことを優先させた。」と回答をしていました。

そして、今後の対応策として東京電力が掲げた「暫定排水基準値」の記述に対して非難が集中しました。

10/1-4

例えば(3)で「その他のγ核種が検出されていないこと」という表現に対しては、実はよく聞いてみるとその測定は5分間しか測定しておらず、測定の専門家としてこのWGに呼ばれた大石委員が、通常は緊急時でも10分間は測定するというコメントがありました。従って、これは「5分間の測定で」という条件をつけない限り誤解させる表現であるということが判明しました。

そこから始まって、そもそも東京電力の測定方法は正しく測定できているのか?標準線源は何を使っているのか?などとそもそもの測定方法に疑問符がつき、更田委員から今度規制庁から職員を送って測定方法についても現地調査をするということが表明されました。

3.汚染水の流出経路・範囲について

次の議題は汚染水の流出が現状ではどうなっているのかという調査結果です。これについてはこのブログでも「福島原発 汚染水関係データの推移を可視化(9/24:随時更新予定)」で随時状況の報告をしています。

詳細なデータの解説は上の記事を見ていただくとして、これらのデータについて更田委員は「いろんなデータが出ているけど、結論として何かが言えるような状況ではない」とまずバッサリと結論づけました。さらに、H-3が高いのはいいとしても、全βが下がってきているのはどうしてなのか?測定方法に問題があるのではないか?と先ほどの水の測定方法と絡めて東京電力の全βの測定方法に疑義を呈しました。

また、排水路のデータにおいて、下のような降水量と排水路データの関係を示すデータが出ていたのですが、9/15の大量の降雨の際に濃度が上がってなおかつ流量も大量になっていることを安原委員が気にしていました。

10/1-5

安原さんは、漏えいしたタンクの付近の地下水の水位は約3.2mと報告されており、排水路の底面は地下1.5~1.7mで通常は排水路よりも下にある。しかし、この地下水は自由地下水(不圧地下水)なので、数十mmの降雨があれば地下水位は1-2mは簡単に上がる。となると、15日の降雨の時には地下水の水位が排水路の底面よりも高くなっていて、排水路のコンクリートの継ぎ目などから排水路に流れ込んで流れていった可能性もあるのではないか、というコメントをされていました。


4.護岸エリアの対策

タンクの話は当初40分で終わるはずだったのですが、1時間40分ほどかかってしまいました。この時点で予定通りの9時に終わる見込みはなくなりました。

そしてやっと護岸エリアの話にうつります。

まず更田委員はNo.1-8(水ガラスの内側)とNo.1-9(水ガラスの外側)の水位の比較から入りました。この水ガラスによる遮蔽の効果がどれだけあるのかを気にしていました。

10/1-6

No.1-9の水位がO.P.約1.9mと高いため、それは何故か?という質問に対して、東京電力は、平均海面がO.P.1.6mなので確かに海面よりも高い。しかしこれは、地盤が保持している分と潮汐によるものであると考えられる。一方、No.1-8やNo.1は、ウエルポイントの効果によって水位がさがっていると考えられると回答していました。


その後議論になったのは、今後の観測孔調査計画についてです。

10/1-7

上の図にあるように、No.0-1のH-3がなぜ高いのか、という事の原因を突き止めるために新たにNo.0-3とNo.0-4が計画されています(見にくい場合は図をクリックすると拡大されるはずです)。これまでの調査で、No.0-1のH-3が高い原因を探るため、1号機のトレンチも測定しましたし、No.0-2も測定しましたがH-3は高くなく、どこからこの汚染が来ているのかまだわからない状況です。

一方で、サブドレンNo.1と、その近傍に掘ったNo.1T-3はH-3が高かったのですが、No.1T-4は全βは高いもののH-3は高くなく、このH-3がいったいどこに流出しているのかわかりません。地下水の流れからすると西から東に流れているのですが、今回新たに1T-4の近くに1T-5というポイントを掘ることにより、もし1T-5でH-3が高く出ればNo.1のサブドレンのH-3は1T-5の方へ流れている事がわかります

また、No.0-1の方のNo.0-4がもしH-3が高く出れば、No.1サブドレンのH-3はNo.0-4の方に行っているかもしれません。一方、No.0-4のH-3は高くなく、No.0-3のH-3が高ければ南から流れてきている可能性もあり、今回のいくつかのポイントを掘ることにより、なぜNo.0-1が高いのか、またサブドレンNo.1のH-3はどこへ行ったのか、という二つの疑問に対して何らかの答が出る可能性があります。

また、この件に関して、安原委員から、No.0-1については現状では上から下までの全ての地下水を測定しているため、深さを変えて浅いところの水が汚染されているのか深いところの水が汚染されているのかを確認すべきだと指摘しました。それを受けて、これがもう安原委員の3-4回目の指摘ということで更田委員からも指摘され、東京電力もさすがにNo.0-1に関しては深さを変えてボーリングをします、と答えさせられました。

東京電力は、このWGにおいても対応します、検討します、と口調は非常に丁寧なのですが、次回には何もしてこないということがよくあり、この深さを変えたボーリングもその一つだったのですが、さすがにこれについてはやりますと言明をさせられたという状況です。

また、No.2-5について、全βがかなり高く出たのですが、これは2号トレンチからの漏えいを疑わせるデータであり、これについても議論がありました。


5.トレンチの凍結試験

トレンチとタービン建屋の接続部を遮断するため、凍結による止水を東京電力は検討しています。特に2号機に関してはなんとしてもこれを成功させなければいけないため、同じような模型を用いて試験を行いました。

しかしながら、この試験においては、40日かけて凍結を行っており、しかも部位によってはまだ凍結がうまくいっていない可能性もあり、この状況で本番を行って本当にうまくいくのだろうか、という不安を抱かせるような結果しかまだ得られていません。

10/1-8

以上、昨日の第7回WGについてかなりかいつまんでポイントの解説でした。

更田委員のこの汚染水対策検討WGは、専門家が現状をどう把握、理解しているのかが全体的に理解できる機会であり、非常に参考になります。今後も、特に夜の開催時にはじっくり視聴しようと思います。

 
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コメント

Re: Re: 排水路の水源について

ご回答ありがとうございます。

おしどりマコさんの質問をリアルタイムで観てました。沢山質問を抱えているにもかかわらず、感謝の念でいっぱいです。マコさんがんばってください。

B排水路の起点、そんな短かったんですね。Googleの航空写真は、その先の緑の森に溝があったので、てっきり連結しているのかと思っていました。ストリートビューで見ると、池と国道391のPOINTに簡単な柵が置いてあります。また、東電の資料「福島第一原子力発電所周辺の地質・地下水および解析」のP.7の図でも、青ラインが分水界までは届いているので、「黎明 -福島原子力発電所建設記録」http://www.youtube.com/watch?v=Ayh_PveSU6g の11分42秒からのシーン、地下水調査でボーリングしている池は、夫沢のひょうたん池だと思っていました。

東京電力さんがそう回答してきたという事は、ラインがあったが現在は閉じているのかもしれませんね。

逆に、Cの排水路がそんなに伸びてるとは判りませんでした。郵便局の敷地まで届いてるんですね。

いずれにしても、互層部が露出している台地の西斜面は、産総研の丸井氏が言うように、被圧地下水の入り口なのでどうにかできないものかなぁと心配しています。「福島第一原子力発電所周辺の地質・地下水および解析」のP.12で、深井戸DW-3の水位がOP8mと、3,4号機の山側サブドレインの水位と同じですし。

もろもろ散筆すいません。また何かあったら質問させてください。

Re: 排水路の水源について

よっちゃんさん

コメントありがとうございました。

B排水路の起点(水源)がどこなのか、確かに気になりますね。
よっちゃんさんのいう可能性もありうると思い、この疑問を解くために
おしどりマコさんに依頼して東京電力に質問していただきました。

その回答が得られたようですので、以下のリンクをご参照ください。

http://no-border.asia/archives/15241

残念ながら、B排水路の起点はよっちゃんさんのいうひょうたん池よりも
手前で始まっているということのようですね。

だとすると、ふれあい交差点近傍(B-0-1)のデータが
不思議な変動をするのはきっと別の要因ではないかと思われます。

というわけで、謎を解くには至っていませんが、
排水路の起点がどこにあるのかがわかっただけでも
一歩前進できたと思います。今後も何かあれば遠慮なくコメントください。
内容によっては今回のように東京電力に確認して回答を引き出す事も
可能だと思いますので。

最後に、おしどりマコさん、東京電力に確認&回答のフィードバック
ありがとうございました。

バイオマット

バイオフィルムを勉強しております。
シアノバクテリアによる放射性物質吸着について下記のレポートを見つけましたので連絡します。レポートの記載のように還元環境、特に酸化・還元境界面、では金属の吸着が著しことが確認しております。
Judith Bender ,Peter Phillips. Microbial mats for multiple applications in aquaculture and bioremediation Bioresource Technology V 94, Issue 3 , p229–238 2004
田崎先生のその後の活動は如何ですか?

排水路の水源について

こんにちは。私は排水路やふれあい交差点の問題が出てくる度に、その大元の水源はどうなってるか?が気になります。衛星写真を眺めると、B排水路と夫沢郵便局北の、ひょうたんのような池が連結しているように見えます。

また、8月23日に公表された東電の資料、「福島第一原子力発電所周辺の地質・地下水および解析」http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/c130823_05-j.pdf において、被圧地下水の進入口は、互層部の露出した敷地北西の斜面である事が示されていて、ここは夫沢のひょうたん池があるPOINTです。

この池は、言ってみれば【世界で一番汚染された池】である事は間違いなく、フォールアウトによるセシウムやβ各種が底に溜まってるんじゃないか?と思っています。降雨時に全力でくみ上げていたら、データに現れてくるんじゃないでしょうか?

管理人様、どうかこの謎を解いてくださいませ。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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