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H4エリアのタンク漏洩事故:ボルトに見つかった開口部で最大300トンの漏れは説明できるのか?

 
H4エリアのタンクからの漏洩事故について、10/8、東京電力は底版のボルトをはずして、ボルト穴の下部に開口部があることを確認したと発表しました(報道は時事など)。

それによると、二つのボルトのそれぞれについて、「幅:約3mmで長さ:約22mm(マンホールに近い側)と幅:約2~3mmで長さ:約11mm(もう片方側)の開口部が確認された」ということです。

これについて、約300トンの漏れを説明できるものなのかどうかについて、特に説明があったようにも思えません。仕方ないので、確認してみることにします。ただし、考え方や計算に間違いがあるかもしれませんので、そのつもりでお読みください。もし間違いを見つけた方がいたらご一報いただけるとありがたいです。

1.原因と思われる開口部の大きさ

10/8の東京電力の資料には、約300トンの漏えいをしたとされるタンクの底板のボルト部について、フランジとワッシャー間、ワッシャーとボルト間に最大で約0.23mmのすき間があることが発表されています。

10/11-1

そして、ボルトをはずしてみると、「ボルト穴下部に、幅:約3mmで長さ:約22mm(マンホールに近い側)と幅:約2~3mmで長さ:約11mm(もう片方側)の開口部が確認された。」ということです。

10/11-2

こんな穴で300トンもの水が漏れるのでしょうか?しかし、8/30に行われた規制庁の第5回汚染水対策検討WGでは、東京電力は次のような資料を出しています。

10/11-3

それによると、長さ25mm、開口1mm程度のすき間があれば、漏洩事故発覚直後の8/20に6時間で5cm=約5トンもれる計算になるということです。

6時間で5トンというのは、8/20の昼間の話ですが、その後の6時間では6時間で1トンで、トータルすると12時間で6トンということを8/21の規制庁のWGで東京電力は説明していた記憶があります。(昼間は熱でタンクが若干膨張するために流量が多くなることは考えられるという説明でした。)よって、6時間で5トンというのは最大値と見ておいた方がいいと思います。

いずれにせよ、その計算根拠が同じ資料の12ページに示されています。

10/11-4

2.ベルヌーイの定理

これは、一般に「ベルヌーイの定理」と呼ばれているものを利用しています。いくつか探した中で一番この問題に近い例題をあげているWebサイトを見つけましたので、そこから引用します。

10/11-5
10/11-6

数式の嫌いな方は読み飛ばしていただいて構わないのですが、水の出る流速はv=√2ghで求められるということです。

今回の場合、東京電力が示している高さ6mの場合で計算すると、流速は、v=√2gh=√(2×9.8×6)=10.8m/s となります。6時間=3600×6秒=21600秒(T)で5トン(=5m3)の流量(Q)とすると、面積A=Q/(T×√2gh)=5/(21600×10.8)=0.000021 m2となります。

流出口の面積を開口1mmで長さ25mmとすると、1mm×25mm=25mm2=0.000025 m2になりますので、上の計算とほぼあっていることがわかります。

3.実際の流速は?

今回発見された穴の大きさは2箇所あり、開口部が幅3mmで長さ22mmの開口部と、幅2-3mmで長さ11mmの開口部があることがわかっています。上と同様に面積を計算すると、3mm×22mm=66mm2=0.000066m2と、幅を中間の2.5mmとして2.5mm×11mm=27.5mm2=0.0000275m2ですので、合わせると0.0000935m2となり、東京電力が想定していた幅1mmで長さ25mmの開口部の面積の3.7倍になります。

ただし、このボルトに空いた開口部に至るまでには水は幅0.23mmのすき間を通っていかないといけません。それを考えると、幅は3mmとか2.5mmとするよりも0.23mmで計算した方がいいかもしれません。とすると、0.23mm×(22mm+11mm)=0.00000759m2と、東京電力が想定した開口部面積の約1/3になります。

私はどちらを採用した方がいいのかちょっとよくわかりませんので、両方の計算結果を書いておきます。

高さ10mのタンクで上から6mのところに水位があったとして、その時の流速は先ほど求めたようにv=√2gh=√(2×9.8×6)=10.8m/s です。それに面積として開口部の面積をかけると流量が出ます。

まず、大きい方で計算した二つの開口部の合算で計算すると、10.8(m/s)×0.0000935(m2)=0.0010(m3/s)となります。1秒間に1Lということですから、1時間で3600L=3.6トンとなります。
次に、すき間の0.23mmを使って計算すると、10.8(m/s)×0.00000795(m2)=0.000085(m3/s)となります。1秒間に0.085Lなので、1時間で0.3m3=0.3トンとなります。

どちらの値を用いるかによって1時間に0.3トンから3.6トンと12倍ほどの幅ができるのですが、6時間で5トン、あるいはその後の6時間まで含めて12時間で6トンという数字は、1時間で0.83トンあるいは0.5トンということですからこの中間にあり、今回の漏えいを説明できる可能性が高いと私は思いました。これについては、考え方の間違いがあればぜひ専門家の方のご指摘をお待ちしています。


実際には、いきなりこれだけの開口部ができたわけではなく、もっと小さな開口部だったと思います。そこから少しずつ漏れ出していくうちにだんだんと開口部が広がっていき、流量も少しずつ大きくなっていったものと思います。一方、当初は高さも上から50cmとして9.5mあったはずですので、位置エネルギーが高い分だけ流速は v=√2gh=√(2×9.8×6)=13.6m/s と少し速かったはずです。

8/20の時点で1時間に0.5トン=1日に12トンですので、このペースで漏れ続けたとすると300÷12=25日ですが、初めはそれだけの流量はなかったでしょう。そうすると、本当にNo.5タンクが満水になっていたのだとしたら、1ヶ月から1.5ヶ月かかって流れ出した、というのが正解なのではないでしょうか。

このタンクの底板をはがした結果、水が流れた後が見つかればいいのですが、それがわからないと、コンクリートのヒビなどから直接地下に染みこんだのか、あるいは当時の点検がいい加減だったために汚染水が流れていても雨水と勘違いして気にせず見逃していたのか、そのあたりはわからずじまいになるかもしれません。

来週火曜日(15日)の第8回汚染水対策検討WGでこのあたりも議論されると思います。ここでどういう判断になるのか見てみたいと思います。


 

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コメント

Re: No title

しおさん

コメントありがとうございました。

なお、東京電力は10/15の規制庁の第8回WGで資料2(14ページから20ページ)にあるとおり、パッキンが飛び出してフランジ底部に抜け出し、これが一番の原因であったと述べているようです。

http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi_wg/data/0008_02.pdf

No title

はじめまして。専門家ではありませんが、気になったのでコメントします。
タンクの断面積をA,漏えい箇所の断面積をa,漏洩流量をq,水位をhとすると、微小時間に流出する水量と水位の関係は、a・q・dt=-A・dhとなります。q=va=a√(2gh)より、dt=-(1/a)(A/√(2gh))dh、水位変化をH→H'とし、その時間変化を0→Tとして両辺をそれぞれ積分すると、H→H'の水位変化に要する時間はT=√2・A/a(√H-√H')/√gとなります。6時間で0.05mの水位変化があったので、ここから漏洩面積aを求めると、24mm2になりました。実際は流体の太さは穴よりも細くなり、(細流係数:0.62程度)これを加味して計算すると、39mm2となりました。東電の見つけた穴は88~99mm2なので、まあ、妥当ではないでしょうか。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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