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マルハニチロの冷凍食品から農薬マラチオン検出 第3報


大晦日に書いた「マルハニチロの冷凍食品から農薬マラチオン検出 何が起こっている?」と1/4の「マルハニチロの冷凍食品から農薬マラチオン検出 第2報」の続きです。

 
前回私が「マルハニチロの冷凍食品から農薬マラチオン検出 第2報」を書いた1/4午前の時点では、まだマルハニチロの社員への聞き取り調査も始まっていませんでしたし、群馬県警の現場検証も行われていませんでした。

群馬県警が50名近くの捜査員を投入して1/4、1/5にアクリフーズの群馬工場に現場検証に入りました。

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(1/4 NHKオンライン Web魚拓 より)

しかしながら、まだ事件解決につながる情報は得られていないようです。

4日までにわかっていた情報として、農薬マラチオンが検出された商品の製造ラインは別々のラインなのですが、包装作業段階では同じ区域に集められることがわかっていました。そして、二つある包装室のうち一つの包装室で包装された商品からだけマラチオンが検出された事がわかっていました。

しかしながら、4日の毎日新聞によると、アクリフーズの包装作業を担当する従業員の情報として、『作業はポケットのない作業服を着用し、消毒済みのゴム手袋を使用。また、通常は1人で作業することもないという。「マラチオンは臭いがきつい農薬らしいので、室内に持ち込めば誰かが気付くはず。原因が分からず不安だ」と話した。』ということで、だれかが意図的に混入させようとしても、そう簡単にはできないことがわかってきました。

さらに同じ記事によると、『同社によると、従業員は各製造ラインが入った部屋に入室する前に更衣室で着替え、私物はロッカーに預けることになっている。同社は「普通は何も持ち込めないようになっている」と話しており、農薬が混入された状況など、社内調査している。』ということで、これが事実であれば、意図的な混入というのも通常の手段ではできないことになります。

また、1/5のNHKWeb魚拓)によると、マラチオンの検出された商品の製造時期が一月以上離れているということです。『製造日はそれぞれ異なり、去年10月から11月までのおよそ1か月間にわたっているということです。警察は、何者かが複数回にわたって農薬を混入させた疑いもあるとみて、工場の関係者から話を聴くなどして捜査を進めることにしています。』ということで、何者かが混入させたとしたら、複数回にわたって混入させたという事を考えざるを得ない状況になっています。

結局、それ以後は事件解決につながる表だった大きな動きはありません。

一方、被害の現況はというと、正月休みが終わって各地から被害の届け出や問い合わせが相次いでいます。残念ながら被害のまとめについてはいい情報がなかったので載せられませんでしたが、マルハニチロホールディングスのHPには毎日最新の情報が更新されています。

1/7の19時00分の日時で公表されている「「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第八報 」によると、回収対象の群馬工場製品の商品数は想定で640万パック、それに対して1/6現在では23.3%にあたる1,491,669パックだそうです。
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(「「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第八報 」より)

年明けの1/6の11時00分に公表された「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第六報では1/4現在で17%(1,113,825パック )でしたから、少しずつ進捗していることがわかります。当然のことながら、すでに消費されて食べてしまったものも多いでしょうから、最終的に何%回収できるのかはわかりません。

また、これまで同社にあった問い合わせの件数も公表されています。

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(「「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第八報 」より)


また、クレームのあった商品数は、12/31の「株式会社アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」第二報の段階では20検体でしたが、1/5の「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第五報において福島県の1検体(レンジミックスピザ2枚入)が追加されました。この商品については『商品については、群馬県警へ調査のため提出させていただいております。』ということでもう警察が介在して検査なども行うようになってきています。

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「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第五報 より)

さらに1/6の「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第七報においては、沖縄県の「ミックスピザ3枚入」と、秋田県の「照り焼ソースの鶏マヨ!」が追加され、1/6の段階で23商品となりました。

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「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第七報 より)


これらについての最新情報が1/7の20時に「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第九報としてまとめられています。

1/7の20時現在で、23検体(15道府県)のうち、マラチオンは9検体から検出ということです。

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「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第九報 より)

ここでは、12/31の時点での表に先ほどの3検体が追加されたのと、6番の「ミックスピザ3枚入」(福岡県)、12番の「チーズがのび~る!グラタンコロ!」(愛知県)、18番の「8 スーパースイートコーンフライ」(愛知県)について衣と中身、あるいは具と生地(ミックスピザ)を分けて測定しています。ピザは生地に多く、グラタンやスイートコーンフライでは衣に多く検出されたことがわかっています。

中身より衣に多かったことから、加工後にマラチオンが混入した可能性が高いという判断ができます。


1/6の読売の報道では、工場の管理には特に不備がなく、マラチオンの購入も身分証明書の提示などが不要で誰もが購入できるため、捜査には時間がかかることが予想されます。

なので、すぐに解決するとは思えませんが、私はこういう事件が起きた会社の情報公開の姿勢にも注目しています。マルハニチロホールディングスのHPに公表されている情報で、他の会社にも見習って欲しいことは、「2014年1月7日  20時」というように日付だけでなく時刻まで記載されていることです。特に一日の間にいくつも広報される場合には、時間帯がいつなのか、ということは時として重要な情報になります。その点、この会社はほとんど全ての公表資料に日付だけでなく時刻も記載してあり、個人的には好感が持てました。

こういうところは東京電力も見習って欲しいと思います。特に「報道関係各位一斉メール」をHPに掲載してくれるようになったのは良いことだと思うのですが、これについては一日の間に何度も新しい情報が追加されることもあるため、ぜひメール発信の時刻をHPに載せて欲しいと思います。

最後に、この問題についてのコメントが載っているWeb記事をいくつか紹介しておきます。いろいろな見方があると思いますので、あくまでご参考までという位置づけです。

マルハニチロはなぜ冷凍食品の異臭を「農薬」と結びつけられなかったのか?(1/7 誠)

マルハニチロ子会社農薬混入問題は、「個人の犯罪」か「企業不祥事」か(1/7 BLOGOS)

1/9 追記:
マルハニチロ系冷食、45都道府県909人が体調不良 (1/7 日経)

アクリ冷凍食品 コロッケ衣から農薬260万倍 公表の2倍超(1/7 産経)

「アクリフーズ群馬工場生産品における農薬検出について」 第十報  1/8 19時30分
「異臭がするとのご報告は現時点で トータル25件(17都府県)となります。」

2014.01.08【1/8全国紙朝刊掲載】アクリフーズ群馬工場回収商品ご協力のお願い (PDF)

 
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これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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