2011年4月のビーバー作戦を再現します その10(トレンチのどこから漏れたのかを推論)
昨年の終わりから始めた、東京電力のTV会議の情報を踏まえて2011年4月の2号機スクリーンからの漏えいに対する「ビーバー作戦」を振り返るシリーズ(目次はこちら)、今回で10回目となりました。
これまで最初の7回では、2011年4月2日に海洋への漏えいが発見された時から、4月6日に漏えいが止まったときまでを時系列を追って東京電力が主体となって行ってきた「ビーバー作戦」の進行状況を再現してきました。
そして、第8回では、まず新たにわかった事実についてまとめ、漏洩がいつから始まったのかということを考えてきました。その結果、スクリーン海水、沿岸データなどを合わせて考えると、東電が認めている4月1日以降ではなく、3月26日前後から2号スクリーン付近で海への漏洩が始まったと考えないと説明がつかないデータが多いことが明らかとなりました。
第9回では、流出口の高さについて、これまで疑問に思っていたことを細かく検証してみました。その結果、ピットAの底面よりも高い位置にありそうなことがわかってきました。
第10回となる今回は、どこからどのように漏洩したのか?という疑問に迫っていきたいと思います。つい最近もピットB付近のNo.1-2という地下水観測孔のSr-90のデータが出てきて、その発表の仕方が話題になったばかりですので、今回は2013年以降に明らかになったデータを用いて、どこから漏れていた可能性が高いか?ということを推論してみようと思います。
今回は、過去を振り返るというよりも、現在のデータをどう読み取って過去に起こったことを推論するか、という話です。
13. 最新のデータからトレンチや管路からの漏洩について再確認
2012年12月に掘って一度だけサンプリングした地下水観測孔を、専門家の指摘により約半年ぶりの2013年5月に地下水の放射能を測定したところ、No.1の地下水でH-3が500,000Bq/Lと、告示濃度の60,000Bq/Lを超えて汚染されていることが明らかとなりました(発表は2013年6月19日、続報)。それをきっかけに護岸エリアで、特に1-2号機間のNo.1エリアと呼ばれるエリアを中心に多くの地下水観測孔が掘られました。掘れば掘るほど地下水の汚染状況が明らかになり、参議院選挙の翌日の7月22日には汚染水が地下水を通じて海へ出続けているということを東京電力も認めざるを得なくなりました。
そして、規制庁の特定原子力施設監視・評価検討会においても汚染水対策検討ワーキンググループ(汚染水WG)を立ち上げてそこで汚染水に的を絞った深い議論が行われるようになりました。この汚染水WGにおいては、東京電力に各種の要望や指示が出て、それによって2年間一切手つかずだった2号機のトレンチの調査などもかなり進みました。
ここでトレンチの状態について明らかになってきたことについては、2013年夏に「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証」シリーズとして3回にわたってまとめました(「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(2) トレンチの謎」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(5) トレンチの謎3」)ので、詳細はそちらを見ていただきたいのですが、のちほどポイントをいくつか挙げてまとめたいと思います。
まずはその前に、最近No.1-2のSr-90のデータが明らかとなって話題となっている地下水観測孔のデータについて、トレンチからの漏洩箇所を探るという視点で一度見直してみたいと思います。なお、全βの測定において「数え落とし」が問題となっているために一部の全βのデータが間違っている(低く出ている)ことが明らかになっていますが、とりあえずは現段階で発表されているデータに基づいて考えていきます。
(1) No.1エリアの地下水観測孔
つい最近のことですが、No.1-2の全βが900,000Bq/Lに対してSr-90が5,000,000Bq/Lという値が2/6に発表になりました。これについては、それまで測定結果におかしな点があるため、Srの測定データを数ヶ月間発表してこなかったことと合わせて、全βの測定値が高濃度の測定においては間違っていたということがわかりましたので、測定値の信頼性、及びそれを発表してこなかった東京電力の姿勢というものが大きく問題となっています。
これらについては、2/5の「東京電力のSr測定法の誤りの原因判明。信じられない説明資料の作り方!」、2/7の「東京電力の全β核種の測定はあまりにも杜撰だった!」2/11の「東京電力のSrと全βの測定結果の問題点について、規制庁はどこまで知っていたのか?」を読んでいただきたいと思います。
Sr-90のデータが発表されるのとほぼ同時期に、これまで予定だけされていてなかなか掘削作業が進まず、サンプリングが行われなかった地下水観測孔のデータが新たに出てきました。No.1-13とNo.1-6です。
No.1エリア(1号機と2号機の間の護岸エリア)については、2012年12月に掘られたNo.1以外に、No.1-1から始まってNo.1-17まで観測孔が設けられる予定になっていました。その中で、No.1-15についてはいまだにデータが出てきませんが、先日のNo.1-6のデータが出てきたため、それ以外についてはほぼ全ての観測孔でのデータが出そろってきました。
この下の図は、2013年8月の第3回汚染水WGの資料に、その時点では計画されていなかった地点も書き足してCs-137のこれまでの最高値とその日付を示したものです。昨年8月時点ではまだ計画段階だった観測孔は赤い●で示してあります。また、水位を観測する観測孔については、◎になっています。また、緑色の横棒はウエルポイントです。

(8/21 第3回汚染水WG資料213ページに加筆)
上の図では、水ガラスの薬液が混入したために水位がおかしな挙動をした(No.1-2、No.1-3、No.1-4、No.1-5)とか、水ガラスの壁のコース上にあるために運用を中止した(No.1-1)観測孔も多いため、現在もサンプリングを続けている観測孔は半分程度です。
例えば、No.1-1は、水ガラスの遮水壁を作る予定になったため運用中止となり、その代わりに水ガラスの内側に設けたNo.1-8と外側に設けたNo.1-9で現在も運用を続けています。No.1-2、No.1-4、No.1-5は地盤改良の薬液注入のために現在は運用を中止しています。No.1-3も同様に運用中止になりましたが、これについては重要な地点だと考えたためか、No.1-16という観測孔をすぐ近くに設けて、現在も測定を続けています。従って、No.1-3とNo.1-16は、違う観測地点のデータではありますが、ほぼ同一地点のデータとして考えることも可能です。
それから、一番不思議なのがNo.1です。この地点は、最初から測定していた地点でもあり、同時に水位も測定していた地点でした。ところが、このNo.1の水位だけが、10/15の台風以来、水位がO.P. 2.2mを超えてしまい、他のNo.1エリアの観測地点の水位よりも1m近く高い状態がずっと続きました(O.P. 2.2mの意味はこのあとで説明します)。

(11/1 東京電力HP 報道配付資料 より)
東京電力は水位計が壊れているのではないかと考えて水位計を取り替えるということもしましたがこの現象は変わりませんでした。また、No.1は海からは距離があるのですが、明らかに潮位による変動が見られます。ということは、何か重要な意味を持ったデータになっている可能性があります。

(東京電力HP 2013年11/22 報道配布資料より(16ページ))
ところがこれは、東京電力にとっては都合が悪いデータだったのです。地盤改良の最上部約1.8mは薬液が効かないため、水ガラスの壁の最上端は約O.P.2.2mなのですが、それよりも地下水位が高いデータがあると困るのです。また、潮位による水位変動があるなど、説明を求められても困るデータだったため、なんと東京電力はこのNo.1の水位計はおかしいという結論を出し、水位の測定はやめてしまいました。ただし、No.1での地下水のサンプリングと放射能測定は続けています。そして、水位測定用にNo.1-17という地点を2m北側に掘ってその水位を発表しています。
No.1の水位測定をやめることによってどういうメリットが東京電力にあったかというと、例えば1/24に行われた第10回汚染水WGで、このような資料を出して、「ウェルポイントによる地下水くみ上げにより、地盤改良天端レベル(O.P.+2.20m)以下で推移」と説明しているのです。

(1/24 第10回汚染水WG 資料5(28ページ)より)
名前は忘れましたが、この日のWGでこのページについて質問した委員がいたのですが、No.1のデータを全て削除してグラフを描いているため、実はこれに合わないデータがあることはわからず、見事にだまされていました。その時の東京電力の答として、「このグラフは地下水位が地盤改良天端レベル(O.P.+2.20m)以下で推移しているかどうかを見るためのものである」と明言していました。
おそらくこのようなことは、他のデータでもこれまでよく行われてきたことと思います。例えば塩素濃度については、昨年6月19日に地下水観測孔のデータを発表した際には発表しましたが、その後は塩素濃度については発表しなくなりました。塩素濃度のデータは、地下水に海水がどれくらい混ざっているのかを知るために重要なデータであり、2013年6月の発表でもNo.1で1500~4000ppmと明らかに海水が一部混ざっていることを示していました。こういうデータがあった以上、他の地下水観測孔についても普通に考えたら塩素濃度は測定するのですが、敢えて測定しないか、測定しても出さないという方針をとってきています。
東京電力は、10年以上前にデータ改ざんを指摘されて問題となってから、今回の福島第一原発事故においては、データの書き換えこそ(おそらく)しなくなりましたが、都合の悪いデータはまず取らないし、仮にとっても発表しないという方針をとっているように感じます。今回も全βの値が高濃度のサンプルで間違っているということが問題となりましたが、意図的な改竄はしていないと私は考えています。
No.1の水位についても、No.1-17に切り替えた時からNo.1の水位データはグラフから削除するという事を行ってきています(12/16の資料と12/18の資料を比較参照のこと)。ですが、私はこの切り替え当時の記者会見を見ていましたが、No.1の水位計は取り替えても同じ水位を示していましたから、No.1の水位はO.P.2.5m程度というのは間違いないのです。ただ、水位の違いと潮汐による変動をうまく説明できないために理由をつけて別の観測孔を掘り、切り替えた上でNo.1のデータを発表しなくなったということを行っているのです。
ではなぜNo.1の水位は高いのか?これについては理由はわかりません。ただ、No.1というのは一番古い観測孔であり、2013年に追加で掘られた地下水観測孔とは掘り方も違っているのかもしれません。また、地下の地層は平坦ではないので、たまたまそのあたりは2番目の透水層(被圧地下水)が浅いところまで来ていたため、被圧地下水の水位を測定していて、地下水位が高くなっていたということが一つの可能性として考えられます。

(8/23 福島第一原子力発電所周辺の地質・地下水および解析 10ページより)
No.1とNo.1-17のデータをいろいろ比べてみても、H-3のデータが全く合わないとか、水位以外にも説明できない事があるため、水位計の故障以外にこのようなデータを示す理由がきっとあるはずだと私は信じています。
(2) 地下水観測孔とトレンチのデータから2号機トレンチの漏洩箇所の推定その1
さて、これまで少し脱線しつつもNo.1エリアの地下水観測孔について書いてきました。今回の目的は、トレンチのどこから漏れていたのかを現在の地下水のデータから推論していくことですので、直近で得られたNo.1-6とNo.1-13のデータを用いて考えてみたいと思います。
先ほどNo.1エリアの観測孔(及びウエルポイント)でのCs-137の最高値についてまとめて示しましたが、あのデータをよく見てみると、Cs-137が高い濃度(1000Bq/L以上)検出されている観測孔はほとんどないのです。1000Bq/L以上のCs-137が検出されたのは、実はこの下の図に書き込んだNo.1-2と、最近データが出てきたNo.1-13、そしてNo.1-6だけなのです。

No.1-2については、ピットBのすぐ近くですから、ピットB付近で管路にヒビが入って砕石層に流れ出していたとすると、それが広がっていくというのはわかりやすいものです。セシウムは土壌に吸着されやすいため、あまり移動しないということがこれまでの研究でわかっていますので、元々2011年4月に漏れ出したときの値が1.9E+06Bq/cm3=1.9E+09Bq/L、言い換えると、19億Bq/Lだとしても、付近の土壌から検出される値は数万Bq/Lであってもあまり不思議ではありません。
しかし、今回No.1-13でNo.1-2を超える値が検出されたということは注目に値します。もしNo.1-13のCs-137が、2011年4月の2号機の漏洩事故の時の漏洩に由来すると仮定すると、この付近で漏洩が起こっていたことの証拠になるからです。同様に、No.1-6でもNo.1-2よりは少ないですが、5000Bq/Lを超えるCs-137が検出されていることを考えると、このあたりからも漏洩していた可能性は高いと考えることができます。
もう一つの可能性として、このデータは、タービン建屋から直接漏洩し続けているCs-137を検出しているという考え方もあります。あとで述べるように、H-3のデータについては、2号トレンチとは別の漏えい源を仮定しないと説明しにくいデータもあるのですが、まずは2011年4月当時の漏洩として考えられるかどうかについて見ていきたいと思います。
では、この付近のトレンチやケーブル管路の状態を確認してみましょう。まず、第4回WGの資料に、No.1-6およびNo.1-13の近くを南北に走るケーブル管路について、重要な情報があります。

(8/27 第4回WG資料4(36ページ) より)
小さくてわかりにくいですが、2011年4月の測定データとして、No.1-13のすぐ近くにあるピット78番は空間線量が100mSv/h、北側のピット77番は空間線量が1070mSv/hという情報があったのです。このような線量を出すには、高濃度汚染水がこのピットの中を通っていないと有り得ません。先ほどの図に両方のピットの情報を追加してみました。南北を通るオレンジ色のケーブル管路の中を2011年4月の漏洩時に高濃度汚染水が通っていた事はまず間違いないと思います。

このケーブル管路は、南側の起点が上の図で「B2」と書いた場所になります。その場所からのサンプリングをした時の情報は「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」にも書いたのですが、昨年7/19の資料に掲載されています。北へ向かうケーブル管路の位置を含めてわかりやすく書いた資料が8/2の第1回WGの資料にありますのでそちらをここでは示します。

(8/2 第1回WG資料2(20ページ)より)
上の断面図にあるように、6列4段のケーブル管路は、高濃度汚染水がO.P.2960の高さにあれば少なくとも一番下の段は汚染水が通ることができる高さにありました。従って、高さの観点から考えても全く問題がなく、この管路を2011年4月に汚染水が北に向かって移動したことは疑いの余地はありません。
そして、ケーブル管路というのは岩着ではないために構造的に地震に弱いというのは東京電力が2011年4月5日にすでに明らかにしていることなのです。ですから、このケーブル管路のどこか(例えばピット78番付近)から汚染水が漏洩して、下の砕石層に流れ出たというのは可能性が高く、そこから流れ出た汚染水のセシウムをNo.1-6及びNo.1-13の地下水観測孔で検出しているというのが一番あり得る可能性であると思います。
この事は、No.1-5のボーリングコアの調査結果からも裏付けられます。この下の図を見ればわかるのですが、No.1-5でもCs-137がわずかに検出されましたが、それは主にO.P.2.5m付近でした。その高さというのは、今まで注目していた南北に走るケーブル管路の下の砕石層の高さです。決して、海水配管トレンチの下部の砕石層の高さ(O.P.0m程度)ではないことに注目してください。

(8/2 第1回WG資料2(26ページ)より)
これらのことから、この南北に走るケーブル管路のどこかで汚染水が漏れていて、その下の砕石層を汚染水が広がったというのはまず間違いがないと思われます。
(3) 地下水観測孔とトレンチのデータから2号機トレンチの漏洩箇所の推定その2
では、海水配管トレンチの分岐トレンチ(B1-1など)から漏れている可能性はないのでしょうか?これについては、2013年7月にB1-1地点に穴を開けて水位やたまっている水のサンプリングをした結果から、大量に漏れている可能性は低いと考えられます。その理由は「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」に書いたのですが、2年経っても2011年当時とほぼ同じ濃度の汚染水を検出することができたからです。
2号トレンチの立て坑Bから先の分岐トレンチについては、2011年5月にモルタルなどを流し込んで汚染水の流通がないようにしているので、2年前と同じ濃度であったならばこの分岐トレンチに地下水が流れ込んだりしていないという証拠になるのです。また、水位が2011年5月当時のO.P.3200程度からほとんど変わっていないとすれば、外に漏れ出していないという証拠にもなります(実際、O.P.3150(リンク先の15ページ)とほとんど変わっていませんでした)。

(7/22 「海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策」に一部加筆)
B1-1からサンプリングした汚染水のデータは7/28に発表されました。Cs-137で16億Bq/Lと、元のトレンチの20億Bq/L(2011/3/30)とほとんど変わらない数値でした。この事は、水位が2011年5月当時から変動していなかった事と合わせて、B1-1を含む海水配管トレンチの分岐トレンチからはほとんど汚染水漏れを起こしていない可能性が高いということを示しています。
これは第1回WGの資料にも書かれていることです。ここでは省略しましたが、トレンチの水位が動いてもB1-1の水位が動かないため、水位の連動性は認められませんでした。

(8/2 第1回WG資料2(17ページ)より)
それに比べて、2号トレンチの立て坑Aのデータや立て坑Cのデータを見ると、海水配管トレンチのどこかで漏洩していると考えざるを得ないようなデータが出ています。詳細はこれまでに「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(2) トレンチの謎」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(5) トレンチの謎3」にまとめたのでここではポイントだけ示します。
立て坑Aに関しては、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(2) トレンチの謎」に示したように、2013年5月のデータは、タービン建屋とトレンチ立坑Aの濃度がほとんど同じでしたから、2年間の間に立坑Bまでのどこかから汚染水が地下に漏れ出して、その分を補充する形でタービン建屋からトレンチに汚染水が出て行ったことを示唆しています。
思い出していただきたいのは、汚染水循環処理システムを2年以上稼働させたので、Cs-137については2011年当初からすると2桁濃度が低くなっていることです。今回2013年5月の立て坑Aのデータは、その薄まったタービン建屋の汚染水の濃度とほぼ同等であったということです。

また、立て坑Cでは、深さを変えて3点でデータを取っていますが、不思議なことに下の方が濃くて上の方が薄いという結果です。

8/2 第1回WGの資料に同日東電HPの福島第一2,3号機海側トレンチ滞留水分析結果の情報を追加
この立て坑Aと立て坑Cのデータから考えると、以下のことが考えられます。
まず、2011年4月当時の海水配管トレンチと4つの立て坑の関係がわかるような図を作ってみました。色は赤が濃いほど汚染水のCs-137の濃度が濃いというイメージです。

もし、この下の図に記載してある海水配管トレンチに一切ヒビなど入っておらず、その後も漏れがないとすると、2013年8月の時点ではこのトレンチにたまっている汚染水は2011年4月当時の状態に近いCs-137濃度を保っていたはずです。つまり、1~2E+06Bq/cm3(10~20億Bq/L)の濃度であったはずです。(ちなみに現在はモバイル式処理装置でセシウムを除去する作業を行っているため、全体的に濃度が下がっています。)
B1-1に関しては、2013年7月時点でCs-137の1.6E+06Bq/cm3(16億Bq/L)と2年前のトレンチの2.0E+06Bq/cm3(20億Bq/L)とあまり変わっておらず、B1-1近傍及びそれにつながる立て坑Bからの漏えいはほとんどないということがわかります。

それでは、他の部分はどうなのでしょうか。今回新しく出てきた情報を確認してみましょう。下の図にデータを書き込んでみました。また、Cs-137の濃度に合わせて色を薄くしてあります。
下の図をちょっとみたらわかると思いますが、上の図のこうあるべき、という図とは全く異なり、かなりCs-137濃度が薄くなっていることがわかると思います。これはどういうことかというと、この立て坑A-立て坑C-立て坑Dをつなぐトレンチのどこかでヒビが入っており、そこから汚染水が2年間の間に少しずつ漏れ出していったということを示しているのです。

この図では省略したのですが、この立て坑Cは上部で別のトレンチと接続しており、2年の間に接続している上部のトレンチから汚染水や地下水が混入してきていると考えられます。(タービン建屋からの汚染水は下部からしか来ません。)ただし、深さ1mのデータと13mのデータを比較すると、1mのデータは塩素濃度は1/10なのに、Cs-137は1/3ですから、単なる地下水ではありません。塩分濃度が薄まりつつCs-137には汚染された何かが上部から混入してきています。
ただ、間違いなく言えることは、本来ならばこの立て坑CにもCs-137が2.0E+06Bq/cm3(20億Bq/L)程度の高濃度の汚染水がありました。それが2年の間にいつの間にか立て坑Cの体積に相当する量の汚染水がトレンチのどこかから漏れ出し、その代わりに立て坑Cにつながる上部のトレンチから汚染水或いは地下水、雨水が入ってきたのでしょう。
今回のデータは、2011年4月には立て坑Cに存在したはずの高濃度汚染水が概算で360トン程度は行方不明になっている(詳細は「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(5) トレンチの謎3」参照)ことを明確に示しており、漏えい地点は不明ではあるが、間違いなくトレンチから高濃度汚染水が流れ出たということを示しているのです。同じ2号機海水配管トレンチのそうでない事例としてB1-1のように2年前の濃度が維持されているケースがありますから、それと比較する事によって漏えいしていることはおわかりいただけると思います。
さて、B1-1に関しては漏洩している可能性は少ないと書きましたが、この分岐トレンチの汚染水を抜くという作業を行ってみると、その後の9/12に行われた第6回のWGでは、この分岐トレンチ部の汚染水を抜いたあと、水位が上がるという不思議な現象が起きました。

(9/12 第6回WG資料4(25ページ)より)
そこで、B1-1のサンプリングを行って放射能を測定したのですが、下の表に示すように7月に測定した時よりも8/28あるいは8/31には1/2以下に希釈されていることがわかったのです。塩素濃度が低くなっていますので、地下水もしくは塩素濃度がかなり低い汚染水がB1-1の分岐トレンチに混入してきたということになります。

この結果を説明するためには、東電が説明しているように二つの考え方があります。

一つは、立て坑Bを閉塞したのが完全ではなかったため、立て坑Aの方から汚染水が上がってきたとする説。確かに上の表には立て坑Aの2013年5月のデータも載っていて、それを見ると塩素濃度もCs-137の濃度も低いのでこういう説明もありうるのですが、だとすると大きな問題があります。立て坑Aから立て坑Bに至るまでの海水配管トレンチは全てこの2013年5月の時の濃度に薄まっていないといけないのです。ということは、2013年4月当時に存在した20億Bq/L(Cs-137)の汚染水のほとんどが、その後2年間でどこかへ漏れ出してしまっているということになります。
もう一つの考え方は、地下水が混入したとするものです。東電はこの分岐トレンチの近傍にあるNo.1-5の水位を測定し、8/31でO.P.2.27mであり、その時にB1-1の水位がO.P.2.46mと高かったため、地下水の浸入はなかったと主張していますが、先ほどの水位変動のグラフを見ると、トレンチ内の水を抜いた時には、周辺のNo.1、No.1-2、No.1-3よりも水位が低くなっています。ということは、No.1-5の方が西側にあって上流ですのでもっと水位が高いことが予想されます。

(9/12 第6回WG資料4(25ページ)より)
となると、常識的に考えて、回りの地下水の方が水位が高くなってしまったのでB1-1に地下水が流入してきたと考えるのが自然でしょう。ということは、地下水が流入できるルートがB1-1内に存在するということです。このことは、裏を返せば、B1-1の水位がO.P.3.1m程度あって周辺の地下水よりも水位が高かった時には、少しずつ周辺の地下水に漏れ出していた可能性があるということです。ただし、B1-1の水位はあまり下がっていませんから、ここからの流出はあまりなかったと考えて良いと思います。
また、先ほど検証したように、B1-1のCs-137の濃度は2013年7月にはほとんど2011年4月当時と変わりませんでした(若干希釈された程度)ので、その時までは流入はほとんどなかったと考えることができます。
こうやって考えてくると、トレンチのどこかというのは特定が難しいのですが、過去3年近くの間にトレンチから汚染水が漏れていたことはほぼ間違いないと思います。なぜならば海水配管トレンチから一切漏れなければ、2013年の測定においても立て坑Aや立て坑Cでのサンプリングで全て20億Bq/L程度のCs-137が検出されていたはずだからです。それがそうではなかったということは、どこかから漏れていて、その分を地下水やタービン建屋からの汚染水が埋めていって薄まっていったということです。
その点ではB1-1のように分岐トレンチについては濃度がほとんど変化しませんでしたので、大きな漏洩はなかったと予想されます。但し、水を抜いた時の水位変動から考えると、若干の漏洩は2年間のうちにあった可能性はあります。ただし、立て坑C付近よりはその漏洩した量は少ないと思われます。
結局、私の知りたい2011年4月当時にどこから漏れたか、ということについてまとめると、電源ケーブルトレンチから漏れていたのは恐らく間違いないでしょう。一方、海水配管トレンチに関しては漏れたのか漏れていなかったのかははっきりとはわからないということです。分岐トレンチについては、2011年4月当時はほとんど漏れていなかったであろうと考えられます。
(4) 2011年5月以降の漏洩はあったのか?
それとは別に、2011年5月以降現在までの漏洩はあったのか、という観点でみた場合は、明らかに海水配管トレンチのどこかから漏洩は起こっているはずです。それがどこから起こって、どこへ漏洩しているのかについては、今あるデータだけでは判断できません。
2011年5月以降の漏洩を考えるためには、別のデータをみてみましょう。これまではセシウムのデータだけを考えてきました。しかし、地下水観測孔のデータをよく見ると、Cs-137のデータと全βあるいはトリチウムのデータはその分布が一致せず、単に2011年4月の漏洩だけを考えておけばいいというものではないことがわかります。
それが一番顕著にでているのは、トリチウムのデータです。トリチウムは水分子としての挙動を示すため、SrやCsよりはずっと早く移動します。そのため、全βがあまり変動がなくてもトリチウムが大きく上昇していたら、いずれ全βの値が上昇してくる可能性もあるのです。
そういう視点で地下水観測孔のトリチウムのデータを見直してみましょう。まず驚くのは、ほとんど全ての地下水観測孔で数万Bq/Lはでていることです。その中でも、いくつかのポイントでは10万Bq/L以上の値を示しています。特に、No.1、No.1-12、No.1-3、すぐに観測が中止されたNo.1-1、で高い値を示していることは重要です。

これらのポイントは、2011年4月に漏洩を起こしたピットBやピットAよりも北側にあり、東西に並んでいる観測孔です。No.1-5やNo.1-12付近の電源ケーブル管路から漏洩したにしても、2011年4月の漏洩だけで説明するのは無理があると思います。ここでは詳細は示しませんが、No.1-3、No.1、No.1-1を結ぶラインに沿って西から東に汚染水が流れていった可能性が一つ考えられます。
一方全βのデータは、数え落とし効果により今後高濃度のデータが上方修正される可能性が高いですが、ほとんどのデータは2011年4月の漏洩で説明がつきます。ただ、No.1-16で全βが2013年11月頃からずっと上昇傾向にあり、いつの間にか300万Bq/Lにも達しました。

これもひょっとしたら、トリチウムのデータから読み取れる、西から東に移動していった汚染水の動きを遅れて示しているのかもしれません。このデータも2011年4月の漏洩以外の漏洩の可能性を示唆していると思います。
ただし、先ほどのべた、海水配管トレンチからの大量の漏洩がこれにあたるのか、あるいはまた別の漏洩なのかについては、ここではふれないでおきます。今回の目的は現在のデータから2011年4月当時の漏洩箇所を予測することですから、それ以降の漏洩の可能性については、もう少し他のデータと合わせて改めて別の機会に書こうと思います。
今回は2011年4月に起こった現象を考えるため、2013年後半以降に明らかになってきたデータを用いてどこから漏洩が起こっていたのか考えてみました。そういう意味では3年前というよりは最近のデータのまとめにあたりますが、目的はあくまで2011年4月の漏洩時に何があったかを推論することです。この作業を行っておくことにより、それ以降に何が起こったかをわけて考えることができるようになるはずです。
次回はいよいよ、今回の分析とこれまでの検証結果を受けて、2011年4月のあの当時、何が起こっていたのか、わかる範囲で迫っていきたいと思います。お楽しみに。
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2012年12月に掘って一度だけサンプリングした地下水観測孔を、専門家の指摘により約半年ぶりの2013年5月に地下水の放射能を測定したところ、No.1の地下水でH-3が500,000Bq/Lと、告示濃度の60,000Bq/Lを超えて汚染されていることが明らかとなりました(発表は2013年6月19日、続報)。それをきっかけに護岸エリアで、特に1-2号機間のNo.1エリアと呼ばれるエリアを中心に多くの地下水観測孔が掘られました。掘れば掘るほど地下水の汚染状況が明らかになり、参議院選挙の翌日の7月22日には汚染水が地下水を通じて海へ出続けているということを東京電力も認めざるを得なくなりました。
そして、規制庁の特定原子力施設監視・評価検討会においても汚染水対策検討ワーキンググループ(汚染水WG)を立ち上げてそこで汚染水に的を絞った深い議論が行われるようになりました。この汚染水WGにおいては、東京電力に各種の要望や指示が出て、それによって2年間一切手つかずだった2号機のトレンチの調査などもかなり進みました。
ここでトレンチの状態について明らかになってきたことについては、2013年夏に「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証」シリーズとして3回にわたってまとめました(「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(2) トレンチの謎」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(5) トレンチの謎3」)ので、詳細はそちらを見ていただきたいのですが、のちほどポイントをいくつか挙げてまとめたいと思います。
まずはその前に、最近No.1-2のSr-90のデータが明らかとなって話題となっている地下水観測孔のデータについて、トレンチからの漏洩箇所を探るという視点で一度見直してみたいと思います。なお、全βの測定において「数え落とし」が問題となっているために一部の全βのデータが間違っている(低く出ている)ことが明らかになっていますが、とりあえずは現段階で発表されているデータに基づいて考えていきます。
(1) No.1エリアの地下水観測孔
つい最近のことですが、No.1-2の全βが900,000Bq/Lに対してSr-90が5,000,000Bq/Lという値が2/6に発表になりました。これについては、それまで測定結果におかしな点があるため、Srの測定データを数ヶ月間発表してこなかったことと合わせて、全βの測定値が高濃度の測定においては間違っていたということがわかりましたので、測定値の信頼性、及びそれを発表してこなかった東京電力の姿勢というものが大きく問題となっています。
これらについては、2/5の「東京電力のSr測定法の誤りの原因判明。信じられない説明資料の作り方!」、2/7の「東京電力の全β核種の測定はあまりにも杜撰だった!」2/11の「東京電力のSrと全βの測定結果の問題点について、規制庁はどこまで知っていたのか?」を読んでいただきたいと思います。
Sr-90のデータが発表されるのとほぼ同時期に、これまで予定だけされていてなかなか掘削作業が進まず、サンプリングが行われなかった地下水観測孔のデータが新たに出てきました。No.1-13とNo.1-6です。
No.1エリア(1号機と2号機の間の護岸エリア)については、2012年12月に掘られたNo.1以外に、No.1-1から始まってNo.1-17まで観測孔が設けられる予定になっていました。その中で、No.1-15についてはいまだにデータが出てきませんが、先日のNo.1-6のデータが出てきたため、それ以外についてはほぼ全ての観測孔でのデータが出そろってきました。
この下の図は、2013年8月の第3回汚染水WGの資料に、その時点では計画されていなかった地点も書き足してCs-137のこれまでの最高値とその日付を示したものです。昨年8月時点ではまだ計画段階だった観測孔は赤い●で示してあります。また、水位を観測する観測孔については、◎になっています。また、緑色の横棒はウエルポイントです。

(8/21 第3回汚染水WG資料213ページに加筆)
上の図では、水ガラスの薬液が混入したために水位がおかしな挙動をした(No.1-2、No.1-3、No.1-4、No.1-5)とか、水ガラスの壁のコース上にあるために運用を中止した(No.1-1)観測孔も多いため、現在もサンプリングを続けている観測孔は半分程度です。
例えば、No.1-1は、水ガラスの遮水壁を作る予定になったため運用中止となり、その代わりに水ガラスの内側に設けたNo.1-8と外側に設けたNo.1-9で現在も運用を続けています。No.1-2、No.1-4、No.1-5は地盤改良の薬液注入のために現在は運用を中止しています。No.1-3も同様に運用中止になりましたが、これについては重要な地点だと考えたためか、No.1-16という観測孔をすぐ近くに設けて、現在も測定を続けています。従って、No.1-3とNo.1-16は、違う観測地点のデータではありますが、ほぼ同一地点のデータとして考えることも可能です。
それから、一番不思議なのがNo.1です。この地点は、最初から測定していた地点でもあり、同時に水位も測定していた地点でした。ところが、このNo.1の水位だけが、10/15の台風以来、水位がO.P. 2.2mを超えてしまい、他のNo.1エリアの観測地点の水位よりも1m近く高い状態がずっと続きました(O.P. 2.2mの意味はこのあとで説明します)。

(11/1 東京電力HP 報道配付資料 より)
東京電力は水位計が壊れているのではないかと考えて水位計を取り替えるということもしましたがこの現象は変わりませんでした。また、No.1は海からは距離があるのですが、明らかに潮位による変動が見られます。ということは、何か重要な意味を持ったデータになっている可能性があります。

(東京電力HP 2013年11/22 報道配布資料より(16ページ))
ところがこれは、東京電力にとっては都合が悪いデータだったのです。地盤改良の最上部約1.8mは薬液が効かないため、水ガラスの壁の最上端は約O.P.2.2mなのですが、それよりも地下水位が高いデータがあると困るのです。また、潮位による水位変動があるなど、説明を求められても困るデータだったため、なんと東京電力はこのNo.1の水位計はおかしいという結論を出し、水位の測定はやめてしまいました。ただし、No.1での地下水のサンプリングと放射能測定は続けています。そして、水位測定用にNo.1-17という地点を2m北側に掘ってその水位を発表しています。
No.1の水位測定をやめることによってどういうメリットが東京電力にあったかというと、例えば1/24に行われた第10回汚染水WGで、このような資料を出して、「ウェルポイントによる地下水くみ上げにより、地盤改良天端レベル(O.P.+2.20m)以下で推移」と説明しているのです。

(1/24 第10回汚染水WG 資料5(28ページ)より)
名前は忘れましたが、この日のWGでこのページについて質問した委員がいたのですが、No.1のデータを全て削除してグラフを描いているため、実はこれに合わないデータがあることはわからず、見事にだまされていました。その時の東京電力の答として、「このグラフは地下水位が地盤改良天端レベル(O.P.+2.20m)以下で推移しているかどうかを見るためのものである」と明言していました。
おそらくこのようなことは、他のデータでもこれまでよく行われてきたことと思います。例えば塩素濃度については、昨年6月19日に地下水観測孔のデータを発表した際には発表しましたが、その後は塩素濃度については発表しなくなりました。塩素濃度のデータは、地下水に海水がどれくらい混ざっているのかを知るために重要なデータであり、2013年6月の発表でもNo.1で1500~4000ppmと明らかに海水が一部混ざっていることを示していました。こういうデータがあった以上、他の地下水観測孔についても普通に考えたら塩素濃度は測定するのですが、敢えて測定しないか、測定しても出さないという方針をとってきています。
東京電力は、10年以上前にデータ改ざんを指摘されて問題となってから、今回の福島第一原発事故においては、データの書き換えこそ(おそらく)しなくなりましたが、都合の悪いデータはまず取らないし、仮にとっても発表しないという方針をとっているように感じます。今回も全βの値が高濃度のサンプルで間違っているということが問題となりましたが、意図的な改竄はしていないと私は考えています。
No.1の水位についても、No.1-17に切り替えた時からNo.1の水位データはグラフから削除するという事を行ってきています(12/16の資料と12/18の資料を比較参照のこと)。ですが、私はこの切り替え当時の記者会見を見ていましたが、No.1の水位計は取り替えても同じ水位を示していましたから、No.1の水位はO.P.2.5m程度というのは間違いないのです。ただ、水位の違いと潮汐による変動をうまく説明できないために理由をつけて別の観測孔を掘り、切り替えた上でNo.1のデータを発表しなくなったということを行っているのです。
ではなぜNo.1の水位は高いのか?これについては理由はわかりません。ただ、No.1というのは一番古い観測孔であり、2013年に追加で掘られた地下水観測孔とは掘り方も違っているのかもしれません。また、地下の地層は平坦ではないので、たまたまそのあたりは2番目の透水層(被圧地下水)が浅いところまで来ていたため、被圧地下水の水位を測定していて、地下水位が高くなっていたということが一つの可能性として考えられます。

(8/23 福島第一原子力発電所周辺の地質・地下水および解析 10ページより)
No.1とNo.1-17のデータをいろいろ比べてみても、H-3のデータが全く合わないとか、水位以外にも説明できない事があるため、水位計の故障以外にこのようなデータを示す理由がきっとあるはずだと私は信じています。
(2) 地下水観測孔とトレンチのデータから2号機トレンチの漏洩箇所の推定その1
さて、これまで少し脱線しつつもNo.1エリアの地下水観測孔について書いてきました。今回の目的は、トレンチのどこから漏れていたのかを現在の地下水のデータから推論していくことですので、直近で得られたNo.1-6とNo.1-13のデータを用いて考えてみたいと思います。
先ほどNo.1エリアの観測孔(及びウエルポイント)でのCs-137の最高値についてまとめて示しましたが、あのデータをよく見てみると、Cs-137が高い濃度(1000Bq/L以上)検出されている観測孔はほとんどないのです。1000Bq/L以上のCs-137が検出されたのは、実はこの下の図に書き込んだNo.1-2と、最近データが出てきたNo.1-13、そしてNo.1-6だけなのです。

No.1-2については、ピットBのすぐ近くですから、ピットB付近で管路にヒビが入って砕石層に流れ出していたとすると、それが広がっていくというのはわかりやすいものです。セシウムは土壌に吸着されやすいため、あまり移動しないということがこれまでの研究でわかっていますので、元々2011年4月に漏れ出したときの値が1.9E+06Bq/cm3=1.9E+09Bq/L、言い換えると、19億Bq/Lだとしても、付近の土壌から検出される値は数万Bq/Lであってもあまり不思議ではありません。
しかし、今回No.1-13でNo.1-2を超える値が検出されたということは注目に値します。もしNo.1-13のCs-137が、2011年4月の2号機の漏洩事故の時の漏洩に由来すると仮定すると、この付近で漏洩が起こっていたことの証拠になるからです。同様に、No.1-6でもNo.1-2よりは少ないですが、5000Bq/Lを超えるCs-137が検出されていることを考えると、このあたりからも漏洩していた可能性は高いと考えることができます。
もう一つの可能性として、このデータは、タービン建屋から直接漏洩し続けているCs-137を検出しているという考え方もあります。あとで述べるように、H-3のデータについては、2号トレンチとは別の漏えい源を仮定しないと説明しにくいデータもあるのですが、まずは2011年4月当時の漏洩として考えられるかどうかについて見ていきたいと思います。
では、この付近のトレンチやケーブル管路の状態を確認してみましょう。まず、第4回WGの資料に、No.1-6およびNo.1-13の近くを南北に走るケーブル管路について、重要な情報があります。

(8/27 第4回WG資料4(36ページ) より)
小さくてわかりにくいですが、2011年4月の測定データとして、No.1-13のすぐ近くにあるピット78番は空間線量が100mSv/h、北側のピット77番は空間線量が1070mSv/hという情報があったのです。このような線量を出すには、高濃度汚染水がこのピットの中を通っていないと有り得ません。先ほどの図に両方のピットの情報を追加してみました。南北を通るオレンジ色のケーブル管路の中を2011年4月の漏洩時に高濃度汚染水が通っていた事はまず間違いないと思います。

このケーブル管路は、南側の起点が上の図で「B2」と書いた場所になります。その場所からのサンプリングをした時の情報は「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」にも書いたのですが、昨年7/19の資料に掲載されています。北へ向かうケーブル管路の位置を含めてわかりやすく書いた資料が8/2の第1回WGの資料にありますのでそちらをここでは示します。

(8/2 第1回WG資料2(20ページ)より)
上の断面図にあるように、6列4段のケーブル管路は、高濃度汚染水がO.P.2960の高さにあれば少なくとも一番下の段は汚染水が通ることができる高さにありました。従って、高さの観点から考えても全く問題がなく、この管路を2011年4月に汚染水が北に向かって移動したことは疑いの余地はありません。
そして、ケーブル管路というのは岩着ではないために構造的に地震に弱いというのは東京電力が2011年4月5日にすでに明らかにしていることなのです。ですから、このケーブル管路のどこか(例えばピット78番付近)から汚染水が漏洩して、下の砕石層に流れ出たというのは可能性が高く、そこから流れ出た汚染水のセシウムをNo.1-6及びNo.1-13の地下水観測孔で検出しているというのが一番あり得る可能性であると思います。
この事は、No.1-5のボーリングコアの調査結果からも裏付けられます。この下の図を見ればわかるのですが、No.1-5でもCs-137がわずかに検出されましたが、それは主にO.P.2.5m付近でした。その高さというのは、今まで注目していた南北に走るケーブル管路の下の砕石層の高さです。決して、海水配管トレンチの下部の砕石層の高さ(O.P.0m程度)ではないことに注目してください。

(8/2 第1回WG資料2(26ページ)より)
これらのことから、この南北に走るケーブル管路のどこかで汚染水が漏れていて、その下の砕石層を汚染水が広がったというのはまず間違いがないと思われます。
(3) 地下水観測孔とトレンチのデータから2号機トレンチの漏洩箇所の推定その2
では、海水配管トレンチの分岐トレンチ(B1-1など)から漏れている可能性はないのでしょうか?これについては、2013年7月にB1-1地点に穴を開けて水位やたまっている水のサンプリングをした結果から、大量に漏れている可能性は低いと考えられます。その理由は「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」に書いたのですが、2年経っても2011年当時とほぼ同じ濃度の汚染水を検出することができたからです。
2号トレンチの立て坑Bから先の分岐トレンチについては、2011年5月にモルタルなどを流し込んで汚染水の流通がないようにしているので、2年前と同じ濃度であったならばこの分岐トレンチに地下水が流れ込んだりしていないという証拠になるのです。また、水位が2011年5月当時のO.P.3200程度からほとんど変わっていないとすれば、外に漏れ出していないという証拠にもなります(実際、O.P.3150(リンク先の15ページ)とほとんど変わっていませんでした)。

(7/22 「海側地下水および海水中放射性物質濃度上昇問題の現状と対策」に一部加筆)
B1-1からサンプリングした汚染水のデータは7/28に発表されました。Cs-137で16億Bq/Lと、元のトレンチの20億Bq/L(2011/3/30)とほとんど変わらない数値でした。この事は、水位が2011年5月当時から変動していなかった事と合わせて、B1-1を含む海水配管トレンチの分岐トレンチからはほとんど汚染水漏れを起こしていない可能性が高いということを示しています。
これは第1回WGの資料にも書かれていることです。ここでは省略しましたが、トレンチの水位が動いてもB1-1の水位が動かないため、水位の連動性は認められませんでした。

(8/2 第1回WG資料2(17ページ)より)
それに比べて、2号トレンチの立て坑Aのデータや立て坑Cのデータを見ると、海水配管トレンチのどこかで漏洩していると考えざるを得ないようなデータが出ています。詳細はこれまでに「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(2) トレンチの謎」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(4) トレンチの謎2 追加データ」、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(5) トレンチの謎3」にまとめたのでここではポイントだけ示します。
立て坑Aに関しては、「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(2) トレンチの謎」に示したように、2013年5月のデータは、タービン建屋とトレンチ立坑Aの濃度がほとんど同じでしたから、2年間の間に立坑Bまでのどこかから汚染水が地下に漏れ出して、その分を補充する形でタービン建屋からトレンチに汚染水が出て行ったことを示唆しています。
思い出していただきたいのは、汚染水循環処理システムを2年以上稼働させたので、Cs-137については2011年当初からすると2桁濃度が低くなっていることです。今回2013年5月の立て坑Aのデータは、その薄まったタービン建屋の汚染水の濃度とほぼ同等であったということです。

また、立て坑Cでは、深さを変えて3点でデータを取っていますが、不思議なことに下の方が濃くて上の方が薄いという結果です。

8/2 第1回WGの資料に同日東電HPの福島第一2,3号機海側トレンチ滞留水分析結果の情報を追加
この立て坑Aと立て坑Cのデータから考えると、以下のことが考えられます。
まず、2011年4月当時の海水配管トレンチと4つの立て坑の関係がわかるような図を作ってみました。色は赤が濃いほど汚染水のCs-137の濃度が濃いというイメージです。

もし、この下の図に記載してある海水配管トレンチに一切ヒビなど入っておらず、その後も漏れがないとすると、2013年8月の時点ではこのトレンチにたまっている汚染水は2011年4月当時の状態に近いCs-137濃度を保っていたはずです。つまり、1~2E+06Bq/cm3(10~20億Bq/L)の濃度であったはずです。(ちなみに現在はモバイル式処理装置でセシウムを除去する作業を行っているため、全体的に濃度が下がっています。)
B1-1に関しては、2013年7月時点でCs-137の1.6E+06Bq/cm3(16億Bq/L)と2年前のトレンチの2.0E+06Bq/cm3(20億Bq/L)とあまり変わっておらず、B1-1近傍及びそれにつながる立て坑Bからの漏えいはほとんどないということがわかります。

それでは、他の部分はどうなのでしょうか。今回新しく出てきた情報を確認してみましょう。下の図にデータを書き込んでみました。また、Cs-137の濃度に合わせて色を薄くしてあります。
下の図をちょっとみたらわかると思いますが、上の図のこうあるべき、という図とは全く異なり、かなりCs-137濃度が薄くなっていることがわかると思います。これはどういうことかというと、この立て坑A-立て坑C-立て坑Dをつなぐトレンチのどこかでヒビが入っており、そこから汚染水が2年間の間に少しずつ漏れ出していったということを示しているのです。

この図では省略したのですが、この立て坑Cは上部で別のトレンチと接続しており、2年の間に接続している上部のトレンチから汚染水や地下水が混入してきていると考えられます。(タービン建屋からの汚染水は下部からしか来ません。)ただし、深さ1mのデータと13mのデータを比較すると、1mのデータは塩素濃度は1/10なのに、Cs-137は1/3ですから、単なる地下水ではありません。塩分濃度が薄まりつつCs-137には汚染された何かが上部から混入してきています。
ただ、間違いなく言えることは、本来ならばこの立て坑CにもCs-137が2.0E+06Bq/cm3(20億Bq/L)程度の高濃度の汚染水がありました。それが2年の間にいつの間にか立て坑Cの体積に相当する量の汚染水がトレンチのどこかから漏れ出し、その代わりに立て坑Cにつながる上部のトレンチから汚染水或いは地下水、雨水が入ってきたのでしょう。
今回のデータは、2011年4月には立て坑Cに存在したはずの高濃度汚染水が概算で360トン程度は行方不明になっている(詳細は「2号機からの海洋漏洩の真実は?2年前の漏洩事故を再検証(5) トレンチの謎3」参照)ことを明確に示しており、漏えい地点は不明ではあるが、間違いなくトレンチから高濃度汚染水が流れ出たということを示しているのです。同じ2号機海水配管トレンチのそうでない事例としてB1-1のように2年前の濃度が維持されているケースがありますから、それと比較する事によって漏えいしていることはおわかりいただけると思います。
さて、B1-1に関しては漏洩している可能性は少ないと書きましたが、この分岐トレンチの汚染水を抜くという作業を行ってみると、その後の9/12に行われた第6回のWGでは、この分岐トレンチ部の汚染水を抜いたあと、水位が上がるという不思議な現象が起きました。

(9/12 第6回WG資料4(25ページ)より)
そこで、B1-1のサンプリングを行って放射能を測定したのですが、下の表に示すように7月に測定した時よりも8/28あるいは8/31には1/2以下に希釈されていることがわかったのです。塩素濃度が低くなっていますので、地下水もしくは塩素濃度がかなり低い汚染水がB1-1の分岐トレンチに混入してきたということになります。

この結果を説明するためには、東電が説明しているように二つの考え方があります。

一つは、立て坑Bを閉塞したのが完全ではなかったため、立て坑Aの方から汚染水が上がってきたとする説。確かに上の表には立て坑Aの2013年5月のデータも載っていて、それを見ると塩素濃度もCs-137の濃度も低いのでこういう説明もありうるのですが、だとすると大きな問題があります。立て坑Aから立て坑Bに至るまでの海水配管トレンチは全てこの2013年5月の時の濃度に薄まっていないといけないのです。ということは、2013年4月当時に存在した20億Bq/L(Cs-137)の汚染水のほとんどが、その後2年間でどこかへ漏れ出してしまっているということになります。
もう一つの考え方は、地下水が混入したとするものです。東電はこの分岐トレンチの近傍にあるNo.1-5の水位を測定し、8/31でO.P.2.27mであり、その時にB1-1の水位がO.P.2.46mと高かったため、地下水の浸入はなかったと主張していますが、先ほどの水位変動のグラフを見ると、トレンチ内の水を抜いた時には、周辺のNo.1、No.1-2、No.1-3よりも水位が低くなっています。ということは、No.1-5の方が西側にあって上流ですのでもっと水位が高いことが予想されます。

(9/12 第6回WG資料4(25ページ)より)
となると、常識的に考えて、回りの地下水の方が水位が高くなってしまったのでB1-1に地下水が流入してきたと考えるのが自然でしょう。ということは、地下水が流入できるルートがB1-1内に存在するということです。このことは、裏を返せば、B1-1の水位がO.P.3.1m程度あって周辺の地下水よりも水位が高かった時には、少しずつ周辺の地下水に漏れ出していた可能性があるということです。ただし、B1-1の水位はあまり下がっていませんから、ここからの流出はあまりなかったと考えて良いと思います。
また、先ほど検証したように、B1-1のCs-137の濃度は2013年7月にはほとんど2011年4月当時と変わりませんでした(若干希釈された程度)ので、その時までは流入はほとんどなかったと考えることができます。
こうやって考えてくると、トレンチのどこかというのは特定が難しいのですが、過去3年近くの間にトレンチから汚染水が漏れていたことはほぼ間違いないと思います。なぜならば海水配管トレンチから一切漏れなければ、2013年の測定においても立て坑Aや立て坑Cでのサンプリングで全て20億Bq/L程度のCs-137が検出されていたはずだからです。それがそうではなかったということは、どこかから漏れていて、その分を地下水やタービン建屋からの汚染水が埋めていって薄まっていったということです。
その点ではB1-1のように分岐トレンチについては濃度がほとんど変化しませんでしたので、大きな漏洩はなかったと予想されます。但し、水を抜いた時の水位変動から考えると、若干の漏洩は2年間のうちにあった可能性はあります。ただし、立て坑C付近よりはその漏洩した量は少ないと思われます。
結局、私の知りたい2011年4月当時にどこから漏れたか、ということについてまとめると、電源ケーブルトレンチから漏れていたのは恐らく間違いないでしょう。一方、海水配管トレンチに関しては漏れたのか漏れていなかったのかははっきりとはわからないということです。分岐トレンチについては、2011年4月当時はほとんど漏れていなかったであろうと考えられます。
(4) 2011年5月以降の漏洩はあったのか?
それとは別に、2011年5月以降現在までの漏洩はあったのか、という観点でみた場合は、明らかに海水配管トレンチのどこかから漏洩は起こっているはずです。それがどこから起こって、どこへ漏洩しているのかについては、今あるデータだけでは判断できません。
2011年5月以降の漏洩を考えるためには、別のデータをみてみましょう。これまではセシウムのデータだけを考えてきました。しかし、地下水観測孔のデータをよく見ると、Cs-137のデータと全βあるいはトリチウムのデータはその分布が一致せず、単に2011年4月の漏洩だけを考えておけばいいというものではないことがわかります。
それが一番顕著にでているのは、トリチウムのデータです。トリチウムは水分子としての挙動を示すため、SrやCsよりはずっと早く移動します。そのため、全βがあまり変動がなくてもトリチウムが大きく上昇していたら、いずれ全βの値が上昇してくる可能性もあるのです。
そういう視点で地下水観測孔のトリチウムのデータを見直してみましょう。まず驚くのは、ほとんど全ての地下水観測孔で数万Bq/Lはでていることです。その中でも、いくつかのポイントでは10万Bq/L以上の値を示しています。特に、No.1、No.1-12、No.1-3、すぐに観測が中止されたNo.1-1、で高い値を示していることは重要です。

これらのポイントは、2011年4月に漏洩を起こしたピットBやピットAよりも北側にあり、東西に並んでいる観測孔です。No.1-5やNo.1-12付近の電源ケーブル管路から漏洩したにしても、2011年4月の漏洩だけで説明するのは無理があると思います。ここでは詳細は示しませんが、No.1-3、No.1、No.1-1を結ぶラインに沿って西から東に汚染水が流れていった可能性が一つ考えられます。
一方全βのデータは、数え落とし効果により今後高濃度のデータが上方修正される可能性が高いですが、ほとんどのデータは2011年4月の漏洩で説明がつきます。ただ、No.1-16で全βが2013年11月頃からずっと上昇傾向にあり、いつの間にか300万Bq/Lにも達しました。

これもひょっとしたら、トリチウムのデータから読み取れる、西から東に移動していった汚染水の動きを遅れて示しているのかもしれません。このデータも2011年4月の漏洩以外の漏洩の可能性を示唆していると思います。
ただし、先ほどのべた、海水配管トレンチからの大量の漏洩がこれにあたるのか、あるいはまた別の漏洩なのかについては、ここではふれないでおきます。今回の目的は現在のデータから2011年4月当時の漏洩箇所を予測することですから、それ以降の漏洩の可能性については、もう少し他のデータと合わせて改めて別の機会に書こうと思います。
今回は2011年4月に起こった現象を考えるため、2013年後半以降に明らかになってきたデータを用いてどこから漏洩が起こっていたのか考えてみました。そういう意味では3年前というよりは最近のデータのまとめにあたりますが、目的はあくまで2011年4月の漏洩時に何があったかを推論することです。この作業を行っておくことにより、それ以降に何が起こったかをわけて考えることができるようになるはずです。
次回はいよいよ、今回の分析とこれまでの検証結果を受けて、2011年4月のあの当時、何が起こっていたのか、わかる範囲で迫っていきたいと思います。お楽しみに。
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