今度はH6エリアタンク上部から100トンの汚染水漏洩!
東京電力の福島第一原発で、またあらたな汚染水漏洩事故が起きました。昨年8月に300トンの漏えいがあったH4エリアの近くにあるH6エリアのタンクからの漏洩事故です。
東京電力は臨時の記者会見を開きましたが、その時の説明及び資料からみると、またか、という感じです。まだ東電としても情報を収集中で、全ての情報が完全に明らかになっているわけではないのですが、重要な情報はかなり開示されているようですので、いつものように速報でお伝えします。
本日(2/20)の報道配付資料「福島第一原子力発電所H6エリアタンク上部天板部のフランジ部からの水の漏えいについて」という資料を読めば大体のことはわかるのでそれを元に情報を確認してみましょう。
まず、このH6エリアがどこかというのを確認してみます。下の図でいうとまん中辺りですね。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
H6エリアの中でも、C群タンクと呼ばれるタンクの中の一つが、満水になってしまい、上から漏れ出したということなのです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
大雨が降ってあふれ出したわけでもないのにどうして漏れたのでしょうか?それは、RO濃縮塩水をEエリアに送ろうとしてポンプを動かしていたからなのです。ポンプは手動ではなく、水がたまると自動で動く設定になっていました。
記者会見の情報によると、ポンプが作動した時刻は、19日の13:45~14:57、次は17:42~19:15、その後は21:48~23:00だそうです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
本来、H6エリアに通じるバルブ(弁)は3つありますが、一番手前のバルブがしまっているはずでした。その隣の二つは空いた状態になっていました。バルブの写真が下にありますが、一番左がしまっているはずの手前のバルブです。確かにこの写真を見ると閉の状態のようです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
一番手前のバルブがしまっていたら、H6エリアに濃縮塩水が入ってくることはないのですが、実際に入ってきてあふれたということはこの手前のバルブが何かおかしかったというのが東電の説明です。ただ、残りの二つのバルブも本来はしまっているはずのものでしたから、なぜこの二つのバルブが開いていたのかは調査中ということでした。
時系列で見ると、実は前日の2/19に当該タンク(1000トンタンク:高さ12m)の水位計で水位高高の警報(警報設定値としては98.9%の水位)が14:01に発生していました。このタンクはもともと97.9%で運用されていました。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
しかしながら、このH6タンクエリアに汚染水を移送するという予定がなかったことから、汚染水が増えるというのは予想できず、東京電力はタンク回りの点検は行いましたが、異常はなかったということで、計器の故障だろうと判断したということでした。というのも、この時の水位計のデータが15時を過ぎたあたりで急降下し、そのあとギザギザと動いておかしな動き(ハンチング)をしていたからです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
この時に実際にタンクの上部にどれだけの水がたまっているかを確認していたら、今回の漏洩事故は防げたかあるいは最小限で食い止められたのですが、そのような確認は行われませんでした。
その後、23:25にタンクエリアパトロールにおいて、H6タンクエリア当該タンクの上部から水が漏れていることを確認しました。そこで、24:30頃(2/20の0:30頃)にタンク内水面を確認し、天板まで水位があることを確認しました。このタンクの最上面フランジから水が漏れて、雨どいを通って堰外へ流出していた事が確認されました。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
記者会見では鉛筆1本くらいの流量ということでした。鉛筆1本の流量の目安が過去には適切なものがないので、1日数トンくらいでしょうか。ただし、記者会見の話を聞いていると、2/19の午後4時以降の半日以内に100トン漏れ出したと考えているということでした。本当はいつからあふれ出していたのか?このあたりについてはポンプの1時間あたりの流量などの情報がわからないとはっきりしません。記者会見の後半の情報によると、40トン/時ということなので、100トンはこのポンプが2時間半稼働したら漏れてしまうということですね。となると、鉛筆一本というのが少し少なめなのかもしれません。
当然のことながら東京電力はすぐに対応を取り、開いていた二つのバルブを「閉」にして、さらにこのタンクから隣接する別のタンクに水を移動して当該タンクの水位を下げたため、2/20の5:40に漏洩は停止しました。
今回の事故により、堰の外側への漏洩量は約100トン(堰内は10トンということです)と考えられています。下の図で水色に塗ったエリアに水がたまっているのが写真でもわかると思います。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
なお、この100トンの算出根拠ですが、RO濃縮塩水のポンプの作動記録(処理水がたまると自動で動く仕組みだそうです)と、当初のEエリアにはほとんど移送されていなかったという事実から、ほとんど全てがH6エリアに移送されたと判断し、もともとのタンクにあった空間ボリュームを差し引いて計算したということです。
なお、今回漏洩した雨どい水をサンプリングして測定すると、全βが2.3億Bq/Lだということがわかっています。H4エリアのタンクから漏洩したときは確か全βで8000万Bq/L程度だったと思うので、それよりも濃い濃度ですが、これはおそらくこのタンクに入っていた汚染水が比較的当初の高濃度のものであるからと考えられます。ただ、それについてはいずれ正確な情報が出てくると思います。なお、報道関係者宛のメールでは最高で2.4億Bq/Lとなっています。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
この100トンの汚染水については、回収中ということで、近くに排水路がないため、海への漏洩はないだろうというのが東京電力の見解ですが、回収できなかった汚染水は全て地中に漏れていき、地下水と混ざって、地下水バイパスの水を汚染させる可能性があるということは忘れてはいけません。
なぜこのように確認が遅れたのか?そこにはどんな問題があったのか、ということについては明日以降にもっと詳しい情報が出てこないとわからないと思いますが、東京電力の対応に問題があった可能性は高いと思います。
今日は速報ということでここまでとします。必要があれば続報を書きます。
2/22追記:続報を書きましたのでそちらもご覧下さい。
「今度はH6エリアタンク上部から100トンの汚染水漏洩!(2)誰がなぜバルブを開けた?」
また、規制庁へは2/20の朝8時段階の情報として報告をしていたようです。
原子力規制委員会「東京電力株式会社福島第一原子力発電所におけるH6タンクエリアのRO濃縮水貯留タンク上部からRO濃縮水の堰外への漏えいについて報告を受けました」
まず、このH6エリアがどこかというのを確認してみます。下の図でいうとまん中辺りですね。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
H6エリアの中でも、C群タンクと呼ばれるタンクの中の一つが、満水になってしまい、上から漏れ出したということなのです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
大雨が降ってあふれ出したわけでもないのにどうして漏れたのでしょうか?それは、RO濃縮塩水をEエリアに送ろうとしてポンプを動かしていたからなのです。ポンプは手動ではなく、水がたまると自動で動く設定になっていました。
記者会見の情報によると、ポンプが作動した時刻は、19日の13:45~14:57、次は17:42~19:15、その後は21:48~23:00だそうです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
本来、H6エリアに通じるバルブ(弁)は3つありますが、一番手前のバルブがしまっているはずでした。その隣の二つは空いた状態になっていました。バルブの写真が下にありますが、一番左がしまっているはずの手前のバルブです。確かにこの写真を見ると閉の状態のようです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
一番手前のバルブがしまっていたら、H6エリアに濃縮塩水が入ってくることはないのですが、実際に入ってきてあふれたということはこの手前のバルブが何かおかしかったというのが東電の説明です。ただ、残りの二つのバルブも本来はしまっているはずのものでしたから、なぜこの二つのバルブが開いていたのかは調査中ということでした。
時系列で見ると、実は前日の2/19に当該タンク(1000トンタンク:高さ12m)の水位計で水位高高の警報(警報設定値としては98.9%の水位)が14:01に発生していました。このタンクはもともと97.9%で運用されていました。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
しかしながら、このH6タンクエリアに汚染水を移送するという予定がなかったことから、汚染水が増えるというのは予想できず、東京電力はタンク回りの点検は行いましたが、異常はなかったということで、計器の故障だろうと判断したということでした。というのも、この時の水位計のデータが15時を過ぎたあたりで急降下し、そのあとギザギザと動いておかしな動き(ハンチング)をしていたからです。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
この時に実際にタンクの上部にどれだけの水がたまっているかを確認していたら、今回の漏洩事故は防げたかあるいは最小限で食い止められたのですが、そのような確認は行われませんでした。
その後、23:25にタンクエリアパトロールにおいて、H6タンクエリア当該タンクの上部から水が漏れていることを確認しました。そこで、24:30頃(2/20の0:30頃)にタンク内水面を確認し、天板まで水位があることを確認しました。このタンクの最上面フランジから水が漏れて、雨どいを通って堰外へ流出していた事が確認されました。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
記者会見では鉛筆1本くらいの流量ということでした。鉛筆1本の流量の目安が過去には適切なものがないので、1日数トンくらいでしょうか。ただし、記者会見の話を聞いていると、2/19の午後4時以降の半日以内に100トン漏れ出したと考えているということでした。本当はいつからあふれ出していたのか?このあたりについてはポンプの1時間あたりの流量などの情報がわからないとはっきりしません。記者会見の後半の情報によると、40トン/時ということなので、100トンはこのポンプが2時間半稼働したら漏れてしまうということですね。となると、鉛筆一本というのが少し少なめなのかもしれません。
当然のことながら東京電力はすぐに対応を取り、開いていた二つのバルブを「閉」にして、さらにこのタンクから隣接する別のタンクに水を移動して当該タンクの水位を下げたため、2/20の5:40に漏洩は停止しました。
今回の事故により、堰の外側への漏洩量は約100トン(堰内は10トンということです)と考えられています。下の図で水色に塗ったエリアに水がたまっているのが写真でもわかると思います。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
なお、この100トンの算出根拠ですが、RO濃縮塩水のポンプの作動記録(処理水がたまると自動で動く仕組みだそうです)と、当初のEエリアにはほとんど移送されていなかったという事実から、ほとんど全てがH6エリアに移送されたと判断し、もともとのタンクにあった空間ボリュームを差し引いて計算したということです。
なお、今回漏洩した雨どい水をサンプリングして測定すると、全βが2.3億Bq/Lだということがわかっています。H4エリアのタンクから漏洩したときは確か全βで8000万Bq/L程度だったと思うので、それよりも濃い濃度ですが、これはおそらくこのタンクに入っていた汚染水が比較的当初の高濃度のものであるからと考えられます。ただ、それについてはいずれ正確な情報が出てくると思います。なお、報道関係者宛のメールでは最高で2.4億Bq/Lとなっています。

(2/20 東京電力HP 報道配付資料 より)
この100トンの汚染水については、回収中ということで、近くに排水路がないため、海への漏洩はないだろうというのが東京電力の見解ですが、回収できなかった汚染水は全て地中に漏れていき、地下水と混ざって、地下水バイパスの水を汚染させる可能性があるということは忘れてはいけません。
なぜこのように確認が遅れたのか?そこにはどんな問題があったのか、ということについては明日以降にもっと詳しい情報が出てこないとわからないと思いますが、東京電力の対応に問題があった可能性は高いと思います。
今日は速報ということでここまでとします。必要があれば続報を書きます。
2/22追記:続報を書きましたのでそちらもご覧下さい。
「今度はH6エリアタンク上部から100トンの汚染水漏洩!(2)誰がなぜバルブを開けた?」
また、規制庁へは2/20の朝8時段階の情報として報告をしていたようです。
原子力規制委員会「東京電力株式会社福島第一原子力発電所におけるH6タンクエリアのRO濃縮水貯留タンク上部からRO濃縮水の堰外への漏えいについて報告を受けました」
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