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護岸エリアの中粒砂岩層(透水層)は海とどうつながっているのか?


今回の話は、元々は「護岸付近にある地下水観測孔の「深さの違い」で解けてくる謎」においていくつかついたコメントに対する議論用の資料として作成したものですが、福島第一原発の護岸付近の地下水がどう流れているのか、そして汚染水は地下水からどうやって海に流れていっているのかを理解していくためには重要な事だと思っていますので、一つの話としてまとめました。また、考えていくうちにわかってきたことがありますので、ぜひ最後までお読みください。

「護岸付近にある地下水観測孔の「深さの違い」で解けてくる謎」に対していただいたひとり事故調さんのコメント

「まず、No.1-9(5m孔)の水位が潮汐と連動するからといって、岸壁が水を通すとは言えない、という様に考えを変えました。No.1-9は岸壁のすぐ側ですから、どうしてもそのように考えがちですが、よく考えると、地盤改良の壁の外側ですから、埋土とその下の中粒砂岩層とは水理的に繋がっているので、海とも繋がっていることになり、岸壁が水を通さなくてもこのような水位変化になると思います。 」

とありましたが、私は「水理的につながっている」のところの意味ががよく理解できなかったため、もう少し細かく確認したいと思いました。そのためにはどうしても図を用いて議論しないといけないため、いくつも同じような図が出てきます。

今回の話は元々がコメントに対する返信用なので、一つ一つの図に特に細かく説明を入れていませんが、そこはサッと流して読んでいって下さい。


「水理的につながっている」ということを理解する上で私が確認したいポイントは以下のことでした。

既設護岸は中粒砂岩層で止まっているのか、その下の泥岩層(難透水層)まで達しているのか?

そのために必要な情報をいくつも図で並べてみました。それぞれの図に対してはあまり解説はつけていません。

(1) 海側遮水壁の資料(2011年8月31日 東電HP)

0306-1

この図では、既設護岸は泥岩の難透水層にまで到達しています。


(2) 【資料2】汚染水問題に関する各対策の実施状況(2013年8月23日 汚染水処理対策委員会)

0306-2


この図でも、既設護岸は泥岩の難透水層にまで到達しています。
海側遮水壁は、さらに下の互層の下の二つ目の難透水層にまで到達するように掘られているようです。

そのため、海側遮水壁ができた場合は下部透水層までせき止めてしまうため、その手前に記載がある「地下水ドレン」によってせき止めた地下水を汲み上げることは必須です。


(3) 【資料2】汚染水問題に関する各対策の実施状況(2013年8月23日 汚染水処理対策委員会)

0306-3

この図は建屋まで含めた全体的な断面図の模式図です。この図では既設護岸矢板がないので、中粒砂岩層がつながっているかどうかはわかりません。


上のいくつかの図は、既設護岸が難透水層まで到達している図でした。その一方で、既設護岸が中粒砂岩層で止まっているような書き方をしている図もあります。

(4) 第3回汚染水WGの資料 38ページ

0306-4

この図では、既設護岸は中粒砂岩層で止まっています。

この図の通りであれば、「水理的につながっている」というのはよくわかるのですが、実際はどうなのだろうか?ということです。


ただ、同じような図でも、別の時には難透水層であるで泥岩に達しているように見える図もあります。

(5) 第6回汚染水WG 30ページ

0306-5

これらは全てイメージ図なので、よくわかりません。そこで、東電の出しているイメージ図よりも正確と考えられる、汚染水処理対策委員会の資料から探してみました。

(6) 12/10 第11回汚染水処理対策委員会 179枚目

0306-6

この資料では、「既設護岸矢板」という表現で難透水層まで達しているイメージです。



(7) 12/10 第11回汚染水処理対策委員会 110枚目

0306-7

こちらは、既設護岸はありませんが、地層がどのような深さになっているのか、ボーリング調査に基づいて計算したものだと思います。前後のページを見ると、1号機と4号機では地層の深さが異なっているのがよくわかります。


(8) 8/23 第5回汚染水処理対策委員会 34ページ

0306-8

上の図は、モデルを組むときの模式図なのですが、中粒砂岩層で行き来があるという前提で考えています。


(9) 8/23 第5回汚染水処理対策委員会 18ページ

0306-9


これらの資料から私が考えたこと

これらの資料をみて私が考えたのは、おそらく既設護岸の矢板は中粒砂岩層で止まっているのではなく、その下の難透水層まで達しているのだろうということです。しかし、その既設護岸矢板にはあまり意味がないということではないかと考えました。その根拠は上の表です。

この資料においては、既設護岸の矢板は透水係数は1.0E-4 cm/sec と想定(中粒砂岩の1/30程度)しています。いろいろなシミュレーションを行うにあたり、「地震による影響を考慮し、透水係数を1.0E-4 cm/secとする」と記載しています。

この数字は、現在建設中の海側遮水壁の透水係数が設計条件として1.0E-6 cm/secとしているものよりも100倍以上大きなもので、地盤改良で実施した水ガラスの透水係数の1.0E-05~3.0E-05 cm/sec (上図の(4)参照)よりも3~10倍大きいものです。

ひとり事故調さんのコメント

「まず、No.1-9(5m孔)の水位が潮汐と連動するからといって、岸壁が水を通すとは言えない、という様に考えを変えました。No.1-9は岸壁のすぐ側ですから、どうしてもそのように考えがちですが、よく考えると、地盤改良の壁の外側ですから、埋土とその下の中粒砂岩層とは水理的に繋がっているので、海とも繋がっていることになり、岸壁が水を通さなくてもこのような水位変化になると思います。 」

とありましたが、既設護岸矢板がどの深さまで達しているか?と考えるかによって、その判断が変わってくるかと思いました。既設護岸が中粒砂岩層までで止まっているならば水理的につながっているのは明らかですが、既設護岸矢板が難透水層まで達している場合に、水理的につながっているといえるかどうか、微妙な気がします。ただ私は、後者の場合でも、既設護岸が透水係数が高くなったと想定されている事を考えると、実質的には水理的につながっていると言っても良いと思います。

そういう考え方でいいのかな?と思っていましたが、さらに考えていくと別の事に気がつきました。


スクリーン部分は実は中粒砂岩層が海とつながっているのではないか?

この事を考えていたときに、ふと気がついたことがあります。実は現在の護岸には、既設護岸矢板がない部分というのが存在します。それはスクリーンです。

0309-1
(7/29 第14回特定原子力施設監視・評価検討会 21ページ)

上の図は、スクリーン付近の状況の東西方向の断面図を、高さの関係がわかるようにするために、南北の位置は様々な構造物をミックスして書いたものです。

その図の一部を拡大したものがこの下の図です。

0309-2

ですが、この図は南北に異なる位置にあるスクリーンと海水配管トレンチをミックスさせたものなので、スクリーンポンプ室の部分の海面の断面図として書き直してみると下のようになります。

左側(西側)にある海水配管トレンチは無視してもらって、右側(東側)の海とスクリーンの接する部分を見て下さい。

0309-3

スクリーンの入口付近は、おそらく上の図のようにコンクリートの下に中粒砂岩層があり、これはそのまま護岸矢板なしで海側の中粒砂岩層と通じています。「水理的につながっている」はずです。奥(西)にあるスクリーンポンプ室付近は深く掘り下げて泥岩部分にまで達していますが、その手前の部分の基礎が泥岩層に達するような形では描かれていない以上、おそらく入口だけ泥岩部分にまで掘り下げているということはないと思います。実際、入口部分は少しコンクリートが厚くなっていますが、泥岩層には達していない断面図ですよね。

2号スクリーンを南北方向に切った断面図がありましたので、それに書き足すとこんなイメージでしょうか。
0309-6
(7/29 第14回特定原子力施設監視・評価検討会 19ページに加筆)

だとすると、スクリーンの部分では中粒砂岩層は海とつながっており、その中粒砂岩層はスクリーンよりも北側では水ガラスの遮水壁の内側(西側)でつながっているということになり、No.1の水位が潮位と連動することも不思議ではありません。

また、この下の図をよく見ると、水ガラスの遮水壁の外側も、護岸矢板を通らずに、スクリーンの入口から海と水理的につながりうることがわかります。だとすれば、No.1-9が潮位と連動するのも護岸矢板を想定しなくても理解できます。

0309-4

昨年の秋に、海側の水ガラスによる遮水壁ができたのにNo.1で水位変動が潮位に連動しているということが問題になったとき、みんなスクリーンの方から海と通じているのではないか?と直感的に考えていましたが、具体的にその通じ方が見えてきた気もします。

こういう理解の元にひとり事故調さんの下記のコメントを読んでみます。

『・No.1とNo.1-9の水位変化について

両者は10月11日頃に同じ水位になり、10月16日の大雨でそろって上昇し、17日から差が出はじめ、No.1の方が0.6mぐらい高い状態となりました。これは地盤改良工事が進んだ結果、No.1を取り囲むような壁ができたためです。この地中の壁は、西側が開いているので水理的な連続性は保たれているのですが、袋小路のような状態になって、中粒砂岩層の水位が上昇したのです。No.1-9の方は地盤改良地中壁の外側ですから影響を受けません。』

確かに、下の図のように10月になって、スクリーンとNo.1の間に水ガラスの遮水壁工事が進んでいます。このためにNo.1の水位が下がらなくなったということは理解としておかしくないような気がします。

0309-7


以上のことが、いただいたコメントに対して返答を書こうと思っていて考えたことです。スクリーンの部分に護岸があるのかないのか、というところは不確かな情報に基づいていますが、こう考えると中粒砂岩層が海につながっている事もすっきりと説明ができます。

参考までに、スクリーンの入口部分の写真を東電HPの写真・動画集より示しておきます。私にはスクリーン部分は護岸矢板がないように見えましたが、ご存じの方がいたら教えていただけたらと思います。

0309-8
(東電HP 写真・動画集2013年2月公開写真集 80-034 2011年4/6撮影 より一部加筆)


読んだ方のコメント等お待ちしています。

 
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コメント

Re: Re: スクリーン・ポンプ室の断面図

これは、毎日.jpの魚拓ですが、この福島県の水産関係者や漁師もよく知る【地下水の湧き出る場所】などから出ていたんでしょうね。
http://www.nionoumi.net/gz/zi_liao/entori/2013/7/26_zai_jia_dong_qianni_henogomino_shang_xianwo_juemeyo_zi_min_tuo_yuan_fano_qi_shou_he_ye_tai_lang_shini_wenku_2.html

最近では、韓国のメディアがこの堤防付近にボートで接近したら、「ピピピ」と鳴って、21マイクロシーベルト、基準値の110倍だったので堤防が汚染されてる!とかいう記事もありましたね。おい、そこは危ないよと思ってましたがw

Re: スクリーン・ポンプ室の断面図

よっちゃんさん

> 2014年3月19日の規制庁と東電の面談資料で、スクリーン室・ポンプ室の断面図がありましたので、お知らせしときます。
>
> ■p.17目あたりに【参考】スクリーンポンプ室下部の構造(2号機)/断面図(A-A)あり
> http://www.nsr.go.jp/disclosure/meeting/FAM/data/20140319_02_shiryo.pdf

情報ありがとうございました!
まさに私が予想したとおりでしたね。これで、地下水がこの部分から海に通じていたことが明らかになりましたね。今後はここに地盤改良をすることでこの行き来が抑えられることと思います。

スクリーン・ポンプ室の断面図

2014年3月19日の規制庁と東電の面談資料で、スクリーン室・ポンプ室の断面図がありましたので、お知らせしときます。

■p.17目あたりに【参考】スクリーンポンプ室下部の構造(2号機)/断面図(A-A)あり
http://www.nsr.go.jp/disclosure/meeting/FAM/data/20140319_02_shiryo.pdf

Re: Re: Re: 既設護岸矢板の深度について

ひとり事故調さん

> > ところで、ひとり事故調さんの考えとしては、中粒砂岩層が海とつながっているというのは、断面図を考えたときに既設護岸矢板はどの深さまであるというイメージなのでしょうか。矢板は難透水層にまで達していないという考え方なのでしょうか?
>
> 潮汐のパターンとピッタリ合う水位変化そのものが、海と繋がっている何よりの証拠だと考え、具体的にどこでつながっているかということは、正直、何も考えていませんでした。おそらくTSOKDBAさんが考察されたように、スクリーンの下で繋がっているというのが正解と思いますが、なにせ正確な資料が無いので、これ以上は検討できないと思います。

今回、ひとり事故調さんといろいろ議論したことで私の頭の中も少し整理できてきた気がします。
一時中断してしまった、3年前の2011年3月末からの2号機スクリーンの漏洩の話にもつなげられそうな気がしてきました。最後のまとめを4/2までには書きあげたいと思っています。また読んだらぜひコメントいたdければと思います。

Re: Re: 既設護岸矢板の深度について

> ところで、ひとり事故調さんの考えとしては、中粒砂岩層が海とつながっているというのは、断面図を考えたときに既設護岸矢板はどの深さまであるというイメージなのでしょうか。矢板は難透水層にまで達していないという考え方なのでしょうか?

潮汐のパターンとピッタリ合う水位変化そのものが、海と繋がっている何よりの証拠だと考え、具体的にどこでつながっているかということは、正直、何も考えていませんでした。おそらくTSOKDBAさんが考察されたように、スクリーンの下で繋がっているというのが正解と思いますが、なにせ正確な資料が無いので、これ以上は検討できないと思います。

Re: 既設護岸矢板の深度について

ひとり事故調さん

> 今夜の報道ステーションで、現場の作業員の方が詳しい電源ケーブル敷設の図面が無いという話をされていました。これについては、記者会見でも質問が出されましたが、明解な回答は得られませんでした。それを見ていて思ったのは、ひょっとすると護岸部の建設当時の図面を失ったか、発見できていないのではないか、ということです。

ピットAの北側につながるスクリーン操作室電線管路の図面にしても、おしどりマコさんがさんざん記者会見で追求しても、今もまだ線量が高くて?入れない「事務本館」に図面があり、よくわからないということでした。スクリーン操作室電線管路については、結局作業員の記憶やどこかにあった図面などを元に第6回汚染水WGの資料で公式に認められましたが、他の図面にしても正確なものは残っていないのでしょうね。


ところで、ひとり事故調さんの考えとしては、中粒砂岩層が海とつながっているというのは、断面図を考えたときに既設護岸矢板はどの深さまであるというイメージなのでしょうか。矢板は難透水層にまで達していないという考え方なのでしょうか?

私はそこがわからなかったのでいろんな図面を引っ張り出して頭の中を整理しだしたのですが、結果的に全然別のアイデア(スクリーンでは通じているのでは?)に行き着きました。

既設護岸矢板の深度について

既設護岸矢板が中粒砂岩層の底まで達しているのかどうか、これだけ資料によってまちまちだとは思いませんでした。
今夜の報道ステーションで、現場の作業員の方が詳しい電源ケーブル敷設の図面が無いという話をされていました。これについては、記者会見でも質問が出されましたが、明解な回答は得られませんでした。それを見ていて思ったのは、ひょっとすると護岸部の建設当時の図面を失ったか、発見できていないのではないか、ということです。文書を保管していた建屋が津波で流されたか、あるいは単に文書管理がずさんで、保管場所が分らなくなっているのではないか、と思います。もし、そうであれば、既設護岸矢板の図がまちまちなのは理解できると思います。

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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