地下水バイパスで汲み上げた地下水は5月にも海へ放出へ
2013年から東電が漁連を相手に説明を続けてきた地下水バイパスですが、ついに福島県漁連が条件付きで容認し、地下水バイパスからの地下水を海へ放出する環境が整いました。東京電力は本日(4/8)、明日の4/9から地下水のくみ上げを行うと発表したようです。実際の放出はコウナゴ漁が終わる5月以降になるようです。
今回は、地下水バイパスの最近の動きについてまとめます。
今年の2/3に「地下水バイパス放出に向けた動き?排水基準の発表:漁連はどう対応するか?」を書いてから2ヶ月経ちました。
その後、2/25に東京電力は福島県漁連組合長会議で説明を行いました。
しかしながら、ちょうどその数日前の2/19にH6エリアにおいてタンク上部から約100トンの汚染水が漏れ出したという事故があったばかりであり、とても東電のやることに信頼がおけないという懸念が続出しました。
この事故が起こったことで、JF全漁連は2/28に、岸JF全漁連会長が赤羽経済産業副大臣に要請書を手渡すとともに東電の廣瀬社長に対して厳重抗議を行いました。
しかしながら、昨年までとは違い、3月に入ると動きがありました。3/7に福島県漁連はいわき市漁協向けの説明会を開催しました。東京電力からも地下水バイパスについて説明がありました。その場で、県漁連の野崎会長は、25日の県漁協組合長会までに意見集約をしたいという考えを示しました。福島県漁連というのは、JF福島漁連のHPを見ると、いくつかの構成員のうちで大きいのは相馬双葉漁協と、いわき市漁協の二つのようです。このHPには、福島県沿岸での試験操業の情報がたくさん載っています。

この説明会を受けて、それぞれの漁協で集会を開いて意見集約をしていったわけですが、いわき市漁協では18日に理事会を開催し、受け入れの方針を決めました。一方、相馬双葉漁協では3/14にも東電からの説明会もありましたが、同じ18日の理事会で一部反対が出たため意見集約には至らず、24日に再度協議することになりました。
その後3/24には相馬双葉漁協も受け入れを容認することを決めました。この結果、3/25の県漁連の組合長会議では東電と国に対して5項目の要望書を提出して地下水バイパスを容認することを決めました。この日も当然のごとく東京電力は説明を行っています。

(福島民報 3/26より)
これを受けて、4/4に東京電力は福島県漁業協同組合連合会からの要望書に対する回答を提出しました。5項目のうち4項目しかないのは、最後の5項目目は東京電力ではなく国が対応するべき事だからでしょう。


(4/4 東電HP 要望に対する回答書 より)
これを受けて、福島県漁連は同4日に理事会を開催し、東電の回答を了承して受け入れを正式に決めました。
これにより、1年以上かかって地下水バイパスは実施されることが正式に決定されました。ただし、コウナゴ漁が終わってから放出が始まるということなので、5月以降の実施ということになるようです。
4/7には全漁連の岸会長が「茂木経済産業大臣を訪れ、地下水バイパスに関する要望書を手渡しました。この中では、東京電力以外の第三者による運用の監視や、風評被害が生じた場合、国が責任を持って解決に当たることなどを求め(NHKニュースより)」たということです。
これを受けて、本日8日、東京電力は地下水のくみ上げを9日から始めると発表しました。すでに昨年に地下水は汲み上げられていますが、今回の決定を受けて新たに地下水を汲み上げ、分析を東京電力と第三者機関で行うということのようです。

4/8に発表された資料では、下記のような放出基準を設けて運用するということです。

実際の運用は、9つのタンクを3つのグループに分けて、貯留-分析-排水のサイクルで運用するという予定のようです。

以上が2月の東電の放出基準発表から2ヶ月間の動きです。マスコミの報道だけを見ていると、昨年とは異なり大きな反対もあまりなく、これ以上反対を続けても仕方がない、という感じで要望書を突きつけて容認した、という感じです。苦渋の決断だった、というのもわかります。
ただ、本当に東電が発表している通りに行くのでしょうか。これまで東電の汚染水管理では、想定外のことが数多く起こってきました。まず気になるのが第三者機関とはどこか?ということです。以前おしどりマコさんがこの問題を確認した際は、環境総合テクノスという関西電力のグループ会社であり、本当に中立な第三者機関であるかどうかは疑わしいということがわかっています。今回の第三者機関がどこなのかはわかりませんが、そのあたりも東京電力は明らかにして欲しいと思います。
それから、9つのタンクを3つのグループに分けた運用が本当に成立するのか?という疑問です。この3グループ制は、基本的に運用基準を超える放射性物質は検出されないという前提で作られているものです。もし運用基準を超えた地下水が出てきた場合には、溜めた水はどうするのか?そのあたりの方針がまだ明らかにされていません。うまくいくことを前提にした計画は全て破綻してきたことはこれまでの3年間の歴史が物語っています。
2013年8月のH4エリアタンクからの汚染水漏れや、2012年3月の汚染水漏れなどの汚染水が混ざった地下水が地下水バイパスから汲み上げられて放射性物質濃度が上昇した場合、どう対応するのか、東京電力は事前にその場合の対策を示すことが求められると思います。
とはいえ、関係者の説得に1年以上かかりましたが、地下水バイパスが稼働するようになれば、建屋に流れ込む地下水を1日100トン近く減らすことができるといわれています。今回の地下水バイパス稼働決定により、少しでも汚染水の増加に歯止めがかかることを願っています。
その後、2/25に東京電力は福島県漁連組合長会議で説明を行いました。
しかしながら、ちょうどその数日前の2/19にH6エリアにおいてタンク上部から約100トンの汚染水が漏れ出したという事故があったばかりであり、とても東電のやることに信頼がおけないという懸念が続出しました。
この事故が起こったことで、JF全漁連は2/28に、岸JF全漁連会長が赤羽経済産業副大臣に要請書を手渡すとともに東電の廣瀬社長に対して厳重抗議を行いました。
しかしながら、昨年までとは違い、3月に入ると動きがありました。3/7に福島県漁連はいわき市漁協向けの説明会を開催しました。東京電力からも地下水バイパスについて説明がありました。その場で、県漁連の野崎会長は、25日の県漁協組合長会までに意見集約をしたいという考えを示しました。福島県漁連というのは、JF福島漁連のHPを見ると、いくつかの構成員のうちで大きいのは相馬双葉漁協と、いわき市漁協の二つのようです。このHPには、福島県沿岸での試験操業の情報がたくさん載っています。

この説明会を受けて、それぞれの漁協で集会を開いて意見集約をしていったわけですが、いわき市漁協では18日に理事会を開催し、受け入れの方針を決めました。一方、相馬双葉漁協では3/14にも東電からの説明会もありましたが、同じ18日の理事会で一部反対が出たため意見集約には至らず、24日に再度協議することになりました。
その後3/24には相馬双葉漁協も受け入れを容認することを決めました。この結果、3/25の県漁連の組合長会議では東電と国に対して5項目の要望書を提出して地下水バイパスを容認することを決めました。この日も当然のごとく東京電力は説明を行っています。

(福島民報 3/26より)
これを受けて、4/4に東京電力は福島県漁業協同組合連合会からの要望書に対する回答を提出しました。5項目のうち4項目しかないのは、最後の5項目目は東京電力ではなく国が対応するべき事だからでしょう。


(4/4 東電HP 要望に対する回答書 より)
これを受けて、福島県漁連は同4日に理事会を開催し、東電の回答を了承して受け入れを正式に決めました。
これにより、1年以上かかって地下水バイパスは実施されることが正式に決定されました。ただし、コウナゴ漁が終わってから放出が始まるということなので、5月以降の実施ということになるようです。
4/7には全漁連の岸会長が「茂木経済産業大臣を訪れ、地下水バイパスに関する要望書を手渡しました。この中では、東京電力以外の第三者による運用の監視や、風評被害が生じた場合、国が責任を持って解決に当たることなどを求め(NHKニュースより)」たということです。
これを受けて、本日8日、東京電力は地下水のくみ上げを9日から始めると発表しました。すでに昨年に地下水は汲み上げられていますが、今回の決定を受けて新たに地下水を汲み上げ、分析を東京電力と第三者機関で行うということのようです。

4/8に発表された資料では、下記のような放出基準を設けて運用するということです。

実際の運用は、9つのタンクを3つのグループに分けて、貯留-分析-排水のサイクルで運用するという予定のようです。

以上が2月の東電の放出基準発表から2ヶ月間の動きです。マスコミの報道だけを見ていると、昨年とは異なり大きな反対もあまりなく、これ以上反対を続けても仕方がない、という感じで要望書を突きつけて容認した、という感じです。苦渋の決断だった、というのもわかります。
ただ、本当に東電が発表している通りに行くのでしょうか。これまで東電の汚染水管理では、想定外のことが数多く起こってきました。まず気になるのが第三者機関とはどこか?ということです。以前おしどりマコさんがこの問題を確認した際は、環境総合テクノスという関西電力のグループ会社であり、本当に中立な第三者機関であるかどうかは疑わしいということがわかっています。今回の第三者機関がどこなのかはわかりませんが、そのあたりも東京電力は明らかにして欲しいと思います。
それから、9つのタンクを3つのグループに分けた運用が本当に成立するのか?という疑問です。この3グループ制は、基本的に運用基準を超える放射性物質は検出されないという前提で作られているものです。もし運用基準を超えた地下水が出てきた場合には、溜めた水はどうするのか?そのあたりの方針がまだ明らかにされていません。うまくいくことを前提にした計画は全て破綻してきたことはこれまでの3年間の歴史が物語っています。
2013年8月のH4エリアタンクからの汚染水漏れや、2012年3月の汚染水漏れなどの汚染水が混ざった地下水が地下水バイパスから汲み上げられて放射性物質濃度が上昇した場合、どう対応するのか、東京電力は事前にその場合の対策を示すことが求められると思います。
とはいえ、関係者の説得に1年以上かかりましたが、地下水バイパスが稼働するようになれば、建屋に流れ込む地下水を1日100トン近く減らすことができるといわれています。今回の地下水バイパス稼働決定により、少しでも汚染水の増加に歯止めがかかることを願っています。
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