5/21に地下水バイパスの地下水を海に放出開始。その影響と情報公開について
前回5/20に「地下水バイパスの地下水は明日(5月21日)初めて海に放出へ」としてお伝えしましたが、東京電力は5/21に地下水バイパスで汲み上げた水561トンを海に放出しました。
沿岸のモニタリング結果が公開されたり、地下水バイパスに関する情報提供のページができましたのでご紹介します。
2014年5/21の午前10時25分から東京電力は地下水バイパスの水を放水する作業に入りました。今回は約561トンの水を2時間ほどかけて(12時42分まで)放出したということです。
まずはどこから海に放出したのか、それを確認しておきましょう。東京電力のHPの中に、「地下水バイパスのとりくみ」というページが5月21日からできました。そこには地下水バイパスに関する基本的な説明が書いてありますが、そこに地下水をどこから汲み上げてどうやって海に流すかというルートを説明した図もあります。

(東京電力HP 「地下水バイパスのとりくみ」 より)
これを見ればわかるように、地下水バイパスというのは、上の図で青い番号のついた12本の揚水井戸から汲み上げた水を陸側にある一時貯留タンクにためておきます。そして貯めた水の水質をチェックし、放射性物質の濃度が前回の「地下水バイパスの地下水は明日(5月21日)初めて海に放出へ」でもご紹介した運用目標値以下であることを確認します。東京電力以外にも第三者機関の測定値を合わせてどちらも運用目標値以下であることを確認してから、今度は薄い緑色の線に沿って海へと放水します。
その海への出口は、いわゆるK排水路(構内排水路)の出口につながっているそうです。

(東京電力HP 2013年12/13 「福島第一原子力発電所構内排水路の状況について」 より)
具体的には、こんな感じで放水されています。

(東京電力HP 写真・動画集 より)
今回、放水するにあたって、福島県は4/25に東京電力に対して要望書を提出しました。その中に下記のように海水や海産物への影響の調査・評価という項目がありました。
(4)地下水の分析結果をはじめ、海水や海産物への影響等についても調査、評価を行い、県民はもとより広く国民に対して丁寧にかつ分かりやすく公表すること。
これに対して、東京電力は5/20の回答書で
「海水への影響につきましては、海水モニタリングを計画に基づき着実に行うとともに、
排水の前後で海水データに有意な変動がないかを確認してまいります。」
としています。
それに基づき、5/21の放出の際には、下のK排水路の出口からは100mほど南にある「C排水路排水口付近」およびそこからさらに南の「南放水口付近(T-2)」で放出前後に水質チェックを行っています。それぞれの地点は、下の図に示してありますのでご覧下さい。

(5/23 東京電力HP 「福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果」 より)
(図をクリックすると拡大できます。)
元々の放出する地下水が決められた運用目標値以下であることを確認したから放出しているので、海水のサンプリングをしても特に影響がないのはある意味当然の結果と言えますが、下の表にあるように、T-2(南放水口から330m南の地点)では特に影響は見られませんでした。

(5/23 「福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果」 より)
(図をクリックすると拡大できます。)
最後に、東京電力のHPの中に新たにできた「地下水バイパスのとりくみ」のページにおける注意点を書いておきます。このページには、「海洋への影響」という項目があり、福島第一原発付近のモニタリング地点での最新の観測結果を表示しています。

(「地下水バイパスのとりくみ」 より (5/21時点での情報です。))
しかしながら、ここで注意していただきたいのは、この中の右下にある南放水口付近という地点です。この図で見ると、南放水口(1-4号機の放水口)から近い場所のデータかと誤解してしまいますが、これは間違いで、実際には上に示したようにはるか1.3kmも南にある地点(T-2-1)のデータを載せているのです。
実際に、地下水バイパスの水を放出しているK排水路の出口(放水地点)と、先ほどもご紹介したT-2の地点と南放水口から1.3km南に離れたT-2-1の位置関係を示した図を下に載せておきます。ここでは省略しましたが、K排水路の出口とT-2(南放水口から330m南の地点)の間に、先ほどご紹介した「C排水路排水口付近」というサンプリングポイントがあります。なお、右側の図は規制庁のHPにあった図に書き加えたものです。

T-2とT-2-1の違いについては昨年8月に「汚染水タンクから最大300トンの漏えい!(4) 測定地点T-2とT-2-1のその後」でも指摘しましたが、T-2-1は1.3kmと非常に離れているにもかかわらず、いかにも近くでサンプリングしているかのように誤解させるような情報公開の仕方を東京電力は平然と行ってきます。こういう事例はおそらく他にも多くあると思いますので、情報を受け取る側がしっかりと知識を持って自衛しないと簡単に間違った認識を植え付けられてしまうということを示しています。
今後は週に一回程度のペースで放水を続ける予定ということです。その結果は、新しくできた「地下水バイパスのとりくみ」に示されるようです。
以上、地下水バイパスの水の第一回目の放水によって海水への影響は特になかったという結果と、地下水バイパスに関連した東京電力の情報公開のあり方についてお伝えしました。
まずはどこから海に放出したのか、それを確認しておきましょう。東京電力のHPの中に、「地下水バイパスのとりくみ」というページが5月21日からできました。そこには地下水バイパスに関する基本的な説明が書いてありますが、そこに地下水をどこから汲み上げてどうやって海に流すかというルートを説明した図もあります。

(東京電力HP 「地下水バイパスのとりくみ」 より)
これを見ればわかるように、地下水バイパスというのは、上の図で青い番号のついた12本の揚水井戸から汲み上げた水を陸側にある一時貯留タンクにためておきます。そして貯めた水の水質をチェックし、放射性物質の濃度が前回の「地下水バイパスの地下水は明日(5月21日)初めて海に放出へ」でもご紹介した運用目標値以下であることを確認します。東京電力以外にも第三者機関の測定値を合わせてどちらも運用目標値以下であることを確認してから、今度は薄い緑色の線に沿って海へと放水します。
その海への出口は、いわゆるK排水路(構内排水路)の出口につながっているそうです。

(東京電力HP 2013年12/13 「福島第一原子力発電所構内排水路の状況について」 より)
具体的には、こんな感じで放水されています。

(東京電力HP 写真・動画集 より)
今回、放水するにあたって、福島県は4/25に東京電力に対して要望書を提出しました。その中に下記のように海水や海産物への影響の調査・評価という項目がありました。
(4)地下水の分析結果をはじめ、海水や海産物への影響等についても調査、評価を行い、県民はもとより広く国民に対して丁寧にかつ分かりやすく公表すること。
これに対して、東京電力は5/20の回答書で
「海水への影響につきましては、海水モニタリングを計画に基づき着実に行うとともに、
排水の前後で海水データに有意な変動がないかを確認してまいります。」
としています。
それに基づき、5/21の放出の際には、下のK排水路の出口からは100mほど南にある「C排水路排水口付近」およびそこからさらに南の「南放水口付近(T-2)」で放出前後に水質チェックを行っています。それぞれの地点は、下の図に示してありますのでご覧下さい。

(5/23 東京電力HP 「福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果」 より)
(図をクリックすると拡大できます。)
元々の放出する地下水が決められた運用目標値以下であることを確認したから放出しているので、海水のサンプリングをしても特に影響がないのはある意味当然の結果と言えますが、下の表にあるように、T-2(南放水口から330m南の地点)では特に影響は見られませんでした。

(5/23 「福島第一原子力発電所 地下水バイパス排水に関するサンプリング結果」 より)
(図をクリックすると拡大できます。)
最後に、東京電力のHPの中に新たにできた「地下水バイパスのとりくみ」のページにおける注意点を書いておきます。このページには、「海洋への影響」という項目があり、福島第一原発付近のモニタリング地点での最新の観測結果を表示しています。

(「地下水バイパスのとりくみ」 より (5/21時点での情報です。))
しかしながら、ここで注意していただきたいのは、この中の右下にある南放水口付近という地点です。この図で見ると、南放水口(1-4号機の放水口)から近い場所のデータかと誤解してしまいますが、これは間違いで、実際には上に示したようにはるか1.3kmも南にある地点(T-2-1)のデータを載せているのです。
実際に、地下水バイパスの水を放出しているK排水路の出口(放水地点)と、先ほどもご紹介したT-2の地点と南放水口から1.3km南に離れたT-2-1の位置関係を示した図を下に載せておきます。ここでは省略しましたが、K排水路の出口とT-2(南放水口から330m南の地点)の間に、先ほどご紹介した「C排水路排水口付近」というサンプリングポイントがあります。なお、右側の図は規制庁のHPにあった図に書き加えたものです。

T-2とT-2-1の違いについては昨年8月に「汚染水タンクから最大300トンの漏えい!(4) 測定地点T-2とT-2-1のその後」でも指摘しましたが、T-2-1は1.3kmと非常に離れているにもかかわらず、いかにも近くでサンプリングしているかのように誤解させるような情報公開の仕方を東京電力は平然と行ってきます。こういう事例はおそらく他にも多くあると思いますので、情報を受け取る側がしっかりと知識を持って自衛しないと簡単に間違った認識を植え付けられてしまうということを示しています。
今後は週に一回程度のペースで放水を続ける予定ということです。その結果は、新しくできた「地下水バイパスのとりくみ」に示されるようです。
以上、地下水バイパスの水の第一回目の放水によって海水への影響は特になかったという結果と、地下水バイパスに関連した東京電力の情報公開のあり方についてお伝えしました。
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