スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

NHKの「40年後の未来へ 福島第一原発の今」もひっかかった「南放水口付近」のワナ

 
NHKオンラインのHPはよく見ているのですが、久し振りにふだんあまり見ないところを見ていたら、「40年後の未来へ 福島第一原発の今」というページがあることに気がつきました。

よく見ると、過去のNHKで紹介した福島第一原発事故関係のニュースが(動画はなく文字だけですが)2011年3月からアーカイブの形で残されており、通常1週間もすると消えてしまうニュースがここにはずっと残されていることのありがたさに気がつきました。

一方で東電が発表した海水モニタリングのデータも記載されており、それを見た瞬間に「ひょっとして?」と思いました。よく調べたら「やっぱりここのサイトも間違っている」ということがわかりました。NHKには知り合いもいないわけではないので、こっそり指摘してあげるという方法もあるのですが、ちゃんと情報を確認していればこんな基本的な間違いをするはずはありません。東電が誤解させやすい情報開示をしていることがそもそもの問題なのですが、NHKがこの程度の不勉強では困ると思い、あえてブログの形で指摘させていただきます。良いサイトなのですから、間違った図は修正し、今後は情報を正しく伝えて欲しいと思います。


1. 「40年後の未来へ 福島第一原発の今」の紹介

40年後の未来へ 福島第一原発の今」というサイトは、いつからできたのかはっきりとした記憶はないのですが、以前も見た記憶がありますので、今年できたようなサイトではないと思います(ご存じの方がいたら教えてください)。

このサイトには、その日のニュースが載っていて、リンクを押すとそれぞれのニュースが表示されます。

0705-1
(NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今 より)

そしてこのサイトの最大の魅力は、過去の情報を日付から探すことが出来る事です。確認したら、2011年3月12日のニュースから残っていました。残念ながらキーワードでの検索はできないようですが、それは仕方ないでしょう。

0705-4
(NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今 より)

NHKオンラインでは、ニュースは1週間経つと消えてしまうため、あまりブログでは引用しないようにしていたのですが、この「http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/」というサイトに残された記事はアーカイブとして残されるようですので、今後はこちらからの引用もしようと思います。

さて、このサイトで画面を下の方にスクロールしていくと、福島第一原発の海水モニタリングのデータが表示されていて、そのデータがどこのデータであるかも下のように地図と合わせて表示されています。ここが問題なのですが、詳細はあとで述べます。

0705-2
0705-3
(NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今 より)

さらに下の方には建屋やALPS、汚染水タンク、井戸といったところにリンクが貼ってあり、それぞれの「NEWS」アイコンをクリックすると関連する最新のニュースタイトルが表示され、リンクを押すとそのニュースに飛べるようになっています。

0705-5
(NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今 より)

一般の方向けに福島第一原発のニュースをまとめたアーカイブとしてはいい作りになっていると思いました。今後も引き続き情報を蓄積していって欲しいと思います。タイトルにあるように40年間続けてくれたら非常によい情報源になると思います。


2. T-2とT-2-1の違い

このセクションのタイトルを見て「T-2」の意味がわかった人はかなり福島第一原発の事を知っている方だと思います。私のブログを定期的に読まれている方はT-2とT-2-1の違いについてはすでにご存じと思いますが、2013年8月に「汚染水タンクからこれまで最大の300トンの漏えい!(2) 汚染水WGでの情報(一部訂正)」と「汚染水タンクから最大300トンの漏えい!(4) 測定地点T-2とT-2-1のその後」で詳しく書いていますからぜひそちらもお読みください。

T-2やT-2-1というのはサンプリングポイントを区別するための記号です。現在は東京電力もT-2とT-2-1の違い及び測定地点の移動についても資料で提示するようになっており、下の資料が一番わかりやすいと思います。T-1というのは「5,6号機放水口北側」で「5,6号機放水口から北側に約30m地点」だそうです。この地点については、2011年3月23日にはじめてサンプリングされてからずっと変更がありません。

0705-6
(4/11 規制庁第13回WG 資料1 23ページより)

一方で、T-2というポイントは「南放水口付近」なのですが、当初は「1~4号機放水口から南側に約330m地点」でした。この地点に関しては、2011年3月21日にサンプリングされてから2012年11月26日に1km南に位置するT-2-1に変更されるまで、ずっとサンプリングがされていました。

その後、2013年8月にH4タンクエリアからの300トンもの汚染水漏れが発覚します。その際に、実はT-2が全β測定も含めていつの間にかT-2-1に移動していたという衝撃の事実が改めてわかったのでした(詳細は「汚染水タンクから最大300トンの漏えい!(4) 測定地点T-2とT-2-1のその後」に)。実は、現在の東電HPにも下記のように記載があるように、T-2では2012年3月と4月のタンクエリアでの汚染水漏れを受けて、セシウムなどのγ核種以外にストロンチウムなどを含む全β核種の測定も毎日行っていたはずだったのです。
0705-7
(東電HP 福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果 より)

ところが東京電力は、2012年11月に、表向きの理由はたしか海底土が採取できないということでしたが、T-2(南放水口から南に330m)での観測をやめてしまい、海水のサンプリングと全βの測定も含めてT-2からT-2-1という南放水口から南に1.3kmの地点に移動してしまったのです。そのため、2013年8月にH4エリアで汚染水漏れが起こった際には、肝心のT-2での全β核種のモニタリングは行われておらず、いつから汚染水が海に流出していたのかをチェックすることができませんでした

T-2-1というポイントはT-2よりもさらに南に1kmも離れています。排水路のすぐそばにあるT-2であれば2013年8月の汚染水漏れは検知できたはず(実際に2012年4月には検知しています)なのに、それを1km南のT-2-1に移動してしまったため、2013年8月のH4エリアからの汚染水漏れはリアルタイムでは検知できませんでした。もちろん、その後はT-2でのサンプリングと測定も復活し、現在も測定が続けられています。


3. 東電の広報の問題点

現在、東電の広報の姿勢に問題があるのは、(おそらく意図的に)T-2とT-2-1の両方に対して「南放水口付近」という言葉を使っていることです。そして、公表しているデータにおいて上で説明したような経緯を解説として加えないため、よくわからない人はあたかもT-2において2011年からずっとサンプリングと測定が行われているかのように思ってしまいます。

東電のHPも情報公開が少しずつよくなってきており、一部のデータをCSVで提供してくれるようになりました。しかしながらそのCSVを見ると、タイトル行には「②1F南放水口付近」という記載しかなく、T-2のデータが2012年11月25日までであることはデータの詳細を見ると書いてあるのですが、これではわかりやすいとは言えません。やはり標題の部分に注をつけるなどの配慮が必要だと思います。

そして、毎日のように発表されるデータの中でも、沿岸海水の情報として「南放水口付近」というものがあります。これは下の図では右下にあるようにニョロニョロ(途中に切れ目があることを示すマーク)があるため、どれだけ離れているかわかりません。ですが、ここに記載されているデータを見ると明らかにこれはT-2-1(1.3km南)を示しています。

0705-8
(東電HP 福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(海水サンプリング箇所) より)

つまり、東京電力はいまだに「南放水口付近」という用語で主に南放水口から1.3km南のT-2-1の事を示しながら、いかにも南放水口から330m南のT-2のデータを示しているように誤解させることを平然と行っているのです。一番ひどい例が最近できた「地下水バイパスの取り組み」のページです。下の図を見ると、ほとんどの人はこの地点はT-2(330m南)どころか南放水口のすぐ近く(例えばT-1のように30m南とか)にあるサンプリング地点のデータだと誤解すると思います。しかし、実際に表示されているデータはT-2-1(1.3km南)のデータです。

0705-9
(東電HP 地下水バイパスの取り組み より)


4. NHKのサイトのミス

ここまで書けば、NHKのサイトでどんな間違いがあるのかおわかりだと思います。先ほど引用した図で、「南放水口付近」と書いたデータについて、東電が発表しているT-2-1(1.3km南)のデータをそのまま転記し、それを地図上でT-2(330m南)のデータであると示していることです。2011年当時ならばこの表現でも正しいのですが、現時点のデータとしては明らかに間違いです。

0705-2
0705-3
(NHK 40年後の未来へ 福島第一原発の今 より)

「南放水口付近」という場所を地図上で示さなければ特に間違いではないのですが、排水路の近くにある地点、すなわちT-2を示してしまった時点で2014年現在の情報としては明らかな誤りです。東電のHPは非常にわかりにくいという問題点があることはすでに指摘しましたが、東電のHPではあくまでもニョロニョロ(途中切れていることを示す記号)を使っているだけで「南放水口付近」=T-2であると明示するような書き方はしていませんので、このような安直な結びつけをしてしまったのはNHKの責任です。

正確に言うと、2012年11月25日までのデータについてはこのままで正しいのですが、2012年11月26日以降については図を書き換えないといけません。また、このサイトではグラフも海水中のセシウムの濃度変化がわかるようなグラフもあるのですが、それについても2012年11月26日以降はサンプリングポイントが移動したと注釈をつけないといけません。

このサイトがいつからあったのかにもよりますが、もし仮に2012年頃からオープンしていたとしたら、1年以上もサンプリング地点の変更に気がつかないというのは問題だと思います。2013年以降にできたのであれば、明らかに情報収集不足です。引っかかる方が悪いのか、引っかける方が悪いのか、なんとも言えないところですが、NHKには図の修正をお願いしたいと思います。

1.3kmも離れていると、一つの図の中に収めるのは難しいのは私もよくわかります。正確な距離感を示す必要はなく、かなり遠いということがわかれば良いと思いますので、例えばこんな風に(下図)表現する感じでしょうか。一番良いのは、表示するデータの日付によって、図を変更することでしょうが、それは技術的には難しいのでしょうね。

0705-2
0705-10

今回はNHKのひっかかった「南放水口付近」を取り上げましたが、東電の広報には他にもおそらく同様の非常にわかりにくい点があると思います。ぜひマスコミ各社はそういうところを指摘して、東京電力にはわかりやすい情報開示をさせるとともに、自らも正しい情報を開示していって欲しいと思います。間違いが修正されたあとの「40年後の未来へ 福島第一原発の今」には期待しています。


 
関連記事
にほんブログ村 科学ブログへ ブログランキング・にほんブログ村へ
↑日本ブログ村ランキングに参加しました。よかったらクリックお願いします。

コメント

プロフィール

TSOKDBA

Author:TSOKDBA
twitterは@tsokdbaです。
3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

FC2カウンター
ブログランキング
にほんブログ村 科学ブログへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
↑日本ブログ村ランキングに参加しました。よかったらクリックお願いします。
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ふくしまの恵み(全量全袋検査の結果)

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム
カテゴリ
RSSリンクの表示
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
こちらにもぜひご記入を!
読んだ感想を是非お聞かせください。
無料アクセス解析
おすすめのリンク
QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。