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サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?

 
8/7の東京電力の記者会見において、サブドレンおよび浄化設備の設置を含めた実施計画の変更が規制委員会から認可された事が報告されました。ただし、今回8/7に認可された計画はサブドレンで汲み上げた地下水を浄化設備で浄化してタンクにためるところまでです。その後の浄化した水の処理については今回の認可された計画には入っていません。

しかしながら、当然のこととして気になるのが浄化後の水をどうするのか?ということです。震災前は1日850トンを汲み上げていたのですから、今後どれだけのペースで汲み上げるかわかりませんが、サンプルタンクが8000トンしかありませんので、貯めておくには多すぎる量です。では浄化後に海に流すのか?

東電は、8/7には相馬双葉漁協に、8/8にはいわき市漁協に対して説明をしたということですので、その反応がどうだったのか、そして今後の東電の方針は、といったところを(来週にならないとわからないところもありますが)まとめます。

8/11追記:予想通り東電は本日移送設備の建設を規制委員会に申請しました。
「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について
海洋汚染をより確実に防止するための取り組み

また、下記の資料はこの記事で書いた内容とほぼ同じものです。
福島第一原子力発電所サブドレン他水処理施設の浄化性能確認試験の開始について
(8/11追記ここまで)

(8/13追記)
この続編を書きましたのでぜひそちらもお読みください。
東電はサブドレン浄化後の地下水を港湾内に排出する方針を明言!漁協はどう対応するか?
(8/13追記ここまで)
1. サブドレンに関するこれまでの経緯

まず、サブドレンとは、ということについては、2012年に書いたものですが「福島原発の汚染水をよく知るため、O.P.とサブドレンを理解しましょう」をご覧下さい。そもそものサブドレンの役割が何であったのか、ということは読んでいただければわかると思います。原発事故でサブドレンが停止するまでは毎日約850トンの水をサブドレンから汲み上げていたということです。

原発事故により使えなくなってしまったサブドレンがあるため、その復旧に向けて東京電力は2011年から準備をしてきました。そしてサブドレンの水が放射性物質で汚染されていましたのでその浄化試験も行ってきました。しかしなかなか浄化できませんでした。というのはサブドレンの周りの地下水が汚染されていたからです。しかし2012年には、東京電力は公式には地下水が汚染されていて汚染水が地下水を通じて海に流出しているということを認めていませんでしたので、あくまでフォールアウトで井戸の中に放射性物質が流れ込んだなどという説明をしていました。そのあたりの経緯は2013年1月に書いた「放射能汚染水情報アップデート(3) サブドレン浄化試験の行方は?」をご覧下さい。ちなみに、2012年時点での東京電力の説明としては、このようになっていました。

建屋への地下水の流入に対する抜本的な対策として、サブドレンを復旧すべく現在作業中であるが、特に原子炉建屋周りは放射線量が高く、難易度が高い
        ↓
サブドレンを補助するものとして、地下水パイパスを提案


つまり、地下水バイパスというのはあくまでも補助的であり、(陸側遮水壁の計画がなかった2012年では)サブドレンが本命であったということなのです。ところが実際には、サブドレンの準備は地下水バイパスよりも大きく遅れました。線量が高くて作業しにくかったという理由はあるのでしょうが、この事は事実として認識しておく必要があります。そして2012年後半以降、サブドレンに関する情報はほとんど出てこなくなりました。

その後2013年になって汚染水をめぐる状況が急展開します。陸側遮水壁(凍土壁)の計画が発表されて、汚染水処理対策委員会が全体的な汚染水処理の方針を出した中でやっとまたサブドレンに関する情報が復活します。そしてそこからは、復旧できなかったサブドレンの代わりになる新しいサブドレンの設置を行い、汲み上げたあとの浄化設備を設置することで今年の秋の稼働を目指して東京電力は準備してきました。

今回はまとまった計画を原子力規制委員会に特定原子力施設の実施計画変更として申請し、それを8/7に規制委員会から認可されたということになります。


2. 新たなサブドレンと浄化設備の計画の概要

サブドレンおよび浄化設備の設置計画が認可されましたが、8/7に変更が認可された実施計画の2.35 サブドレン他水処理施設をみてもわかりにくいところがあるので、7/14に行われた第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議での資料2も用いて説明します。

今回の認可を受けて東電がまず行いたいことは、実際のサブドレン他水処理施設の浄化性能を実機で確認するということです。7/14の資料にはその目的が明記してあります。

0809-1
(7/14 第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議 資料2 26ページより)

下の図を見ると、サブドレンに関する設備は大きくわけて3つあることがわかります。すなわち、「サブドレン集水設備」と、「サブドレン他浄化設備」と、「サブドレン他移送設備」の3つです(ただしサブドレン他移送設備は今回の認可に入っていません)。なぜ最初はサブドレンの集水設備なのに、二つ目以降は「サブドレン他」なのか、ということについてはあとでふれます。

まずはサブドレン集水設備のところを見て欲しいのですが、サブドレンピットで汲み上げた地下水は中継タンクで一度集められます。中継タンク(12トン)は5つあり、それぞれの系統のサブドレンピットで集められた地下水がポンプで集水タンク(1235トン)に移送されます。そこからサブドレン他浄化設備に移送することになります。

0809-2
(7/14 第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議 資料2 28ページより)

上の図の系統図を見ていると近いように思えますが、実際の1F内の地図で見ると、下のようにサブドレン他浄化設備というのは敷地内でもかなり西側の地下貯水槽があるあたりに設置されています。これはアウターライズ地震があってもタンクがやられることがないようにO.P.35mのところに設置したということです。ただ、すでに汚染水タンクがたくさんありますので、近く(東側)にはもう場所がなかったのでしょうね。なお、この図にはありませんが、「サブドレン他移送設備」はサブドレン他浄化設備のすぐ東側に設置されています。

0809-3
(8/7 実施計画別紙2.35 サブドレン他水処理施設 19ページより)

再びサブドレン集水設備の説明に戻りますが、サブドレンピットは全部で42箇所に設置されています。その中で、これまであったピットは27箇所で、あらたに設置したサブドレンピットは15箇所になります。下の図で番号にNがついているのが新設のピットになります。

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(8/7 実施計画別紙2.35 サブドレン他水処理施設 110ページより)

先ほど説明した中継タンクというのが下の図でオレンジので示されています。そこで集めた水を1号機スクリーンの北側に設置した集水タンク(1235トン)に集めます。集水タンクは3つあるので、最大でも約3700トンしかここには貯められません。もしこの先の浄化設備が故障したら、3700トンを超える分はサブドレンの稼働を止めるしかありません。

0809-4
(7/14 第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議 資料2 27ページより)

今回、認可が下りましたので、上の図のピンクの14のサブドレンピットを用いて地下水を汲み上げ、浄化試験を行うようです。この中には下の表にあるようにH-3が96,000Bq/LあったNo.1やCs-137が2100Bq/LあったNo.8のサブドレンピットも入っていますので、浄化試験を行うにはちょうど良いと思います。(それぞれのピットの場所は一つ上の図を見てください。)

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(8/7 実施計画別紙2.35 サブドレン他水処理施設 110ページより)

集水タンクからタンクエリアにあるサブドレン他浄化設備に移送された水は、4つの前処理フィルタ及び5つの吸着塔を通して浄化することになっています。この浄化設備は2系統あり、今後の試験で用いる予定なのはB系統です。そして浄化設備を通した水は、8つあるサンプルタンクのうち一つ(1235トン)に溜められて、水質をチェックされる予定になっています。

0809-2
(7/14 第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議 資料2 28ページより)

なお、どのようなフィルターなのか、詳細は規制庁の面談記録にあった資料から判断するしかありません。ここではCs・Sr同時吸着剤という日立が開発した素材を用いているようです(リンク先の内容と図が同じだったのでそう判断しました)。

0809-15
(5/12 規制庁面談記録 8ページより)


下の図のスケジュールを見ると、7/14の時点よりも若干認可が遅れているので、「使用前検査」、「サブドレンピットからの汲み上げ開始」と「浄化性能確認試験」というのは8/7の実施計画認可以降になります。つまり3-4週間近くこの予定からは遅れていると考えて良いと思います。

なお、浄化試験はどのようなことをするのか、ということは認可された実施計画に記載がありました。それによると、1日1200トン(1時間50トン)以上通水し、その条件で浄化後にCs-134,Cs-137 及び Sr-90の値が告示濃度の1/10にまで低減することが義務づけられています。
0809-16
(8/7 実施計画別紙2.35 サブドレン他水処理施設 113ページより)

浄化試験を行ったあとに水質の分析を地下水バイパスの時のように東電及び第三者によって行うでしょうから、9月になってその水質試験結果がどう出るかで、その後の福島県や漁協への説明の仕方と彼らの反応が異なってくると思います。

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(7/14 第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議 資料2 29ページより)

最後に、全体スケジュールというのも確認しておきましょう。この表をよくみると、「地下水ドレン」という用語がでてきます。これは何かというと、海側遮水壁においてせき止めた地下水(これは建屋やトレンチから漏れ出した汚染水を含んでいます)を汲み上げるためのものです。

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(7/14 第11回廃炉・汚染水対策現地調整会議 資料2 30ページより)

言葉で説明してもわかりにくいと思うので、地下水ドレンのイメージを書いた断面図を下に示します。この図を見れば、サブドレンとの関係もわかると思います。

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(6/6 第23回監視評価検討会資料2 3ページより)

地下水ドレンで汲み上げた地下水も、この「サブドレン他浄化設備」において浄化する計画なのです。そのために、「サブドレン他」と「他」が入っているのです。

ということは、サブドレン他浄化設備を通したあとの水というのは、今回行う予定の試験ではサブドレンだけですが、地下水ドレンが完成したら、そちらの水も合わせて浄化したものということになります。私の印象としては、サブドレンの地下水よりも地下水ドレンの地下水の方がはるかに汚染されています。というのは、護岸付近には3年前のトレンチから流出した高濃度汚染水などがまだ残っている可能性もあり、サブドレンの水が仮に浄化できたとしても、地下水ドレンの水を浄化できるという保証はないのです。

今回認可された計画には、先ほど示した「サブドレン他移送設備」というものは入っていません。ですから、こちらについてはこれから東京電力が規制委員会に申請して、規制委員会が認可するというステップを踏む必要があります。今回はあくまで浄化設備を作って浄化後の水がどれだけきれいになるのか、ということを確認することが目的になります。


3. 今後予想されること

7日と8日の漁協への説明では、海へ流すことについては反対が多かったようです。しかしながら、8/9のNHKオンラインでは、7日と8日の漁協への説明の結果、

「東京電力は8日までに地元の漁業関係者に説明した結果、設備の建設自体については異論が出なかったとして、護岸沿いで汚染された地下水をくみ上げる設備や、浄化した地下水を海に流す排水管について、週明けの今月11日にも、原子力規制委員会に建設を申請する方針です。
今回の計画では、原発の建屋の周囲にある「サブドレン」と呼ばれる井戸からくみ上げた地下水も浄化して排水するとしていて、規制委員会から性能や安全性に問題がないと認められれば設備の建設は可能になります。
東京電力は、実際に海に排水するかどうかは地元と協議して決めるとしていますが、漁業関係者への説明会では風評被害を懸念する声や批判の声が相次いでいて、建設を先行させることに反発も予想されます。」(NHKオンラインより)

という記載がありました。

つまり、8日までの漁協への説明において海に流すことについては反対があったが、設備を建設する事に関しては異論が出なかったという理屈で、これまで説明してきた、「サブドレン他移送設備」についての実施計画申請を11日にも行うということがNHKの報道にでています。

規制委員会は安全面での審査を行うだけですから、今回もサブドレンの浄化設備が8/5の申請で8/7の2日後に認可されていることを見ると、申請すれば認可自体はすぐになされる可能性が高いと思います。ただ、設備を作って実際の運用開始をするまでには、地下水バイパスの時と同様に関係者の理解を得るのにかなりの時間がかかる可能性があります。

一方で、地下水バイパスにおいて多少の放射性物質があっても海に放出することをすでに認めていますので、前回とは異なり心理的なハードルは低くなっている可能性もあります。地下水バイパスを最初に時間をかけて関係者の説得に当たったのは、ひょっとするとその後のこのサブドレンや地下水ドレン、そしていずれはALPS処理水の海への放出を行うための準備だった可能性もあるのです。

今後の展開を占うためのポイントとしては、一つにはトリチウムがどれくらいの濃度になるかです。No.1のように告示濃度の60,000Bq/Lを超えているサブドレンピットもありますが、地下水バイパスと同様に他のサブドレンからの地下水と混ぜてしまったら告示濃度を超えることはまずありません。

今回の認可された実施計画においては、トリチウムを除いて告示濃度の1/10の濃度以下にする事が定められています。Cs-134は6Bq/L、Cs-137は9Bq/L、Sr-90は3Bq/Lです。トリチウムは実施計画に特に記載がないため、今後新たに東電が福島県や漁協と話し合ってルールを決めない限り告示濃度の60,000Bq/L以下ということになります。
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(8/7 実施計画別紙2.35 サブドレン他水処理施設 1ページより)

実は、トリチウムは原発事故前の各地の原発では毎年数兆から数十兆ベクレルを放出していました。福島第一原発でも2009年(平成21年度)で1年間に2兆Bq(ベクレル)も放出しています。ちなみに福島第一原発ではトリチウムの年間放出限度は保安規定上は年間22兆Bqでした。

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平成23年度原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について 42ページより)

トリチウムについては、これまでも原発の通常運転によって大量に海に放出されてきたという事実も考えながら、どうするのかを考えていかないといけないと思います。

もう一つのポイントは、トリチウム以外の核種がどこまで除去できるかです。認可された計画では告示濃度の1/10以下としていても、おそらく実際にはCs-137や全βについては地下水バイパスと同等の濃度であることが要求される気がします。また、今回の浄化設備がどのような性能のものかわかりませんが、過去の浄化試験のデータでは完全には浄化しきれなかったので、浄化装置の性能も気になるところです。

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(2013年8月 東電資料 31-32ページより)

今回は書きませんでしたが、サブドレンや地下水ドレンで汲み上げた水については、タンク増設計画及びタンク容量の見積もりの中に入っていないそうです。ということは、東電は基本的には関係者の了解を得て海(8/7の記者会見では港湾内といっていましたが港湾内の海水は毎日40%程度入れ替わりますので港湾内に流したら海に出すのと実質的には大きな違いはありません)に流すことを考えていると思います。

浄化後のサンプルタンクが1235トン(実質的には1000トンでしょう)が8個で8000トンしか貯められませんから、震災前のサブドレンの実績や、今後はいずれ護岸付近の地下水ドレンからの汲み上げも始まることを考えると、8000トンというのは1週間でいっぱいになる容量と思います。タンクをつくってどんどんためる計画がないということは、記者会見でも言及があったように港湾内に流すということが前提であると考えておくべきと思います。


この件については、来週にもすぐに動きがあるかもしれませんので、その場合には追記するか続編を書こうと思います。
今後もこのブログではサブドレン関連の話題はフォローしていきますので、ぜひまたのぞきに来て下さい。

 
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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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