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東電はサブドレン浄化後の地下水を港湾内に排出する方針を明言!漁協はどう対応するか?

 
8/10に「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」を書きましたが、さっそく動きがありました。8/11に東京電力は「サブドレン等移送設備」の建設を原子力規制委員会に申請しました。

前回の「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」に書いた内容の若干の修正を含めて8/11の東電記者会見の情報を中心にまとめます。前回の記事とぜひ合わせてお読みください。


1. 8/11に追加で規制庁に申請された内容

8/11の記者会見においては、「福島第一原子力発電所サブドレン他水処理施設の浄化性能確認試験の開始について」という資料も配付されました。この資料については、「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」でご紹介した内容とほとんど変わりません。スケジュールについては8/11の資料の方が最新の情報になっていますので、興味のある方はご確認下さい。

一つだけ、浄化装置の除染性能については完全に情報が抜けていたので追加します。下の表において、除染係数というのは、例えばCs-137が10の4乗以上というのは、1/10000以下に濃度が下がるということを意味します。Sr-90は10の3乗なので1/1000以下に濃度が下がるということですね。

0812-1
(8/11 福島第一原子力発電所サブドレン他水処理施設の浄化性能確認試験の開始について 9ページより)

もう一つ配布された資料「海洋汚染をより確実に防止するための取り組み」が今回の重要な資料なのですが、こちらにはわかりやすい図が多く使われていますのでそれを主に説明していきたいと思います。

まず、8/11に申請されたのがこの下の図で薄緑の部分です。地下水ドレンの設備と、浄化後の水をサンプルタンクから物揚場付近の港湾内に排出するための装置に関してが今回の申請になります。8/7に認可されたのは、「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」では2日で認可されたと書いてしまいましたが、実はこの図の左上に記載があるように何回かに分けて補正申請がされていたのですね。訂正します。

0812-2
(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 10ページより)

この次の図は前回の記事の繰り返しになりますが、サブドレンと地下水ドレンの場所を断面図で示したものです。地下水ドレンは海側遮水壁のすぐ近くにあります。

0812-3
(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 3ページより)

サブドレンで汲み上げた水も地下水ドレンから汲み上げた水も1号スクリーンの北にある集水タンク(約1000トン×3)に集められます。そして移送ポンプでタンクエリアのO.P.40mのところにある浄化設備まで移送されて浄化されることになっています。

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(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 5ページより)

地下水ドレンがどこにあるのかということは今回の実施計画で正確な場所が明らかになりました。下の図で赤い丸が地下水ドレンを汲み上げる場所で、そこからポンプを用いて3箇所の黄色い四角の中継ポンプに送られます。そしてそこからさらに集水タンクに送られるということが今回わかりました。下の図は小さいのでクリックすると拡大できます。

0812-11
(8/11 実施計画申請 33ページより)(図をクリックで拡大)

そして、先ほども記載しましたが、Sr-90やCs-137については1/1000あるいは1/10000にまで濃度を低減できる性能を持っているはずの浄化設備(日立)を用いて浄化する予定です。

これについては、8/12に報道があったように、8/12からサブドレンの水を試験的に約500トン汲み上げて、8/20頃から浄化設備に通してその後水質測定を行う予定だそうです。8/13の報道によると、8/12にはサブドレン14本から10トンの水をくみあげたということです。

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(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 4ページより)

浄化設備を通したあとの水をどうするのかが一番の注目であることは「サブドレンと浄化設備の計画が認可。浄化したあとの処理は?」でも書きましたが、今回の実施計画申請において、港湾内のしかも物揚場付近であることが明確にされました。この場所であればおそらくこれまで利用している物揚場前のサンプリング地点でどれだけ港湾内の放射性物質濃度が変化したかをモニタリングできると思います。

0812-8
(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 11ページより)


さて、ここまでが東電が実施計画申請に盛り込んだ内容ですが、今回は港湾内への排出設備までの建設は行うが、実際に港湾内に流すかどうかは福島県や漁協に説明して了解を得てからにする、というのが東電の説明です。おそらくは8/20以降に行う予定の浄化試験のあとでサンプリングし、その結果が出たら福島県や漁協に説明を行うのでしょう。

ただ、1回の説明ですんなりと受け入れられるかどうかはわかりません。さすがに地下水バイパスのように1年以上かかることはないと思いますが、今回の汚染された地下水を浄化(といってもとりきれない放射性物質はトリチウムなどいくつかあるはずです)した後で海(港湾内もれっきとした海です)に流すことが認められれば、いずれはALPSで処理した水も希釈して海に流すことになるでしょう。そのため、そこを理解している人はかなり抵抗すると思います。

実際、8/13の報道では、いわき市漁協の組合長は、

『「設備の設置申請について説明は受けたが、くみ上げの話は聞いていない。あまりにも進め方が早い」と反発。「地下水と汚染水は違う。団結して今回の計画には反対していく」との考えを示した。』(河北新報より)

と東電のやり方に反発しています。


2. サブドレンの位置づけと補足資料

その他、8/11の資料から参考になる図をいくつか説明します。

前回も少し書きましたが、サブドレンの汲み上げというのは海洋汚染を防止するための3つの抜本的な対策の一つと位置づけられています。2013年に汚染水処理対策委員会から陸側遮水壁を建設すべき、という提案を押しつけられる前は、東京電力は陸側遮水壁を作る予定はありませんでした。というのも建設費が膨大にかかるからです。技術的に難しい研究開発ならば国が費用を出すことができることになったために東電も受け入れましたが、それまでは海側遮水壁とサブドレンで十分に対応できるとしていました。

つまり、サブドレンは建屋に地下水を入れないための方策としてはかなり効果があるはずなのです。震災前には日量850トンを汲み上げていた(リンク先21ページ)ということで、建屋の基礎部分あたりまで地下水水位を下げていた実績があります。

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(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 1ページより)

では、サブドレンからの地下水汲み上げによってどれだけ建屋付近の地下水位が下がるのでしょうか?おそらくフルに稼働させれば震災前のように建屋の基礎部分にまで下げることは可能なはずです。しかしそうしてしまうと、建屋の地下水の方が水位が高くなり、建屋から高濃度汚染水が流出してしまうため、建屋の地下水よりも高い水位を保ちつつ水位を下げるというコントロールをしていく必要があります。

この下の図では、日量200トンの地下水流入を減らせる可能性があるとありますが、数字の信憑性はともあれ、地下水バイパスよりははるかに効果があることは間違いありません。私はサブドレンについては2年近く前から早く復旧させるべきと考えていましたし、このブログでもそういうことを書いてきましたので、期待しています。

0812-7
(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 8ページより)


さて、今後東電は地元の漁協や福島県に説明していく予定なのですが、その時の資料にも使いそうな資料としてとんでもない資料を作ってきました。2013年8月までは、多くの人の指摘があっても絶対に汚染水が地下水を通じて海に流出していることを認めなかったのですが、今は逆に汚染水が流出していることを宣伝するような資料を作ってきました。

そして、サブドレンや地下水ドレンの汲み上げを行ってその浄化水を海(港湾内)に放出することを認めない限り、現状の汚染水の海への放出は続くよ、それよりも汲み上げた水の海への放出を認めてしまって海側遮水壁を閉じさせてね(計画では汚染水の流出がほとんど止まるはず)、という話の持っていき方をするつもりなのです。

0812-4
(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 2ページより)

そして同じく漁協への説明で使用すると思われる資料です。単なるグラフだけで具体的な数値を示してありません。@jaikomanさんの8/11の記者会見の書きおこしを見ると、時事通信の記者との質疑でこのグラフに記載してある数値について少し細かく触れていますので下記に解説します。

0812-10
(8/11 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み 7ページより)

去年の数値というのは、昨年8月の第3回汚染水WGにおいて示した資料で、過去の1-4号北側のSrやCsのデータから計算をして出したものです。

0812-13
(2013年8月 第3回汚染水WG 60ページより)

Sr-90: 170(Bq/日)×160,000(m3)×1000(L/m3)×0.5(海水交換率/日)=13,600,000,000(Bq/日)=136億Bq/日
Cs-137: 280(Bq/日)×160,000(m3)×1000(L/m3)×0.5(海水交換率/日)=22,400,000,000(Bq/日)=224億Bq/日

0812-14
(2013年8月 第3回汚染水WG 61ページより)

同様にH-3については、2013年8月2日の第1回汚染水WGの資料から計算できます。
H-3: 300(Bq/日)×160,000(m3)×1000(L/m3)×0.5(海水交換率/日)=24,000,000,000(Bq/日)=240億Bq/日

これについては記者会見での説明と数値も一致していますので間違いないでしょう。

一方、今年の数値は、東電HPにあるCSVデータに掲載されている2013年8月から2014年5月までの「1~4号機取水口内北側海水(東波除堤北側)」の平均値のデータを元に計算しているようです。それによると、
Sr-90: 59(Bq/日)×160,000(m3)×1000(L/m3)×0.5(海水交換率/日)=47.2億Bq/日(全βの半分として計算)(東電のグラフでは40億Bq/日
Cs-137: 23(Bq/日)×160,000(m3)×1000(L/m3)×0.5(海水交換率/日)=18.4億Bq/日(東電のグラフでは20億Bq/日
H-3: 190(Bq/日)×160,000(m3)×1000(L/m3)×0.5(海水交換率/日)=152億Bq/日(※NDの時は検出限界値として計算)(東電のグラフでは150億Bq/日

になります。

そして、東電の試算では、今後もし海側遮水壁を閉じることができたら、Sr-90は1/40で1億Bq/日、Cs-137は1/40で0.5億Bq/日、H-3は1/15で10億Bq/日という予定になっています。遮水壁を閉じたとしてもある程度は汚染した地下水が透過するはずなので、その透過する分と浄化後の水に含まれる放射性物質の和という形で計算しているようですが、これについては遮水壁をどれくらい透過していると計算しているのかが見当つきません。ぜひ詳細な計算根拠を出して欲しいと思います。

本当は透過量がわかれば東電が浄化後の水がどれくらい汚染されていると予想しているかが計算できると思ったのですが、残念ながら今日の段階ではそれはできませんでした。

なお、H-3の排出については、8/11の記者会見においては、地下水バイパスと同じで告示濃度に対する比の和が0.22以下にするということで、H-3は1500Bq/Lを運用基準とするということが表明されました。これも前回の記事からの訂正になります。ただし、ここではCs-134、Cs-137、Sr-90、H-3だけを対象にしているので、それ以外の核種に関しては何の記載もありません。

0812-15
(8/11 実施計画申請 4ページより)


このように、8/11の記者会見で示された情報にはまだ不十分なところが多く、これからの東電の情報開示、特に浄化試験での結果と福島県や漁協への説明の仕方については要注目と思います。

このブログでも今後この話題は当然のことながらフォローしていく予定です。ぜひまたのぞきに来て下さい。

 
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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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