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福島県で平成26年産米の全袋検査始まる!今年のポイントは?

 
すでに毎朝のツイートではお伝えしていますが、今年も福島県での玄米の放射性物質(セシウム)に対する全袋検査が始まりました。その結果はふくしまの恵み安全対策協議会のHPに掲載され、毎朝更新されています。

全量全袋検査も今年で3年目になります。初めて福島県の全袋検査について知った人のために、2011年から今までの流れと今年のポイントを解説します。


1. 昨年までの福島県における米の放射性物質調査

このブログでは、福島第一原発事故後のお米に含まれる放射性物質について2011年(平成23年)からずっとウオッチしてきました。詳細はそれぞれの記事を読んでいただくとして(ただし古いものでは3年経過しているためリンク切れが多くなっています)、これまでの流れを私が過去にまとめてきた記事に沿って整理してみます。

2011年(平成23年)
2011年は、多くの都道府県でお米の放射性物質の検査が行われました。原発事故後初めてだったこともあり、このブログではいったい玄米にどれだけの放射性物質が移行するのか非常に興味を持って情報収集を行いました。

・関連する私のブログは下記の記事です。
今年のコメの放射能検査の最新状況のまとめ(随時更新用)」:各都道府県での米の放射性物質の調査結果のまとめ
10/23 お米の放射能データのまとめ(2) 福島県のセシウムの平均値は?」:2011年10月時点での福島県の米の放射性物質の調査結果のまとめ

2011年10月の時点では、予備調査及び本調査というサンプリング調査によって、福島県においても暫定基準値(500Bq/kg)を超えるセシウムが含まれる玄米はなかったという結果が出ていて、福島県知事が一度は安全宣言を出しました。

ところが、11月になって事態は大きく動きます。11/16に福島市旧小国村でとれた米から暫定基準値を超える630Bq/kgのセシウムが検出されました。それを受けて福島県が緊急調査を行いました

・関連する私のブログは下記の記事です。
11/17 福島市の大波地区の玄米から630Bq/kgのセシウム検出!」:福島市旧小国村でとれた米を自主的に検査したところ暫定基準値を超えるセシウムが検出。

調査をすすめた結果、福島市旧小国村以外でも何ヶ所かで暫定基準値を超える米があることがわかり、福島県は結局23,247戸の農家の玄米を調査しました。地区によっては各戸から1袋、あるいは全袋の調査を行っています。

・2011年の年末にまとめた記事にそのあたりの経緯が書いてあります。
12/30 二本松市旧小浜町のコメ500Bq/kg(予備調査)の調査結果報告」:二本松市の米がなぜ暫定基準値を超えたのかということに関する調査結果報告について
12/31 福島県の緊急調査の途中経過とその後の情報のまとめ」:緊急調査の経緯が時系列を追ってまとめてあります。

2012年2月に結果がまとめられましたが、97.5%の農家からは100Bq/kg以下のセシウムしか検出されませんでした。
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しかし、実際には暫定基準値超えの玄米があったのに、本調査では全く暫定基準値を超える米は検出されなかったということから、今のサンプリング調査では不十分であり、安心して福島県の米を買ってもらうことはできないのではないか、という議論が高まりました。

全ての米を検査した方が安心できるという議論がある一方で、ゲルマニウム検出器で全ての玄米を正確に測定するのは機械の測定スピード及び台数面からも人手の面からも不可能だという現実がありました(緊急調査では約30,000検体の測定に1ヶ月半近くかかった)。そこでそれを可能にするための方策として、30kgの玄米袋をわずか10秒前後で測定するスクリーニング用の測定機器が開発されたのです。そして、当然のことながら測定に必要な機械と人件費をカバーするための予算がつきました。


2012年(平成24年)
2011年の暫定基準値超えと、2012年からの新基準値の設定(セシウムの場合100Bq/kg)を受けて、新たに2012年の作付制限区域が設定されました。2011年に500Bq/kg以上のセシウムが検出された地域は作付制限区域となりました。詳細は下記をお読みいただきたいのですが、全量全袋検査を行った結果新基準値以下のものについては出荷してもよいという制限のついた区域も設定されました。

・関連する私のブログは下記の記事です。
農水省の「24年産稲の作付制限区域の設定等について」の発表について」:2012年の作付制限区域の設定に関する説明

福島県は全量全袋検査を行う、という発表をしたわけですが、2012年3月当時はまだ島津製作所が「FOOD'S EYE」を発表しただけでしたので、本当にそんな高速にスクリーニング検査ができるのだろうか?という疑問もありました。

しかし、8月下旬に早場米の収穫が始まる頃までには検査態勢が整い、全量全袋検査がスタートしたのでした。この時に初めてふくしまの恵み安全対策協議会のHPが開設されました。


当時はまだ米だけでしたが、今では野菜やくだものの測定結果も充実してきています。

・関連する私のブログは下記の記事です。
福島の早場米の収穫始まる! 検査方法と結果の周知方法は?」:全量全袋検査の公表サイトである「恵み」HPと測定機器の解説

今でこそ、このふくしまの恵み安全対策協議会のHPや福島県の水田畑作課のHPにも全袋検査に関する情報が充実してきていますが、2012年当時はまだまだ体制が整っておらず、どのような検査を行っているのかをわかりやすく説明していたサイトはありませんでした。ですから、当時私が書いた下記の一連の記事は多くの人の理解の助けになったと思います。

・関連する私のブログは下記の記事です。
福島県のお米の放射能検査方法と公表方法の解説」:検査方法の流れと公表方法についての解説。
お米の放射能の測定装置でスクリーニングレベルって何?」:スクリーニング検査の検査基準で設定されているスクリーニングレベルについての説明
福島県の米の放射能 検査方法と結果はこう理解すればいい!」:どうして10秒で測定してもちゃんと測定できるのか、その原理の説明あり

2012年はまだ福島県以外のお米の放射性物質についての情報もチェックしました。実際、宮城県栗原市では自家消費米ではありましたが、基準値(100Bq/kg)超えの例が2013年1月になって判明したということもありました。

・関連する私のブログは下記の記事です。
24年度版 お米の放射線検査情報一覧」:各都道府県におけるお米の放射性物質の検査
「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPで公開されている最新情報」:福島県の全量全袋検査のまとめ

全量全袋検査の結果、約1000万袋の玄米の放射性物質を検査して、基準値超えの玄米はわずか71袋であったことが判明しました。
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2013年(平成25年)
2012年の全量全袋検査の結果を受けて、2013年も同様に全袋検査が実施されました。2012年には検査態勢が十分に整っておらず、収穫されたものの検査待ちで1週間くらい倉庫に積んでおかれたケースもあったようですが、2013年には人員体制も整備されて、そのようなケースはほとんどなくなったようです。

このブログでも、福島県以外の都道府県については情報をフォローするのをやめて、福島県の全袋検査についてのみフォローしました。福島県側のサイトにもわずか10秒でスクリーニング検査を行っている動画が掲載されたので、こちらの解説の必要性も少なくなりました。

・関連する私のブログは下記の記事です。
25年度版:福島県のお米の放射能検査について」:検査が始まる前に2013年度の検査体制について解説
25年度版:「ふくしまの恵み安全対策協議会」HPで公開されている最新情報」:全量全袋検査の結果まとめ

2013年は、約1100万袋の玄米を検査して、最終的に28検体が基準値超えになりました。そのうち、2013年から作付を開始した南相馬市旧太田村において27検体の基準値超えがあり、それ以外の地区では旧福島市のわずか1検体でした。
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2. 2014年(平成26年)のお米の検査のポイントは?

こうやってみてくると、福島県のお米も基準値を超えたものは約1000万袋(1袋は玄米30kgです)のうち2012年で71袋、2013年で28袋にしか過ぎなかったことがわかります。これは福島県、農水省の研究所、東京大学などの農学研究者、そして米農家などの努力により、どうしたら放射性セシウムを米から少なくするか、ということについて研究がなされて対策が取られてきた成果なのです。

2011年の作付当時(4月頃)、チェルノブイリ事故などの情報からわかっていたことは、土壌中の放射性セシウムの濃度が高いと米にも移行しやすいという事だけでした。そのため、土壌中の放射性セシウムが5,000Bq/kgを超えた土壌については作付制限がなされましたが、それは警戒区域などだけでした。

しかしながら2011年には、すでに述べたような経緯によって暫定基準値を超えるセシウムが検出されたケースが相次ぎました。そしてそれは、当初予想されていたような土壌中の放射性セシウム量だけでは説明できませんでした。しかし、これについては土壌中の交換性カリウム量が関係していることを突き止め、カリウム施肥を行うことによってセシウムの土壌から玄米への移行を抑制できることがわかってきました。実際、2013年に福島市で基準値超えをした1検体については、カリウム施肥はしなかったということがわかっています。

そして、「25年産米の放射性セシウム:南相馬市旧太田村の基準値超えの真の理由は?」でも書いたように、2013年に作付を再開した南相馬市旧太田村における基準値超えの27検体については、福島第一原発での瓦礫撤去による大量の放射性物質の飛散が関与したという可能性が指摘されています。

これについてはまだはっきりと原因がわかったわけではありませんが、もともと土壌の性質から交換態の放射性セシウム量が多い土地だったため、基準値超えはしないものの50-75Bq/kg程度にまではなっていた可能性がある稲に、福島第一原発から風に乗って飛んできた瓦礫由来の放射性物質が稲穂に付着し、それによって100Bq/kgを超えてしまった米が多いのではないかと私は考えています。2013年8月の3号機での瓦礫撤去がなければ27検体も基準値超えをする事はなく、せいぜい一桁、場合によってはゼロになった可能性もあると私は個人的には考えています。

ということは、2014年(平成26年)の玄米については、これまで同様に約1100万検体が検査されると思いますが、昨年から作付を行っている地域については放射性セシウムが基準値超えをする玄米は基本的に10検体未満であると予想できます。ただし、今年から新たに作付が再開される地域がありますので、そこについては何が起こるかわかりませんので要注意です。
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(左が2013年の作付区域設定、右が2014年の作付区域設定)

・関連する私のブログは下記の記事です。
農水省の発表した26年産米の作付制限等の対象地域」:上の図を含む作付区域設定の紹介
26年度の福島県のお米の作付計画について」:2014年の作付に関する区域の解説

ただし、数は少なくても、1100万袋のうちわずか1検体でも基準値超えがでるとそれでニュースになってしまって福島県の米の評価が下がってしまう可能性もあります。ゼロにするというのは非常に難しいと思いますが、ぜひ頑張ってゼロを達成して欲しいと思います。

そして、昨年12月に行われた「第八回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会」において福島県水田畑作課の人が講演されましたが、その際の資料にもあるように、この全袋検査をいつまで続けるのか?という事を考える時期に来ていると思います。
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(2013/12/14 第八回放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会 より)

BSEの時もそうでしたが、このような全量検査というのはやめる時期というのは非常に難しいものです。全袋検査には非常にお金と労力はかかりますが、それによって得られる利益がどれくらいなのか、費用対効果を考える時期に来ていると思います。

会津地方など、ほとんどの検体が検出限界値未満であり、これまで一度も玄米から100Bq/kgを超える放射性セシウムが検出されなかった地方では、はっきり言って全袋検査の必要はありません。ただ、そういう地方から段階的に廃止するのか、県内全てを一斉に廃止するのか、また福島県としても予算がいつまでつけられるか、ということも含めて今後検討していくべき課題だと思います。

福島県米の全袋検査の結果を見る方はぜひ、約1100万検体の中でわずか10袋前後の基準値超えの玄米があるかどうかという状態でいつまで検査を続けるべきなのか、ということを考えながら見て欲しいと思います。


3. まとめ
最後に簡単なまとめをしておきます。

・スクリーニング装置の開発により全量全袋検査が可能になり、2012年からはスクリーニング検査と詳細検査(ゲルマニウム検出器)の2段階で福島県産の玄米の放射性セシウムの検査が行われている。

・過去2年の実績は、約1000万検体のうちで基準値超えをしたのは2012年で71検体、2013年で28検体だけである。99.999%は基準値(100Bq/kg)未満である。

・今年のポイントは、新たに作付を再開した地域で基準値超えをするものがあるかどうかである。昨年の南相馬市の27検体がもし2013年8月の瓦礫撤去による影響を受けているとすると、それがなくなればかなり少なくなる事も期待できる。

・生産者の視点、消費者の視点からこの全量全袋検査をいつまで続けるべきか、ということを考えていくべき時期に来ている。



 
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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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