トレンチの凍結による止水は断念して結局充填剤で埋めることに。第27回監視評価検討会での議論
8月に書いた「海水配管トレンチの止水、方針確定せず。9月中旬に再度判断へ。」の続きです。8月時点では9月に開催するとされていた第27回監視評価検討会が10月3日に開催されましたのでその時の様子をまとめます。
8/19に開催された第26回監視評価検討会においては、前回まとめたように、氷の投入による凍結は難しいということがわかってきたため、間詰め材の充填について準備をしながらその計画が決まった頃に再度判断するというのが結論でした。
それを受けて開かれた10/3の第27回監視評価検討会では、他にもいくつかの議題はありましたが、メインの議題はこのトレンチ凍結の話でした。今回も検討会の議論の中で、この話をご紹介します。
いつもの東京電力の資料説明のあと、更田委員は3つの論点をあげました。一つ目はこれまでの凍結方式の評価、二つ目は追加対策の間詰めの具体的な内容について、三つ目は間詰め材で止水がうまくできなかった場合にどうするのか、という3点です。
まず一点目の凍結工法について、この凍結工法をそのまま続けるのか、間詰めと呼んでいる追加対策に行くのか、というについて専門家の意見を聞きましたが、凍結工法をこのまま続けて何が何でも凍結で止水壁を完成させるべき、という人はいませんでした。
そこで、すぐに二番目の間詰め対策の検討に入りました。そのため、凍結工法の進捗についてはいくつか資料があったのですが、細かい説明は省略します。概要だけ紹介すると、下の図にまとめがあるのですが、水位が高い場合は上部のケーブルトレイが水みちとなっているが、水位がさがった場合には、S6-5あるいは南側のケーブルトレイ下部に水みちができているという解析が示されています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 4ページより)
つまり、かなりの部分を凍らせることには成功したが、氷やドライアイスの投入をしたにもかかわらず凍結だけでは完全には凍らせることができなかった、というのが凍結工法に関する最終的な結論になります。そこで次は、間詰め材を充填し、氷の壁と合わせて止水を行おうという作戦になります。
間詰め材の充填というのは、簡単に言うと氷の壁の手前(タービン建屋側)にコンクリートのようなものを流し込んで行って水みちをふさいでしまおうという考え方です。実際には、複雑なトレンチの構造に合わせて、水中不分離性コンクリートを用いたり、可塑性グラウトを用いたり、急結性可塑性グラウトを用いるというように細かく材質を変えていく作戦になっています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 17ページより)

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 18ページより)
今、何の解説もなしに使ってしまった用語の解説が下の表(資料37ページ)にありますので、それを載せておきます。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 37ページより)
この3つの間詰め材の違いとその選択の理由については資料の32ページから34ページに参考として記載があります。下部の間詰め材については、今回は仕切りの板を入れてから打設するような通常の打設方法ではないため、グラウトを流し込んでどれくらい積み上がるかということがポイントです。そこで、積み上がり性をモックアップ試験で確認した結果として、水中不分離コンクリートを選択しています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 32ページより)
なお、水中不分離性コンクリートについては、「海水配管トレンチとタービン建屋の縁切りは計画からもうすぐ1年 現状は?」において一度ご紹介していますのでご覧下さい。このサイトも参考になります。
計画によれば、水中不分離性コンクリートと可塑性グラウトを交互に2回積み上げたあと、上部のケーブルトレイ部分については、充填性のすぐれている急結性可塑性グラウトを用いることにしたということです。そして最上部は可塑性グラウトを充填するという非常に複雑な工程になっています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 34ページより)
ただ、この方針について、「絵に描いたモチ」という表現を更田委員は用いましたが、確かに話を聞くとうまくいくようにも見えるが、本当にこれでうまくいくんだろうか?何か見落としや落ち度があるのではないか?という懸念があります。
専門家の委員からも、すぐそばに氷の壁があるということで温度が低くグラウトの固まり方が通常の温度とは異なる可能性があるため、モックアップでも実物と同じ低温で実験してみるとか、シミュレーションでちゃんとできるということを確認してからやった方がいいのではないか、という指摘がいくつか出ていました。
凍結工法の時とは異なり、今回は間詰め材を入れて固まらせてしまうため、もしうまく固まらずに空隙ができてしまうようであればもうやり直しがききません。2011年4月にも2号機スクリーンから高濃度汚染水が流れ出したときにも、最初にピットをコンクリートで埋めてしまいましたが、それが完全には固まらず、結局汚染水の海への流出を止めるのに4日もかかったという悪しき前例があります。従って、できるだけそのようなことがないようにすることと同時に、うまくいかない可能性があるという前提でその場合にどうするか、という対策も必要です。
もちろん今回は、東電も間詰め材がうまくいかない可能性を考慮しています。下記に「リスク」としてあげられているように、間詰め材で止水壁がうまくできた場合にはタービン建屋との縁切りができるわけですから、トレンチの汚染水を抜いて、その後にコンクリートを充填するという方法でいけます。しかし、間詰め材がうまく行かなくなった場合には、汚染水を全部抜くことはできず、水中充填という形をとる予定になっています。この場合は、ポンプで水を抜いて、その分だけ水中不分離性コンクリートを充填していくという形を取ります。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 26ページより)
この間詰め材充填について東電が下図のようなスケジュール案を示したわけですが、更田委員は、ここで間詰め材をやってみるとそれだけで3週間くらいかかるので、そうであれば最初から間詰め材をトライせずに水中充填に移るという考え方もあると思うがどうか?という質問をぶつけていました。しかし、東電の考え方は、水中充填をいずれ行うことがあるにしても、できるだけのことはしておいて、できるだけやりやすい形で、できればトレンチとタービン建屋の間が止水された状態になっているようにしたいということでした。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 27ページより)
実際にもし水の抜き取り、あるいは水中充填をおこなうとしたらどのような手順で行うのか、ということですが、下の図に簡単にまとめられています。2号機のトレンチの場合、タービン建屋とは立て坑A及びタービン建屋南側の開削ダクトのところで接しているわけですが、水抜きを考える場合には立て坑Aだけでなく全てのトレンチについて考える必要があります。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 22ページより)
汚染水を抜き取る場合には、すでに立て坑Cに設置されているポンプ、これは1時間に20トンの水を移送できる能力を持っていますが、それを用いてタービン建屋もしくは集中廃棄物処理建屋に移送する予定になっています。
水を抜き取ったあとに、水中充填を行う場合には抜いた分だけ充填していく形になりますが、水中不分離セメント系の材料を用いて充填していきます。各立て坑をつなぐ坑道がかなり長く、最長では78mもあるため、この部分(上図でいうと①の部分)にうまく水中不分離セメント系の充填剤を行き渡らせることができるかどうかが一つのポイントになります。上から流し込んでも横に広がるセルフレベリング性というものが水中不分離性コンクリートは高いのですが、それに期待しています。
この過程がうまくいったと仮定すると、水平に走っている坑道を完全にふさぐことができれば、あとは4本の立て坑をふさげば良いだけになります。そうなった段階で、それぞれの立て坑に新たにポンプを挿入し、立て坑の水を抜きながら水中不分離セメント系の充填剤を充填していく計画です。
特に、立て坑Bについては高濃度の汚染水がさらに海に流れ出す危険があったため、2011年5月に砕石を投入し、その上からコンクリートを打設してしまっています。立て坑B下部の砕石層についてはそこに汚染水が残る可能性があるため、最後に再度穴を開けてポンプを挿入し、汚染水を抜き取る予定になっています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 22ページより)
この計画の詳細については今回のメインの議題ではないため次回に持ち越されましたが、概略についての質疑はありました。しかし、時間がかなり押してしまったため、更田委員は、11月上旬をリミットとして間詰めを行い、追加対策による止水状況をみて、そのまま次のステップに行くのか、あるいは水中充填を行うのかの判断をするという結論を出しました。
つまり、滞留水のままで放置しておくことのリスクに加えて、作業員の被曝を考えるといつまでもこのまま待っているわけにはいかないという判断を下しました。したがって、追加対策を行うことに関しては今回了承し、11月上旬まで間詰め材による追加対策を行い、その状況をみて、うまくいっているようならば当初の計画通りに汚染水を抜いていくし、うまくいかないようであれば汚染水を抜きながらコンクリートなどを流し込む水中充填を行うか、という判断をしたいというのが今回の結論でした。
また、東京電力に対する要望として、今回の作業に関わる作業員の被曝量について、事前に被曝量について一定の評価(見積もり)を出し、作業終了後にその被曝量についての報告をするように指示をしました。
さらに、新しく規制委員会の委員となった田中委員からは追加のコメントとして、仮に閉塞(止水)ができたとしても、さらにまたタービン建屋あるいは地下水から水が入ってくる可能性を考慮して、その水の処理をどうするのかを検討しておくように、という指示が出ました。
2時間40分近くかかった今回の検討会のうち、1時間30分はこの話題に費やしました。その後は議事次第にあったいくつかの話題について議論がされましたが、ここでは省略させていただきます。
7/23に第25回監視評価検討会が行われて、その時にドライアイスを投入して温度を下げる事を検討するという事になりました。その時の様子は「海水配管トレンチとタービン建屋の縁切りは計画からもうすぐ1年 現状は?」にまとめましたが、あれからすでに2ヶ月以上が経過しています。
10/3の検討会では、やっと凍結工法をあきらめて間詰め材の充填にゴーサインが出ました。作業員はこの間被曝をしながら一生懸命に作業してくれたわけですが、結局効果はあまりありませんでした。4月からトレンチの凍結を開始して、すでに半年が経過しています。東電の計画では、間詰め材の充填が11月上旬までかかり、その後トレンチにある汚染水の移動を行ってトンネルの充填、立て抗の充填を来年(2015年)1月までに終わらせる予定ということになっています。
しかしながら、当初は3ヶ月もあれば終わると言っていたトレンチの凍結が予定外に時間がかかってすでに半年経過していることを考慮すると、今回のスケジュールも予定通りに行くと考えている人は少ないと思います。となると、凍土壁を来年4月からスタートしたいという全体の計画があるのですが、それも数ヶ月は遅れるでしょう。
以前から規制委員会の更田委員は、トレンチの凍結ができなければ海側凍土壁の着工は無理という趣旨の発言をしていましたから、普通に考えればトレンチの汚染水処理が完成しない限り凍土壁の着工も遅れて、それに伴って凍土壁の運用開始も遅れることと思います。
トレンチの凍結と汚染水の処理は、凍土壁のスケジュールとも密接に絡んでくるので、今後もこの話題はチェックして行きますが特に凍土壁のスケジュールとの関係をチェックして行きたいと思います。
それを受けて開かれた10/3の第27回監視評価検討会では、他にもいくつかの議題はありましたが、メインの議題はこのトレンチ凍結の話でした。今回も検討会の議論の中で、この話をご紹介します。
いつもの東京電力の資料説明のあと、更田委員は3つの論点をあげました。一つ目はこれまでの凍結方式の評価、二つ目は追加対策の間詰めの具体的な内容について、三つ目は間詰め材で止水がうまくできなかった場合にどうするのか、という3点です。
まず一点目の凍結工法について、この凍結工法をそのまま続けるのか、間詰めと呼んでいる追加対策に行くのか、というについて専門家の意見を聞きましたが、凍結工法をこのまま続けて何が何でも凍結で止水壁を完成させるべき、という人はいませんでした。
そこで、すぐに二番目の間詰め対策の検討に入りました。そのため、凍結工法の進捗についてはいくつか資料があったのですが、細かい説明は省略します。概要だけ紹介すると、下の図にまとめがあるのですが、水位が高い場合は上部のケーブルトレイが水みちとなっているが、水位がさがった場合には、S6-5あるいは南側のケーブルトレイ下部に水みちができているという解析が示されています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 4ページより)
つまり、かなりの部分を凍らせることには成功したが、氷やドライアイスの投入をしたにもかかわらず凍結だけでは完全には凍らせることができなかった、というのが凍結工法に関する最終的な結論になります。そこで次は、間詰め材を充填し、氷の壁と合わせて止水を行おうという作戦になります。
間詰め材の充填というのは、簡単に言うと氷の壁の手前(タービン建屋側)にコンクリートのようなものを流し込んで行って水みちをふさいでしまおうという考え方です。実際には、複雑なトレンチの構造に合わせて、水中不分離性コンクリートを用いたり、可塑性グラウトを用いたり、急結性可塑性グラウトを用いるというように細かく材質を変えていく作戦になっています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 17ページより)

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 18ページより)
今、何の解説もなしに使ってしまった用語の解説が下の表(資料37ページ)にありますので、それを載せておきます。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 37ページより)
この3つの間詰め材の違いとその選択の理由については資料の32ページから34ページに参考として記載があります。下部の間詰め材については、今回は仕切りの板を入れてから打設するような通常の打設方法ではないため、グラウトを流し込んでどれくらい積み上がるかということがポイントです。そこで、積み上がり性をモックアップ試験で確認した結果として、水中不分離コンクリートを選択しています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 32ページより)
なお、水中不分離性コンクリートについては、「海水配管トレンチとタービン建屋の縁切りは計画からもうすぐ1年 現状は?」において一度ご紹介していますのでご覧下さい。このサイトも参考になります。
計画によれば、水中不分離性コンクリートと可塑性グラウトを交互に2回積み上げたあと、上部のケーブルトレイ部分については、充填性のすぐれている急結性可塑性グラウトを用いることにしたということです。そして最上部は可塑性グラウトを充填するという非常に複雑な工程になっています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 34ページより)
ただ、この方針について、「絵に描いたモチ」という表現を更田委員は用いましたが、確かに話を聞くとうまくいくようにも見えるが、本当にこれでうまくいくんだろうか?何か見落としや落ち度があるのではないか?という懸念があります。
専門家の委員からも、すぐそばに氷の壁があるということで温度が低くグラウトの固まり方が通常の温度とは異なる可能性があるため、モックアップでも実物と同じ低温で実験してみるとか、シミュレーションでちゃんとできるということを確認してからやった方がいいのではないか、という指摘がいくつか出ていました。
凍結工法の時とは異なり、今回は間詰め材を入れて固まらせてしまうため、もしうまく固まらずに空隙ができてしまうようであればもうやり直しがききません。2011年4月にも2号機スクリーンから高濃度汚染水が流れ出したときにも、最初にピットをコンクリートで埋めてしまいましたが、それが完全には固まらず、結局汚染水の海への流出を止めるのに4日もかかったという悪しき前例があります。従って、できるだけそのようなことがないようにすることと同時に、うまくいかない可能性があるという前提でその場合にどうするか、という対策も必要です。
もちろん今回は、東電も間詰め材がうまくいかない可能性を考慮しています。下記に「リスク」としてあげられているように、間詰め材で止水壁がうまくできた場合にはタービン建屋との縁切りができるわけですから、トレンチの汚染水を抜いて、その後にコンクリートを充填するという方法でいけます。しかし、間詰め材がうまく行かなくなった場合には、汚染水を全部抜くことはできず、水中充填という形をとる予定になっています。この場合は、ポンプで水を抜いて、その分だけ水中不分離性コンクリートを充填していくという形を取ります。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 26ページより)
この間詰め材充填について東電が下図のようなスケジュール案を示したわけですが、更田委員は、ここで間詰め材をやってみるとそれだけで3週間くらいかかるので、そうであれば最初から間詰め材をトライせずに水中充填に移るという考え方もあると思うがどうか?という質問をぶつけていました。しかし、東電の考え方は、水中充填をいずれ行うことがあるにしても、できるだけのことはしておいて、できるだけやりやすい形で、できればトレンチとタービン建屋の間が止水された状態になっているようにしたいということでした。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 27ページより)
実際にもし水の抜き取り、あるいは水中充填をおこなうとしたらどのような手順で行うのか、ということですが、下の図に簡単にまとめられています。2号機のトレンチの場合、タービン建屋とは立て坑A及びタービン建屋南側の開削ダクトのところで接しているわけですが、水抜きを考える場合には立て坑Aだけでなく全てのトレンチについて考える必要があります。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 22ページより)
汚染水を抜き取る場合には、すでに立て坑Cに設置されているポンプ、これは1時間に20トンの水を移送できる能力を持っていますが、それを用いてタービン建屋もしくは集中廃棄物処理建屋に移送する予定になっています。
水を抜き取ったあとに、水中充填を行う場合には抜いた分だけ充填していく形になりますが、水中不分離セメント系の材料を用いて充填していきます。各立て坑をつなぐ坑道がかなり長く、最長では78mもあるため、この部分(上図でいうと①の部分)にうまく水中不分離セメント系の充填剤を行き渡らせることができるかどうかが一つのポイントになります。上から流し込んでも横に広がるセルフレベリング性というものが水中不分離性コンクリートは高いのですが、それに期待しています。
この過程がうまくいったと仮定すると、水平に走っている坑道を完全にふさぐことができれば、あとは4本の立て坑をふさげば良いだけになります。そうなった段階で、それぞれの立て坑に新たにポンプを挿入し、立て坑の水を抜きながら水中不分離セメント系の充填剤を充填していく計画です。
特に、立て坑Bについては高濃度の汚染水がさらに海に流れ出す危険があったため、2011年5月に砕石を投入し、その上からコンクリートを打設してしまっています。立て坑B下部の砕石層についてはそこに汚染水が残る可能性があるため、最後に再度穴を開けてポンプを挿入し、汚染水を抜き取る予定になっています。

(10/3 第27回監視評価検討会 資料1 22ページより)
この計画の詳細については今回のメインの議題ではないため次回に持ち越されましたが、概略についての質疑はありました。しかし、時間がかなり押してしまったため、更田委員は、11月上旬をリミットとして間詰めを行い、追加対策による止水状況をみて、そのまま次のステップに行くのか、あるいは水中充填を行うのかの判断をするという結論を出しました。
つまり、滞留水のままで放置しておくことのリスクに加えて、作業員の被曝を考えるといつまでもこのまま待っているわけにはいかないという判断を下しました。したがって、追加対策を行うことに関しては今回了承し、11月上旬まで間詰め材による追加対策を行い、その状況をみて、うまくいっているようならば当初の計画通りに汚染水を抜いていくし、うまくいかないようであれば汚染水を抜きながらコンクリートなどを流し込む水中充填を行うか、という判断をしたいというのが今回の結論でした。
また、東京電力に対する要望として、今回の作業に関わる作業員の被曝量について、事前に被曝量について一定の評価(見積もり)を出し、作業終了後にその被曝量についての報告をするように指示をしました。
さらに、新しく規制委員会の委員となった田中委員からは追加のコメントとして、仮に閉塞(止水)ができたとしても、さらにまたタービン建屋あるいは地下水から水が入ってくる可能性を考慮して、その水の処理をどうするのかを検討しておくように、という指示が出ました。
2時間40分近くかかった今回の検討会のうち、1時間30分はこの話題に費やしました。その後は議事次第にあったいくつかの話題について議論がされましたが、ここでは省略させていただきます。
7/23に第25回監視評価検討会が行われて、その時にドライアイスを投入して温度を下げる事を検討するという事になりました。その時の様子は「海水配管トレンチとタービン建屋の縁切りは計画からもうすぐ1年 現状は?」にまとめましたが、あれからすでに2ヶ月以上が経過しています。
10/3の検討会では、やっと凍結工法をあきらめて間詰め材の充填にゴーサインが出ました。作業員はこの間被曝をしながら一生懸命に作業してくれたわけですが、結局効果はあまりありませんでした。4月からトレンチの凍結を開始して、すでに半年が経過しています。東電の計画では、間詰め材の充填が11月上旬までかかり、その後トレンチにある汚染水の移動を行ってトンネルの充填、立て抗の充填を来年(2015年)1月までに終わらせる予定ということになっています。
しかしながら、当初は3ヶ月もあれば終わると言っていたトレンチの凍結が予定外に時間がかかってすでに半年経過していることを考慮すると、今回のスケジュールも予定通りに行くと考えている人は少ないと思います。となると、凍土壁を来年4月からスタートしたいという全体の計画があるのですが、それも数ヶ月は遅れるでしょう。
以前から規制委員会の更田委員は、トレンチの凍結ができなければ海側凍土壁の着工は無理という趣旨の発言をしていましたから、普通に考えればトレンチの汚染水処理が完成しない限り凍土壁の着工も遅れて、それに伴って凍土壁の運用開始も遅れることと思います。
トレンチの凍結と汚染水の処理は、凍土壁のスケジュールとも密接に絡んでくるので、今後もこの話題はチェックして行きますが特に凍土壁のスケジュールとの関係をチェックして行きたいと思います。
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