福島米の全袋検査、3年目で初めて基準値超えゼロを達成しそうです!
ずいぶん間が空いてしまいました。今は本業が忙しいのでなかなか時間がとれず、毎朝のツイートが精一杯です。汚染水の話はちょっとたまってしまっていますが、今回はお米の話です。
さて、福島県産米の全袋検査は、2012年に始まって以来3年目ですが、今年の検査も1030万検体を超え、大詰めを迎えています。最後の秒読み段階にある現況についてまとめます。
1. 福島米の全袋検査とは
全量全袋検査って何?という方は、申し訳ありませんが、先に今年の11月初めに書いた「26年産福島米の全量全袋検査、10月までの現況のまとめ」を読んで下さい。あまり毎回同じ事を繰り返して書くのもこのブログをこれまで読んでいただいている方には申し訳ないので、今回はできるだけ今年の結果について重点を置いて書きたいと思います。
最低限の簡単な説明だけしておくと、福島県では2012年(平成24年)産米から全てのコメの放射性セシウム濃度を測定するようになりました。これは原発事故初年度の2011年においてサンプリング検査での問題点が露呈してしまったことを受けての苦肉の策です。その測定結果はふくしまの恵み安全対策協議会のサイトに公開されています。各地で測定されたデータは毎日集計されて、夜中に更新されます。本日の朝の時点での画面を下に示します。

(「福島の恵み」より 2014年12月7日朝のデータ)
福島県で生産されるコメは、市場には流通しない自家消費米も含めて全て放射性セシウム濃度の検査をすることになっています。その数は30kgの米袋にして昨年の場合で約1100万袋です。今年から作付を再開したところもありますので、今年は昨年よりも若干上回ると予想されています。下に比較したグラフを示しますが、昨年よりもほんのわずか上回るペースで進んでいます。

(2012年(平成24年)から2014年(平成26年)までの全量全袋検査の検査数の比較)
ただし、昨年の場合も年末の時点で約1070万検体(袋)でしたので、年を越してから測定される検体が30万検体くらいはあるということになります。今年もおそらくそれくらいは来年に持ち越しになると思います。これはおそらく、自家消費米などでは籾の状態で保管しておいて、消費する際に玄米にして測定するということを行っているからだと思います。
従って、2014年(平成26年)産米の最終的な結論は厳密にいうと今年中には出せないのですが、全体で1100万袋のうちほぼ97%の結果が出ていればこうなるであろうという結論は出せると思います。あとはどこで区切りをつけて基準値超えがゼロであったと宣言するか、という問題だけです。
2. 今年の全袋検査の結果
先ほどお示しした図をみればわかると思いますが、2014年産米については12月6日の時点で10,345,709検体を測定しています。まずは全ての玄米袋(30kg)がスクリーニング検査といって全袋検査を行うベルトコンベアを用いた測定機器にかけられます。この結果は、機器ごとに設定されたスクリーニングレベルと呼ばれる数値(放射性セシウムで約80Bq/kg)を下回っているかどうかを判定するための概算の数値であり、正確なデータではありません。また、測定下限値も100Bq/kgの基準値を上回るかどうかを判定するために必要な(基準値の1/4の)25Bq/kgに設定されており、25Bq/kg未満については測定下限値以下ということで集計されます。
その中でスクリーニングレベルを超えたサンプルがあった場合には詳細検査としてゲルマニウム検出器で正確な検査を行います。今年度この基準にひっかかって詳細検査に回ったものは1検体だけで、詳細検査の結果、61Bq/kgでした。これは先月「26年産福島米の全量全袋検査、10月までの現況のまとめ」を書いたときからの追加情報になります。

(12/1 福島県HP より)
実は今年度に詳細検査に回った検体はそれ以外にも22検体あるのですが、これらはおそらく会津地方の市町村が自主的にゲルマニウム検出器で測定し、その結果22検体全てが25Bq/kg未満となったものであると思われます。このようなケースについては、以前福島県の水田畑作課に問い合わせたこともあるのですが、その検査結果は公表しないと言われましたので今後も公表されることはないと思います。福島県は、スクリーニングレベルを超えて詳細検査に回ったものは「全量全袋検査の検査結果」というページで結果を公表していますので、それ以外のものは上述の理由で詳細検査に回ったと考えておいていいはずです。
なお、私の今年のこれまでの毎朝のツイートには、これらの22検体も(25Bq/kg未満であっても)数値検出されただろうということで便宜上数値検出の数にカウントしていました。ただ、昨年まではあくまでスクリーニング検査での25-100Bq/kgのものを数値検出としていたのでそれに合わせるため、今回から修正します。ご了承下さい。
さて、数値検出という視点で過去2年と今年を比較してみると、非常に明確な傾向が見られます。

今年の場合は、測定検体数は昨年とほぼ同じなのですが、25Bq/kg以上の「数値検出検体数」では、1/3以下と大きく減少しています。昨年も12/6現在では6341検体と一昨年の20854検体から1/3程度に減少していましたから、今年の1829検体は2012年(平成24年)から考えると約1/10になっているわけです。
これを表にまとめてみると以下のようになります。

この表を見ると、スクリーニング検査における数値検出(25-100Bq/kg)の減少に加えて、詳細検査に回った検体数が激減していることがわかると思います。詳細検査に回った数は昨年の1/20以下です。それから考えても今年はまだ基準値超えがないというのも理解できると思います。それに加えて、特に新たに作付を開始する場合に、農機具との交差汚染がないように指導をしていますので、そのような原因での詳細検査に回る事例もなくなったためと思います。
ただ、現時点で基準値超えゼロを達成と断言できないのは、昨年のケースでも12月中旬に南相馬市のサンプルで基準値超えが15件(28-13=15)も出ています。ですから、私としては今年の年末までは様子を見ようと思っています。とはいえ、今年の状況を見る限り、基準値超えゼロを達成するのは時間の問題であると考えられます。
年末に最後のまとめをする予定にしています。その時に基準値超えゼロを維持できていれば、その時点で私としては基準値超えゼロを達成したといってもいいと考えています。
今月までは福島米の全袋検査については@tsokdbaで情報をツイートしていく予定ですので、そちらの方もぜひご覧いただければと思います。
全量全袋検査って何?という方は、申し訳ありませんが、先に今年の11月初めに書いた「26年産福島米の全量全袋検査、10月までの現況のまとめ」を読んで下さい。あまり毎回同じ事を繰り返して書くのもこのブログをこれまで読んでいただいている方には申し訳ないので、今回はできるだけ今年の結果について重点を置いて書きたいと思います。
最低限の簡単な説明だけしておくと、福島県では2012年(平成24年)産米から全てのコメの放射性セシウム濃度を測定するようになりました。これは原発事故初年度の2011年においてサンプリング検査での問題点が露呈してしまったことを受けての苦肉の策です。その測定結果はふくしまの恵み安全対策協議会のサイトに公開されています。各地で測定されたデータは毎日集計されて、夜中に更新されます。本日の朝の時点での画面を下に示します。

(「福島の恵み」より 2014年12月7日朝のデータ)
福島県で生産されるコメは、市場には流通しない自家消費米も含めて全て放射性セシウム濃度の検査をすることになっています。その数は30kgの米袋にして昨年の場合で約1100万袋です。今年から作付を再開したところもありますので、今年は昨年よりも若干上回ると予想されています。下に比較したグラフを示しますが、昨年よりもほんのわずか上回るペースで進んでいます。

(2012年(平成24年)から2014年(平成26年)までの全量全袋検査の検査数の比較)
ただし、昨年の場合も年末の時点で約1070万検体(袋)でしたので、年を越してから測定される検体が30万検体くらいはあるということになります。今年もおそらくそれくらいは来年に持ち越しになると思います。これはおそらく、自家消費米などでは籾の状態で保管しておいて、消費する際に玄米にして測定するということを行っているからだと思います。
従って、2014年(平成26年)産米の最終的な結論は厳密にいうと今年中には出せないのですが、全体で1100万袋のうちほぼ97%の結果が出ていればこうなるであろうという結論は出せると思います。あとはどこで区切りをつけて基準値超えがゼロであったと宣言するか、という問題だけです。
2. 今年の全袋検査の結果
先ほどお示しした図をみればわかると思いますが、2014年産米については12月6日の時点で10,345,709検体を測定しています。まずは全ての玄米袋(30kg)がスクリーニング検査といって全袋検査を行うベルトコンベアを用いた測定機器にかけられます。この結果は、機器ごとに設定されたスクリーニングレベルと呼ばれる数値(放射性セシウムで約80Bq/kg)を下回っているかどうかを判定するための概算の数値であり、正確なデータではありません。また、測定下限値も100Bq/kgの基準値を上回るかどうかを判定するために必要な(基準値の1/4の)25Bq/kgに設定されており、25Bq/kg未満については測定下限値以下ということで集計されます。
その中でスクリーニングレベルを超えたサンプルがあった場合には詳細検査としてゲルマニウム検出器で正確な検査を行います。今年度この基準にひっかかって詳細検査に回ったものは1検体だけで、詳細検査の結果、61Bq/kgでした。これは先月「26年産福島米の全量全袋検査、10月までの現況のまとめ」を書いたときからの追加情報になります。

(12/1 福島県HP より)
実は今年度に詳細検査に回った検体はそれ以外にも22検体あるのですが、これらはおそらく会津地方の市町村が自主的にゲルマニウム検出器で測定し、その結果22検体全てが25Bq/kg未満となったものであると思われます。このようなケースについては、以前福島県の水田畑作課に問い合わせたこともあるのですが、その検査結果は公表しないと言われましたので今後も公表されることはないと思います。福島県は、スクリーニングレベルを超えて詳細検査に回ったものは「全量全袋検査の検査結果」というページで結果を公表していますので、それ以外のものは上述の理由で詳細検査に回ったと考えておいていいはずです。
なお、私の今年のこれまでの毎朝のツイートには、これらの22検体も(25Bq/kg未満であっても)数値検出されただろうということで便宜上数値検出の数にカウントしていました。ただ、昨年まではあくまでスクリーニング検査での25-100Bq/kgのものを数値検出としていたのでそれに合わせるため、今回から修正します。ご了承下さい。
さて、数値検出という視点で過去2年と今年を比較してみると、非常に明確な傾向が見られます。

今年の場合は、測定検体数は昨年とほぼ同じなのですが、25Bq/kg以上の「数値検出検体数」では、1/3以下と大きく減少しています。昨年も12/6現在では6341検体と一昨年の20854検体から1/3程度に減少していましたから、今年の1829検体は2012年(平成24年)から考えると約1/10になっているわけです。
これを表にまとめてみると以下のようになります。

この表を見ると、スクリーニング検査における数値検出(25-100Bq/kg)の減少に加えて、詳細検査に回った検体数が激減していることがわかると思います。詳細検査に回った数は昨年の1/20以下です。それから考えても今年はまだ基準値超えがないというのも理解できると思います。それに加えて、特に新たに作付を開始する場合に、農機具との交差汚染がないように指導をしていますので、そのような原因での詳細検査に回る事例もなくなったためと思います。
ただ、現時点で基準値超えゼロを達成と断言できないのは、昨年のケースでも12月中旬に南相馬市のサンプルで基準値超えが15件(28-13=15)も出ています。ですから、私としては今年の年末までは様子を見ようと思っています。とはいえ、今年の状況を見る限り、基準値超えゼロを達成するのは時間の問題であると考えられます。
年末に最後のまとめをする予定にしています。その時に基準値超えゼロを維持できていれば、その時点で私としては基準値超えゼロを達成したといってもいいと考えています。
今月までは福島米の全袋検査については@tsokdbaで情報をツイートしていく予定ですので、そちらの方もぜひご覧いただければと思います。
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