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側溝放射線モニタの異常値についての続報 東電記者会見(2/23)での情報


昨日書いた、「側溝放射線モニタの異常値計測、おそらくどこかから汚染水もれ(現在は収束へ)」の続報になります。残念ながらまだ原因についてはまだ調査中ということで報告がありませんでした。昨日とダブる部分もありますがいくつか補足の情報がありますのでご紹介します。また、昨日はご紹介できなかったいろいろな情報もお伝えしたいと思います。


1.位置関係の確認

8時過ぎまでかかった本日(2/23)の東電記者会見では、第18回廃炉・汚染水対策現地調整会議の資料など多くの資料が配付されたようですが、やはり側溝放射線モニタの質疑応答に一番時間をとられていました。

側溝放射線モニタの話をするためには、まずは位置関係を理解しないとこのあとの話がわからないと思いますので、図面から紹介します。

0223-4
(東電HP 2/22 構内側溝排水放射線モニタと排水路ゲートの位置についてより)

昨日も紹介しましたが、この排水路の流路を理解していないとこの問題はわかりませんので再度説明を加えます。図面では上が東(海)で、下が西(山)になっています。黄色いB排水路と青いC排水路が図面上の下から上に流れていて、排水とゲートC-1およびB-1の付近で合流します。合流したあと、緑色の側溝放射線モニタ付近を通ってC-2-1を通り、現在は付け替え排水路を通って港湾内の開渠内に流れ込んでいます。

以前は排水路ゲートBC-b、BC-aの方を通って外洋に直接流れ出す形になっていました。というのも、この排水路はこの原発ができた頃からあった流路であり、雨水などを海に流すための流路としては自然なのですが、2011年の原発事故後に汚染水処理用のタンクを35m盤と呼んでいる標高(O.P.)35mのタンクエリアに大量に設置したために、タンクからあふれ出た汚染水が側溝に流れ込み、さらには海に流出したというケースが3-4回ありました。

この失敗を受けて、汚染水処理対策委員会の提言もあり、リスクを低減するためにこの排水路は付け替えて港湾の開渠内に流し込むような運用を開始したのが2014年の7月のことです。同時に、汚染水タンクなどから高濃度の汚染水が流出したときのために常時観測できるモニタを設置しました。それが側溝放射線モニタです。

今回の異常値は、この側溝放射線モニタがあったから把握できたことで、これが設置されていなければ今回のような異常があったとしてもおそらく検知できず、場合によっては大量の汚染水漏れにつながっていたかもしれません。実際、過去にも我々が把握していないだけでそういう事故はあった可能性があります。そういう意味では今回は側溝放射線モニタが役に立ったということが言えると思います。


2.時系列に沿った事実関係の確認

側溝放射線モニタの異常値については、記者会見で配布された資料が会見中に追記されて修正版がでています。「構内側溝排水放射線モニタ警報発生について (2/23 17時現在)」に基づいて情報を再度確認していきます。

0223-1
0223-2
(東電HP  「福島第一原子力発電所構内側溝排水放射線モニタ警報発生について(2/23 17時現在)」より)

ここまでは時系列にそって何を行ったかが記載されていますが、内容としてはほとんどが昨日の「側溝放射線モニタの異常値計測、おそらくどこかから汚染水もれ(現在は収束へ)」でご紹介した内容と変わりありません。

追加された情報としては、青字で記載されているように、BC-1という最下流にある排水路ゲートを閉鎖した時間がタンクエリアの止水弁を閉じた時間よりも1時間近く後であったということ、および本日(2/23)の情報が追記されている点です。

このBC-1ゲートの閉鎖した時間(2/22 11:35)をもっと早くできたのではないか?という指摘が記者からありましたが、回答としては、まずは流入源を経つことが重要で、そのために止水弁を閉じる作業を優先したという説明がありました。

また、本日(2/23)には、排水路のサンプリングデータが通常の変動範囲内に収まったのを確認した後にB排水路とC排水路に設置された全てのゲートを「開」にしたということが示されました。これは、いつまでも「閉」にしておいて排水路の水があふれ出すことを恐れての対応です。あとで示しますが、データを見る限り今回の漏洩事故はもう収束したと判断できますので、このゲートを再度「開」にしたのは妥当な対応であると思います。

さて、側溝放射線モニタではどのようなデータが得られていたのか?数字だけの資料ではわかりにくいのですが、実は第18回廃炉・汚染水対策現地調整会議の資料には側溝放射線モニタのデータがグラフとなってプロットされています。

0223-5
(第18回廃炉・汚染水対策現地調整会議の資料より)

これを見ると一目瞭然で、10分に一度側溝放射線モニタで測定している全β核種の数値が9:40頃から上がりだし、10時頃には約2000Bq/Lとなり、さらにその10分後には約4000Bq/Lにまで上昇していることがわかります。A系統とB系統を設けているのは、冗長性を持たせて片方を清掃や点検を行っている間も測定を続けられるようにするための対応で、基本的には同じものが二つあるということです(2/23の東電記者会見より)。

グラフを見ると、10時40分頃にはピークに達して、その後は下がっていることがよくわかります。先ほどの資料には具体的な数値が記載されていますので、それと合わせて見た方がよく理解できると思います(下に再掲)。

0223-6
(東電HP  「福島第一原子力発電所構内側溝排水放射線モニタ警報発生について(2/23 17時現在)」より)

しかし、側溝放射線モニタの値はなかなか低下しません。一方で、側溝放射線モニタ付近の排水路から手でサンプリングして測定した値がこの下の図に書き込まれていますので比較すると、2/22の13:50には全βが390Bq/L、18:20には190Bq/L、22:00には20Bq/Lにまで低下しています。

これは、この側溝放射線モニタの問題点で、一度高い値を示すと、実際の排水路では濃度が低下してもなかなか下がらないという現象がこれまでもあったそうなので、今回もその影響を受けていると思います。そのために側溝放射線モニタと実際に排水路から手でサンプリングした際のデータに乖離があったものと考えられます。

実際、今回もなかなか側溝放射線モニタの数値が下がらないために両系統とも清掃を行い、その結果として本日(23日)16時にはA系統が544Bq/L、B系統が692Bq/Lだったそうです。従って、本日16時をもってB系統も「高」警報は解除されたと判断した、という説明が記者会見においてありました。ちなみに、側溝放射線モニタ付近の排水路から手でサンプリングしたデータは本日朝8:30にはND(検出限界値5.1Bq/L)なので、まだ実際よりも高い値が出ている可能性もあります。

0223-3
(東電HP  「福島第一原子力発電所構内側溝排水放射線モニタ警報発生について(2/23 17時現在)」より)

これらのデータから、原因はまだ不明ですが、22日の午前9時40分頃に始まった全β核種を多く含む汚染水?の流入は、10時40分頃にピークに達し、その後は低下して、23日にはほぼこれまでの濃度(全βで10~100Bq/L)に落ち着いたものと判断して良いと思います。


3.原因は?

本日(2月23日)の記者会見では、まだ情報を整理中ということでしたので、これ以上の情報はほとんど出てきませんでした。このあとに現時点での私の個人的な見解を少し書きます。これが当たっているか外れているかは後日明らかになると思いますので、その時点で検証できると思います(あるいは「わからなかった」と迷宮入りさせられるかもしれませんが)。

先ほども書いたように、22日の午前9時40分頃に始まった排水路への全β核種を多く含む汚染水?の流入は、10時40分頃にピークに達し、その後は低下して収束しています。この10時40分の前には何があったのでしょうか?

先ほどの記者会見の資料では、『全汚染水タンクエリアの止水弁の「閉」を確認。』していますので、おそらくこの時に「開」だったものを「閉」にした止水弁がきっとあったのだと思います。単に「閉」であることを「確認」しただけであれば、10時40分頃にピークになってそのあと濃度が明らかに低下したというのは説明できません。

『止水弁が「閉」』になっていることを確認したのは事実ですので東電の発表は間違いではありませんが、そのうちのどれか一つは「開になっていたので閉にした」結果、「閉」になったものもあったのではないか?ということを私は想定しています。きっとそれが今回の異常値の原因であり、当該の作業員はそれを知っているはずです。でもおそらく、本日の時点では本店に情報がないか、あるいは情報をつかんでいても本日はまだ発表するつもりがないのかのどちらかの可能性があると私は予想をしています。

これは現時点での個人的な推論であり、特に明確な根拠があるわけではありませんが、過去のこういう事故の事例から予想される一つの解釈を書いたものです。いずれこの推論が正しいか間違っているかは明らかになると思います。ただ、本日までに開示された情報ではこれが一番可能性が高いと私は考えています。

読売新聞のニュースでは、
「東電は、排水路の上流で今月上旬から泥を取り除く清掃を実施しており、放射性物質を含んだ泥などが雨水に混じって一緒に流れたことが原因とみられるという。」
とありますので、真実は泥が原因かもしれません。あくまで現時点での情報に基づいた私の勝手な推論ですので、そこはそのつもりでお読みください。

4.海洋への流出はどうなのか?

昨日発表された情報で重要な事は、排水路の開渠内への出口の水をサンプリングしたところ、22日の12:30において全βが3000Bq/Lだったということです。その上流の側溝放射線モニタ付近では11時に3800Bq/Lでした。11時35分には側溝放射線モニタの下流のBC-1ゲートを「閉」にしましたが、それまでに流れていった水があまり希釈されずにほぼそのまま排水路の出口まで流れていったことを示します。

残念ながら、今回の排水路の流量についてどれくらいなのか、という情報が開示されていませんので全量でどれだけの全βを含む汚染水が港湾内に流出したのかは不明です。ぜひそのあたりは記者会見で突っ込んで開示を求めて欲しいと思います。

0223-7
(東電HP  「福島第一原子力発電所構内側溝排水放射線モニタ警報発生について(2/23 17時現在)」より)

東電は記者会見で上記の資料を出して、外洋には直接流出していないこと、そして港湾内のデータには現状ではほぼ変動がないということを主張しています。でも、そもそも今回の流出でそのような変動があり得るのか、少し量的なシミュレーションをしてみましょう。

ご存じの方も多いと思いますが、港湾内の海水は外洋の海水と行き来があるのは当然で、毎日潮の満ち引きで約50%が入れ替わっています。港湾内の中でも開渠と呼ばれる部分は下の図でオレンジ色の部分です。

0223-8
(東京電力HP 2011年7月11日の資料 「港湾内の放射性物質量」 より: ここではエリアを示す色だけに注目してください。

この部分の体積は約160,000m3=16万トンです。その根拠は東電が2013年8月2日の第2回汚染水WGに提出した資料2の56~57ページにあります。ここでは、港湾内開渠の海水が毎日約50%海水が交換するとしてトリチウムの流出量を算出しています。

ちなみに、港湾部分の体積は、私が2011年に書いたブログには「7/13 海洋汚染防止のための東京電力の新たな施策を解説します」では2,200,000m3=220万トンであると計算してあります。これについては東電の発表した数字ではありませんが、港湾内の面積が0.3km2であるという安倍首相の2013年9月のオリンピック招致時の発言から考えても、0.3km2=300,000m2なので深さを約7mとすれば210万トンとなり、大きくは外れていないと思います。

港湾内はとりあえず置いておくとして、開渠内が16万トンの海水であるということです。その約50%が入れ替わるとすると、毎日約8万トンが入れ替わることになります。今回は22日の10時頃から排水路ゲートBC-1を閉めた11時35分頃までの約1時間半に流出した量を2014年7月14日の廃炉・汚染水対策現地調整会 資料1 13ページから0.3m3/sec=1080トン/時として計算しましょう。すると、1080トン×1.5時間=1620トン。開渠内の16万トンの約1%の体積です。(ただし実際に22日にこれだけの流量があったかどうかはわかりません。)

ということは、16万トンに均一に広がるとすると、100倍に希釈されますから、元が3000Bq/Lだったとして30Bq/L程度の上昇する可能性はあるということになります。しかしそれは22日だけのことで、本日(23日)以降は潮の満ち引きで約50%が入れ替わるために半分程度に減少するということになります。全β核種の検出限界値が約15Bq/Lであり、そもそもこのあたりの測定ポイントの一つである2号機取水口(遮水壁前)の2/16の全βは96Bq/L(リンク先13ページ)ですし、過去のデータ(リンク先15ページ)を見ても全βは100Bq/L前後を上下していますから、30Bq/L程度の追加があったとしてもほとんど影響がないと考えられます。

0223-9
(東電HP 福島第一原子力発電所周辺における海水分析結果(1~4号機取水口内) 2/23版より (このデータは随時上書き更新されます))

今回の事象を受けて、港湾内の海水モニタリング、特に全βはこれまで週に一度でしたが、これまでの10箇所に2箇所を加えて12箇所で毎日1回測定するということが発表されました。しかしながら、上記のシミュレーションが正しければ、おそらくこれ以上の汚染水漏洩がない限りはその影響は開渠内の海水でも見られないだろうと私は予想します。

ただ、今回流出した汚染水の全β量は、流量の計算が正しかったと仮定して、3000Bq/Lの汚染水が1600トンだとすると4.8×10^(9)Bq=48億ベクレルになります。これは、2011年12月のタンクからの漏洩事故がSrで240億ベクレルだったことを考えてもかなり多いものです。流量に関しては正確なデータがまだわかりませんのでかなり多めに見積もっている可能性もありますが、港湾内への影響を測るのは難しいものの、流出量としてはかなり多いものであったかもしれません。

このあたりについては、もう少し情報が明らかになってきてから時間があれば再度検討したいと思います。


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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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