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久々の更新です 地下水観測抗No.1の全ベータ値上昇傾向について


しばらくぶりのブログ更新です。
今回は近況報告を兼ねて少し書きたいと思います。


原発事故後5年にむけて何かまとめたい、という思いはあったものの、なかなか時間もとれず、いつの間にか遠ざかってしまいました。

高温焼却炉建屋から5トンもの汚染水漏れ、というニュースを見て、さすがにチェックしておこうかな、と東電のHPを見たのも久しぶりです。というわけで、最近の福島第一原発の状況についてはかなり疎くなっているのは間違いありません。今後も更新は不定期になると思いますが、機会があれば書きたいと思っています。


今回、久々に東電のHPで資料を見てみましたが、間があいたことにより、長期間の変動がわかってきたこともありました。今回は、東電が毎週金曜日にまとめて発表している「タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況等について」という資料から、気になった点を少しだけ取り上げます。

東電は、2013年に建屋東側、つまり海沿いにいくつか地下水観測抗を掘って、深さ5mとか16mの地下水をくみ上げてその放射性物質の濃度を毎週測定してきています。そのデータをグラフにしてプロットしてくれているのですが、1年2年と経つといろいろと傾向が見えてきます。かなり地下水の動きは複雑なので、簡単に「これはこうだ」といえるものではないのですが、注意して見た方がいいデータをご紹介します。初めて見る方には位置関係がわかりにくいと思いますが、私の過去のブログなどを参照いただければ少し理解できるようになると思います。右上の「検索フォーム」にキーワードを入力して検索していただくと、過去記事が出てきますので、そこに詳細な解説がありますのでご利用ください(元データへのリンクは、東電以外はリンク切れが多くなっていると思いますが)。

まず、1,2号スクリーン間の地下水観測抗の位置関係のうち、今回取り上げたいものの場所を示します。

0326-2

この中で、一番海側のNo.1-9という場所、ここは2013年に作った水ガラスによる壁の外側にあるため、ほとんど放射性物質が観測されてきませんでした。実際、下のグラフにあるように、H-3(トリチウム)は2014年になってからはほとんどがND(検出限界以下)でした。ところが、下図で赤丸をつけたように、2015年11月頃からはまたH-3が数百Bq/L検出されるようになっています。

0326-1

これはおそらく、2015年10月に海側遮水壁を閉じたことと関係があると思います。海側遮水壁を閉じることにより、地下水の行き場所がなくなり、地下水位が上がるとともに、護岸の一部にもひび割れが出た、という報道があったことはご記憶があると思います。海側遮水壁の閉塞により、地下水位が上がり、どこかからH-3が流れ込んできた、ということは容易に想像ができます。どこからか、ということを突き止めるのは大変ですが、このような「変化」をチェックして、それがどうして起こったのか、を考えることは重要だと考えています。


次に見ていてびっくりしたのは、一番最初に掘られた地下水観測抗のNo.1です。今回の資料でもNo.1の位置は載っていますが、その図はごちゃごちゃしていてわかりにくいので、以前の資料から引用します。No.1はNo.1-17のすぐそばにあります。

0326-3

No.1の全ベータの値を下のグラフで見てみると、不思議なことがわかります。私がよくチェックしていた1年前まではずっと下がって下げ止まっている感じがあったのですが、今日見てみると全く変わっていました。下のグラフでオレンジの線を見てください。

0326-4

わかりやすいように矢印を追加しましたが、2015年の3月からは明らかに上昇傾向にあります。今年に入って上げ止まった感はありますが、2015年2月には100Bq/L程度まで下がっていたのに、1年間で100倍上昇して、10000Bq/L程度まで上昇しています。3/22のデータでは全ベータで14,000Bq/Lです。しかもそのほとんどがSr-90であることが月に一度程度測定されるSr-90のデータと比較するとわかります。

0326-5

ただ、No.1もH-3の値は2年前から一貫して下がり続けています。2年間で約1/10近く濃度が低下してます。とはいえ、H-3は汚染水処理によっても除去できませんので、タンクにためていった分が除かれて地下水と混ざって薄くなってきた、ということを反映しているだけかもしれません。他のポイントのデータを見ても、H-3については右肩下がりに少しずつ低下していっている傾向があることがわかります。

0326-6


今回はNo.1の全ベータの濃度がこの1年間で100倍以上上昇したことが一番気になりました。この理由が何なのか、それについては不明ですが、どこかで漏れ出した汚染水が長い時間をかけてNo.1までたどり着いたということを示しているのだと思います。

それはどこか?私は、おそらくNo.1-14付近から流れてきていると思います。

0326-7

No.1-14は、No.1よりもずっと建屋よりのトレンチ(2011年に高濃度汚染水が流れ込んでいた場所です)の近くに掘られた観測抗です。深さは19mです。ただし、No.1-14は7m盤にあるため、No.1の4m盤よりも3m高く、No.1の深さ16mとほぼ同じ深さの地下水を見ていることになります。(「福島第一原発の護岸エリア地下水 その後の動き(1)」参照)

この観測抗の深さというのは重要で、「護岸付近にある地下水観測孔の「深さの違い」で解けてくる謎」でもその違いを解説していますので興味のある方は是非お読みください。No.1-14とNo.1の間に位置するNo.1-16は深さは5mで、浅いところの地下水しか見ることができません。No.1のすぐとなりにあるNo.1-17も深さは5mで、No.1とは全ベータのパターンが全く違うことからも5mの深さの地下水の流れと、16mの深さの地下水の流れが異なっていることはおわかりいただけると思います。

では、なぜNo.1-14から流れてきたと考えられるのか?位置的にNo.1-14はNo.1の上流(地下水は陸側の西から海側の東、つまり図でいうと下から上に流れるため)にあります。

0326-8

そして、先ほどの全ベータのグラフを再掲しますが、赤い矢印とオレンジの矢印を加えて示したように、No.1-14は観測が始まった2013年11月頃から全ベータの濃度が上昇を始めました。その当時は100Bq/L程度でしたが、1年後には約100倍上昇し、10,000Bq/Lを超えてそこでほぼ落ち着いています。

これとほぼ同じ上昇パターンをNo.1は示しています。2015年2月頃には100Bq/L以下に下がってきたのに、2015年3月頃から上昇を始め、1年後には約100倍上昇し、10,000Bq/Lを超えて落ち着きつつあるかのようです。

つまり、No.1-14で見られた上昇パターンが約1年3ヶ月遅れてNo.1で見られたと考えるのが一番妥当なのです。No.1がこのあと1年以上10,000Bq/L程度で落ち着いてくれれば、ほぼ間違いないと思います。地下水の流速がどれくらいであるのか、Srがどれくらいのスピードで移動するのかについては実測データがありませんので、何ともいえません(理論上の移動速度はもっと遅いようですが)が、もしNo.1-14でないとすれば、ではどこから?という別の疑問が出てきます。

高濃度(10,000Bq/L)の全ベータを含む地下水がどこかから流れてきていることは確かなので、一番説明をつけやすいNo.1-14付近から移動してきた、という説を私は考えています。では、そのNo.1-14の汚染はどこから?となると、それはまず間違いなく近くにある海水配管トレンチだと思います。このトレンチは東電が2014年から2015年にかけて苦労して埋めてしまいましたから、現在では新たな汚染はないと思いますが、2013年頃のデータを見ていると、どうも海水配管トレンチから2011年にたまっていた高濃度汚染水が少しずつもれていたような印象があります。詳細は「2011年4月のビーバー作戦を再現します その10(トレンチのどこから漏れたのかを推論)」をご参照ください。

今回は「タービン建屋東側における地下水及び海水中の放射性物質濃度の状況等について」の資料から、No.1の全ベータがなぜ2015年から上昇しているのか、ということについて少し考えてみました。

今日はここまでにします。

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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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