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第49回監視評価検討会(2016年12月26日)での凍土壁の議論

 
昨年12月26日に、第49回特定原子力施設監視評価検討会が開催されました。そこでの議題の一つとして、以前からこのブログでは取り上げている陸側遮水壁(凍土壁)についての議論もありました。

この日は午前中の開催で、時間に制限があったためか、凍土壁についての議論は20分足らずで、ほとんど議論らしい議論もないまま、更田委員が残っている5箇所の凍結について段階的に認める、という方向性を示した(12月27日日経記事)ことは私にとっては少し意外でした。ただ、その理由が変わっていました。そこについて簡単にまとめておきます。


第49回監視評価検討会において陸側遮水壁(凍土壁)の議論は、動画でいうと、1:24:55あたりからです。

これまでに7カ所残っている山側のうち、すでに2カ所は凍結を行っていて、残りの5カ所をどうするか、ということが今回の議論のポイントになっていました。
まず、最初に更田委員から規制委員会の現状の認識について概略の説明がありました。

『現在、陸側遮水壁の海側(下流)は完全に閉じられているのですが、4m盤(O.P.4mの高さの海側のエリア)からのくみ上げ量はその海側の効果の発現量を示しています。規制委員会としては、下流の海側は効果を発現してほしいと思っていますが、海側が効果を上げる前に山側を閉じてしまって、山側が先に効果を上げてしまうこと(陸側遮水壁の内側の水位が低くなりすぎてしまうこと)に対して懸念を示してきました。

しかしながら、実態としては当初日量300トン程度あったくみ上げ量が東電のいった70トンに減ることはなく、降雨の関係もありますが、多いときには200トン程度になっていました。最近やっと落ち着いてきて、それでも130トン程度ということです。この4m盤でのくみ上げ量が東電が宣言した70トンになるまで山側の凍結を待つべきなのか、どうするのか、というのが議論のポイントになります。

一方で、山側の凍結の効果をいったい何で測るべきか、ということになりますが、山側の遮水壁の効果をみるものはおそらくサブドレンのくみ上げ量になります。しかし、5カ所を残して凍結した現況においては、そのくみ上げ量はほとんど減ってきていません。

海側のくみ上げ量がなかなか減らない、といった状況を鑑みると、陸側遮水壁(凍土壁)というのは大して効果を発揮するものではないので、サブドレンのくみ上げ量が減ってくるまでは山側を徐々に閉めていってもいいのではないでしょうか。だから、残り7カ所のうち2カ所をすでに閉めましたが、残りの5カ所についても段階的に閉めていっても問題ないのではないでしょうか。』

現況は以上の内容ではないか、ということが更田委員の示した見解です。

これは実は東電に対する大きな皮肉です。海側の効果を見ている限り、凍土壁については東電がいうような効果を上げていないから、逆に安心して山側を閉めることができる(完全に凍結してもどうせ山側の遮水壁もたいした効果を示さないのではないか)、という逆説的な状況だ、ということです。

それに対し、東京電力が資料3で説明したことは、これまで陸側遮水壁の海側の4m盤と呼ばれるところでのくみ上げ量が、日量300トン程度だったのが70トン程度にまで減らせたら陸側遮水壁の山側の凍結を開始したいと言ってきたが、降雨のために結局70トンにまで減らすことはできず、130トン程度にまでしか減らせなかったということの説明と、その考察についてです。

20170109-2
(第49回監視評価検討会 資料3 5ページより)

これは、詳しくは説明しませんが、下図に示したような水の収支で考えることができ、陸側遮水壁(海側)を通って4m盤に移行する水の量は徐々に(凍結開始前が370トンだったのが現状では210トンと約160トン減少した(資料3の6ページより))減ってきている、というのが東電の説明です。

20170109-1
(第49回監視評価検討会 資料3 7ページより)

これを受けて、更田委員は、「海側でこんだけ水を通す遮水壁なんだから、山側もきっと水を通してくれるに違いない」。4m盤でのくみ上げ量が130トンにまで減ったという形で効果が少し見え始めてきたので、東電のいう70トンまで待たずに、残り5カ所についても、2段階に分けて凍結するという方向でいいのではないか。ただし、サブドレンのくみ上げ量が減らないかを注意深くみていき、サブドレンのくみ上げ量にアラートを設定しておく必要があるだろう。このあたりについてはまた議論したい、ということを述べました。

この発言は、毎日新聞の記事にもありますが、更田委員としては東電のいうことを信じていないが、効果がないんだったら凍結させてやってもいいだろう、という皮肉たっぷりの発言です。

結論として、いつから凍結を開始するという話にはなっていませんが、方向性としては2段階で凍結を行い、その際にサブドレンのくみ上げ量を監視していく、ということになるようです。

更田委員が今回の監視評価検討会において残り5カ所の凍結を容認する方向を示したことについては驚きでしたが、その理由を聞くとなるほど、と思ってしまいました。


実はこの監視評価検討会において、最後に動画でいうと1:47:30あたりから別の話題で更田委員が東電に対して怒っていたシーンがありました。詳しくは紹介しないので是非動画を上のリンクから10分ほど見ていただきたいのですが、簡単に言うと、資料4に載っている、2号機海水配管トレンチの立坑Cについて閉塞するということでほぼ決まりかけたときに、凍結止水はまだ実施しているのか、という福島の高坂委員からの指摘があり、それで気がついた更田委員が東電に問いただしたところ、東電側は何も考えずに?凍結止水を続けていたということがわかったということです。

縦坑を埋めるならば、その前にまずあまり効果がないはずの凍結を解除して、その後に埋めるべき、という更田委員に対して、東電側は埋めてから凍結を解除する、という手順を示しました。まるで、凍結止水には効果があり、だから凍結は続けてきた。1年間フォローしてきて問題ないというデータを示せたので縦坑を埋めてしまい、その後で凍結を解除する。そのあとでどうなろうと知らないよ、ということを考えているかのような東電のやり方と担当者の回答に対して更田委員がそれはおかしいだろう、とつめよった場面があります。

相変わらずのやりとり、という感じがします。遮水壁の凍結の話とは異なり、この話はおそらくどこのメディアにも取り上げられていないでしょうから、興味のある方は是非動画を見ていただいた方がいいと思います。


今年の検討会においては、おそらく第49回監視評価検討会で示された方向性に基づき、具体的にどうやって凍結していくのか、そのときにサブドレンのくみ上げ量がどうなったときにどうするのか、という議論がされると思います。それに関しては、タイムリーには難しいかもしれませんが、引き続きフォローしていきたいと思います。

最後になりましたが、今年も不定期の更新になると思いますが、よろしくお願いいたします。


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これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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