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4/21 福島原発で注ぎ込まれた冷却水はどこへ行ったのか?その4

本日、東京電力は、海水中への流出量を約520トン、そして流出した放射性物質は全部で約4700テラベクレルであると発表しました。

どうやって計算したのかと思って資料を読みましたが、がっかりです。これくらいの計算ならば、流出が止まった翌日の4/7には試算として発表できるはず。全体の水の出入りについて何もコメントされていません(もっとも、65000トンを相手にしていたら、520トンなどは誤差になってしまいますが)。

東京電力HPより
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11042102-j.html
説明資料
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110421b.pdf

とはいうものの、これまでさんざん批判されてきたせいか、東京電力も情報提供に関して少しずつ丁寧になってきているのは確かです。520トンの算出根拠も提示して、読む人が確認できるようになっています。このことは素直に評価したいと思います

ついでにいうと、4/12以降、これまで公開されていた一部のコンテンツを勝手に非公開にしたとか、リンクが貼られていないページがある(見つけた人はどうやってそれに行き着いたのか不思議ですが)などの問題はあるようですが、東京電力のHPは、英語版の資料も発表されるようになりました。HPによる広報に要員をかけてきていることが伺えます。ここに来てやっと、本来あるべき姿に近づきつつあります。

とはいえ、下記の資料に見られるように、意図的に不都合な部分を削除しているようなところはいまだに見られます。
例えば、この資料の10ページ目。原子炉水位が-1.7mと書いておきながら、燃料棒が露出しているような図を書かずに、燃料棒が全て水面下に浸かっているいるかのような記載をしているところ。他の機関が解説している図には、必ず水面上に露出した燃料棒の図があります。まあ、露出した燃料棒が全て溶け出して下にたまっていることを表現しているのであれば、まだ許せますけどね。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/f12np-gaiyou.pdf


だいぶ話が脱線してしまいましたが、520トンの算出根拠をチェックしていきましょう。
資料に詳細に記載があるので、見ていきます。

まず、みなさんご記憶のジャジャもれの写真。これを今回流出量の算定に用いています。
ピットからの漏れ


流出水の落下距離(75cm)と到達距離(65cm)を写真から計測し、流出口の口径を3cmくらいと見積もっています。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110421c.pdf
流出距離

そして、高校で習う物理の問題のようですが、下記に記載があるような計算式を用いて約4.3m3/時という流速を計算しました。

計算方法

あとは、4/1には4/2ほどの音がして流れていなかったが、4/1から始まったと仮定し、この流量で、流出の止まった4/6までの5日間=120時間、4.3m3/時で流れ続けたという計算をしました。

その結果、4.3m3/時×120時間=516m3=516トンという計算が成り立ちました。1Lあたりの放射性物質の量は以前測定していますから、それに約520トンをかけて、漏れ出した放射能は全部で約4700テラベクレルということです。Cs-137を例に出すと、4/2の段階で、18億Bq/Lという濃度がわかっていますから、18億Bq/L×520×1000=約940兆Bq=940テラベクレルになります。同様に、I-131が2800テラベクレル、Cs-134が940テラベクレルで、合わせて4700テラベクレルであるということです。

というわけで、東京電力の推論としては、これ以上の海への漏出はないという前提で、最低限の流出量を算出して提示した、というところだと思います。あくまで最低限を見積もってですので、これ以外にも他からも漏れている可能性はあります


ここで、これまでに発表されているデータを整理してみます。ここでは、2-3倍のずれはあまり気にしないで桁(オーダー)を見ておきます。

・福島第一原発にある放射能の全量は、約10^19Bq(10^19は、10の19乗、すなわち1000京=1000,0000兆の事を示す。以下同じ)のオーダーと発表されています。
・空気中への放出量が、全体で6.3×10^17Bqの放射能が放出されたという推論でした(原子力安全委員会)。
・それに対し、海洋中には、18億Bq/Lの水を520トンで4700テラベクレル=4.7×10^15Bqということで、空気中への放出量の約1/100程度、全体の1/10000程度という計算になります。
・また、意図的に放出した「低レベル」の汚染水は、平均して15000Bq/Lの水を約10400トンです。この総量の1500億ベクレルは、4700テラベクレルの約1/30000ということです。


さて、このような全体像を見た上で、こちらで考えるべき事は下記のことです。どれもすぐに答の出せるものではないので、今日は少し触れるだけにとどめます。

1. 4/6に大量の流出を抑えてから、これ以上のモレはないということが海洋のデータなどで示されているのか?
→。今日はこれについて少し記載します。

2. 520トンという数量で本当に正しいと考えていいのか?
→これについては現段階では結論が出せず。東京電力も、あくまでこういう仮定だとするとこれくらい、という数字を出しただけ。

3. 10^15Bqという仮定が正しいとしたら、過去、あるいは最近のシミュレーションのデータと比較すると海洋汚染についてどういう事が言えるか?
→これについては、じっくりとデータをシミュレーションの条件などを確認してから書きたいと思います。


1.について、これ以上のモレがあるかどうか、という議論をする際には、2号機ピット付近で現在とられている対策についても言及しておく必要があります。

現在は、拡散防止のために取水口付近の海水を仕切る「シルトフェンス」と鋼鉄製「止水板」を設置されています。東電は2号機の取水口付近に、14日までにシルトフェンスを6カ所設置し、15日には、「止水板」と呼ばれる鋼鉄製の板7枚を配備しています。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110421e.pdf

シルトフェンスの効果は、シルトフェンスの内と外でデータを出してくれていますので、それを比較すればどれだけの効果があったかはわかります。
シルトフェンスの内と外を比較するという形でサンプリングを始めたのは4/17からですが、確かにシルトフェンスによって外側の放射能が下がっていることはわかります。下図の赤と緑を比較してください。

取水口フェンスの効果

4/6のデータは大きすぎて同じグラフに記載することができないため、4/9からのデータにしましたが、4/6に漏れを止めてからは、1/100以下に下がってきています。ということで、520トン、4700テラベクレルという数字があまりにも大きいため、これに匹敵する量のモレはその後は起こっていないと見るのが正しいと思います。ただし、15日に2号機スクリーン海水で数字が4倍近くにはね上がったのは、その後の数日間のデータを見る限り、どこからか一過性のモレが生じたと考えるのが自然です(その後また収まっているようです)。

東京電力は『放射性物質が2号機の取水口付近に閉じこめられ、濃度が高まった可能性があるとしており、「いい見方をすると(放射性物質の海への)拡散防止効果があった」(松本純一原子力・立地本部長代理)と説明している。』(4/16 産経より)という見方を取っているようですが、この見方は誤りだと思います。シルトフェンスの効果はあくまで内と外との比較でわかることであり、放射性物質が閉じこめられたのであれば、16日以降下がることはありません。どんどん上がっていくはずです。


ただ、注意しなければいけないのは、「これに匹敵する量のモレは」と書いたように、その1/100程度のモレがじわじわといまだに続いていたとしても、それに関しては現在の海水の数値が下がってきたとはいえいまだに高いため、わからないのが現実です。これについてはあと1-2ヶ月経って、もっと沿岸の放射性物質の濃度が下がってきた時にならないとわからないかと思います(それまでにはモレも止まってくれると期待します)。

今日はこのあたりで終わりにします。
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3.11では、停電・断水のため、一晩避難所で過ごし、震災後の情報収集をきっかけにブログを始めました。
これまで約4年間、原発事故関係のニュースを中心に独自の視点で発信してきました。その中でわかったことは情報の受け手も出し手も意識改革が必要だということです。従って、このブログの大きなテーマは情報の扱い方です。原発事故は一つのツールに過ぎません。

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